時刻表タイムトラベル (ちくま新書 913)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066169

感想・レビュー・書評

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  • どうせなら当時の時刻表の写しとか載せればいいのに。文字で読むよりその方がよっぽど分かり易いし、興味深いもの。著作権の関係とかで無理だったのかな。あと開業当時の東京駅をカッコ書きで新橋と付け加えるのに、どうして横浜駅は(桜木町)としないのかな。

  • 時刻表を通して、懐かしい列車の数々を紹介する。

  •  初老のおじちゃんが,昔の時刻表を見ながら過去の鉄道旅行に思いをはせるという趣向。昭和の夜行列車,食堂車は記憶の中らしいが,さらに明治までさかのぼったりする。戦前は「時刻表」じゃなくて「時間表」。
     大正末の「鉄道営業御案内」(原文正字体)は面白い。乗車のマナー,具体的注意を列挙している。現代若者の乗車マナーの方がまともなのかも。「一三、裾を捲つて腿を出したり、肌襦袢一枚になつたり、婦人が細紐一つでゐたりすることはやめて戴きたい。」 「細紐」ってなんだろと思ったが,ちゃんと帯をしてねってことらしい。
     荷物車,荷物列車の話。宅配便のないころは,国鉄の駅に荷物を持って行って,遠隔地に送ってもらってたらしい。経験ないけど,年配者にはノスタルジーみたい。荷物車は通常の乗客用列車に連結された車両,荷物列車は荷物専用の列車。
     新聞輸送に夜行急行列車が大活躍していた。都市圏で刷られた新聞が,地方までくまなく届けられる。夜行急行が夜中も頻繁に停車していたのはそのため。新聞が主で旅客が従になるような路線も多かった。
     日本の鉄道黎明期は,官営オンリーで拡大したのではなく,むしろ私鉄が主役だった。明治政府は財政難。華族の家禄や家財を資金源にすべく,政府は手厚い保護で鉄道建設を分担させた。そのはしりが日本鉄道会社。上野ー前橋,大宮ー青森はこれでできた。
     昭和戦前の時間表は,国際的。植民地だった台湾,朝鮮の鉄道はもちろん,別の国だった満洲,中華民国,シベリア,欧州の鉄道も掲載する。新橋で,ロンドンまでの切符を買うこともできたという。敗戦後は,ちんまりと国内限定。著者は寂しがっている。
     昭和30-40年代は分割併合列車が全盛期だったらしい。それ以前は本線と支線は別系統という考えが根深かったが,利便性を重視。気動車の技術進歩もそれを可能にした。しかし,民営化によって合理化が迫られ,平成にはいってからは激減。ここでも著者は寂しがる。
     最後の章は6年前に筆者がルポした「夜行列車を乗り継いで日本縦断の旅」。自分でも言ってるがアホな雑誌企画だ。南宮崎から「彗星」「日本海3号」「はまなす」「利尻」を乗り継いで,四連泊で稚内まで。アホだ…。東京から南宮崎までも「富士」を使って行ったというから,実は五連泊。
     この5つの夜行列車のうち,「はまなす」を除く4つが今はないという。著者はやはり寂しがっている。非効率,無駄なものをなくしていくのは,合理的なんだろうけどファンには腑に落ちないようだ。ちなみに同行のカメラマンは,取材終了後,「北斗星」で帰京したというから,六連泊だそう。
     学生時代,列車で北海道にいったときに夜行列車「はくつる」に乗った。この列車も今はないようだ。あのときは確か二年続けて行って,翌年は「はまなす」に乗ったのも覚えている。カーペット車に雑魚寝したっけ。懐かしいな。

  • 「時刻表タイムトラベル」所澤秀樹
    昔の時刻表から紐解く鉄道四方山話。

    明治の鉄道黎明期から昭和国鉄末期頃までの鉄道事情のトピックを、時刻表から追っていく。
    食堂車、夜行列車、急行連接車両などなど、かなり鉄向けな内容でした。
    昔から日本の鉄道は時刻表通りの運行が前提に組まれていたのかなあという感想です。実際どうだったか分からないけどね。

    文章がいかにもルポライターって感じで人によっては好き嫌いが分かれるかと… よく雑誌で読むような感じ。
    夜行列車で日本縦断、もう今となっては出来ない贅沢の紀行文も収録されています。(3)

著者プロフィール

所澤秀樹(しょざわ・ひでき)
交通史・文化研究家。旅行作家。1960年東京都生まれ。日本工業大学卒業。神戸市在住。
著書:『鉄道時刻表の暗号を解く』『「快速」と「準急」はどっちが速い? 鉄道のオキテはややこしい』『鉄道フリーきっぷ 達人の旅ワザ』『鉄道旅行 週末だけでこんなに行ける!』『日本の鉄道 乗り換え・乗り継ぎの達人』(以上、光文社新書)、『鉄道会社はややこしい 「相互直通運転」の知られざるカラクリに迫る!』(第38回交通図書賞〔一般部門〕受賞)、『青春18きっぷで愉しむ ぶらり鈍行の旅』『駅名おもしろ話』『鉄道地図は謎だらけ』(以上、光文社知恵の森文庫)、『時刻表タイムトラベル』(ちくま新書)、『鉄道地図 残念な歴史』(ちくま文庫)、『鉄道の基礎知識』『国鉄の基礎知識』『鉄道史の仁義なき闘い 鉄道会社ガチンコ勝負列伝』『東京の地下鉄相互直通ガイド』『EF58』(以上、創元社)など多数。

「2020年 『鉄道手帳[2021年版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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