ジャーナリズムの陥し穴: 明治から東日本大震災まで (ちくま新書 911)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 101
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066183

作品紹介・あらすじ

ジャーナリズムの世界では、政治的圧力に屈したり、偏った報道を強いられることもあるという。また、「風評被害」という言葉が昨今出回ったが、マスコミが流す情報と自分の目で見た現実とが食い違っていることはよくある。本書では、田原総一朗が三十数年にわたって見てきたこと、感じてきたこと、考えてきたことを、一ジャーナリストとしての孤高の立場から赤裸々に独白し、ジャーナリズムの裏側、そして本質に斬り込む。

感想・レビュー・書評

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  • 題名と内容が合っていないと思う。 リンクしているとしたらあとがき位…?
     ただその時代の雰囲気とか、政治や首相の裏話とか、その時代に生きていて本人に会ったことでしかわからない挿話は興味深かった。

  • [ 内容 ]
    ジャーナリズムの世界では、政治的圧力に屈したり、偏った報道を強いられることもあるという。
    また、「風評被害」という言葉が昨今出回ったが、マスコミが流す情報と自分の目で見た現実とが食い違っていることはよくある。
    本書では、田原総一朗が三十数年にわたって見てきたこと、感じてきたこと、考えてきたことを、一ジャーナリストとしての孤高の立場から赤裸々に独白し、ジャーナリズムの裏側、そして本質に斬り込む。

    [ 目次 ]
    ジャーナリズムとは何かの前に
    ジャーナリズムの歴史
    占領下のジャーナリズム
    ジャーナリストになる―テレビマン時代
    ジャーナリズムと権力
    新たなるテレビジャーナリズムの誕生
    テレビジャーナリズムの現場
    ジャーナリズムが生んだ幻想

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 偉そうなことをいうジャーナリズム,特に新聞とかがいかにデタラメで反省しないものかが再確認できる。

    2013/03/26Amazonから購入;04/17朝の通勤電車から読み始め;04/18夕方読了

  • 13012

    ロッキード事件やリクルート事件なんていうのももう「史実」、歴史の中の出来事になってるんだね。

  • ジャーナリズムの歴史に始まり、田原さんがジャーナリストとしてやってきたことや政治家との関わりなどから、この人の熱意がよく伝わってくる。

    でもタイトルから想起される内容と本文が今一つ合致していないことが腑に落ちない。

  • 田原さん、途中で本筋を忘れてしまったんじゃないかな、と思ってしまった。自身の功績を記している伝記的な内容でジャーナリズムの落とし穴じゃないよね。
    でも、新聞の成り立ちや、GHQとのせめぎ合いから日本のマスコミは弱ってしまった事はよく分かった。
    好きなジャーナリストなだけに加齢による衰えが心配です。

  • 著者の過去の書にそれほど目を通していない身としては、過去のジャーナリズム変遷、最近の政治の変遷について、とても勉強になりました。
    いまのマスコミのことを批判するに際しても、この欧米とは違った日本のジャーナリズムのなりたちを読むと、また納得できて今後の新聞、テレビニュースの読み方も変わろうかというものです。
    しかし、「バブルがはじけた時に、政府はカラッポだ、実は何もないのだということに気づいてしまった。だから政府を攻撃するときには、対案を用意しなければいけない、提案も必要」というのはとても痛烈な批評だと思います。
    「多くのマスコミがただ政府をサボタージュするばかりだ、企業を叩けばスポンサーから降りられてしまうが、権力はいくら悪口を言っても問題ない・・・」
    という主張もまさに今の状況を表しています。
    国民もそれに相当飽き飽きしているわけですから。
    国民は不勉強である、とは言うかわりに、マスコミは不勉強だというのを最後に締めくくっています。

  • 朝ナマで有名な田原総一朗氏の著書。

    若干、自分が時の政権を崩壊させたという話は、自慢に感じた部分はありますが、ある意味、事実ではあるのかもしれないと思いました。

    ジャーナリズムの役割って何だろうか?と考える人には、是非、読んで欲しい一冊です。

  • 要約すると前半が戦前から占領期までの新聞史で、後半が戦後の政治史。そんで結論が「今も昔と変わらず大本営発表になってるやんけ!」ってことみたいです。ただ所々に非常に有意な示唆があるので、ヒマがあれば一読してもよいかも。個人的には、ありもしない「報道の中立」をマスコミ自身も読者も信じてしまってるっていう主張に横並び報道に陥るマスコミの現状の突破口があると思うので、そこを突き詰めて考えて欲しかったと思います。

  •  前半は戦前から占領期までのジャーナリズム史。後半はその後のジャーナリズム史なのだが,著者はその渦中にいたのでものすごく当事者。熱もこもってる。
     彼はテレビの人なので,戦後のジャーナリズムをテレビマンの視点から記述。顔が見えるメディアということで,影響力が大きいことを自分が関わった事例をいくつも挙げて縷々述べる。思い入れが相当強いんだろうな。宮澤首相や橋本首相が失脚したのは自分の番組のせいだとしてる。
     かつて軍国少年で,戦後ジャーナリストとなった彼の思想は,占領期までのジャーナリズムのありかたに深く影響を受けている。本書でも明治期からの新聞,その後のラジオ,言論統制の歴史を駆け足で見ていく。明治以降のジャーナリズムの歴史は弾圧の歴史かと思ったら,意外にそうでもない。
     日清日露戦争のころ,新聞はこぞって戦争を煽ったが,別にこれは弾圧のせいではなく,その方が売り上げが伸びたから。非戦論の新聞は売り上げが低迷した。最後まで反戦を貫こうとしていた萬朝報もついには戦争賛成へ転向してしまう。読まれるものを書くしかない…。
     昭和に入ると政府の統制が強まってく。5・15事件ではまだ各新聞が「言語道断」「未曾有の不祥事」等と論評を加えたが,2・26事件になると陸軍省発表以外は一切掲載禁止とされるに至った。軍の台頭は深刻になっていき,戦中の大本営発表報道に至る。事実は国民に対しては伏せられた。
     そして敗戦。GHQは,国家管理のもとに置かれていた日本のジャーナリズムを,そのまま占領統治に活かした。日本の牙を抜き,民主化を進めるための宣伝機関として有効利用した。軍部を除いて,いろんな組織が温存されて間接統治に使われた。これは効率がいい。
     敗戦の責任をめぐって,各新聞社で内紛も起こった。読売新聞などは,正力社長が戦犯として拘束されると,組合が経営を管理することになった。そんなごたごたはあったが,日本のマスコミは,戦時下と占領下の総括をいまだになしえていない。それが今にも尾を引いている。
     後半はほぼ自分史。早稲田を7年かけて卒業すると,丁度60年安保の年。就職した岩波映画で仕事を干され,安保闘争にのめりこむ。新条約の内容も知らずに,「戦犯の岸がやるんだから改悪に違いない」と批判していた。後で冷静に考えて,「改善」だったことに気付く。
     とはいえ当時は本当に世の中「反体制」だったそうだ。今も震災関連で反体制が勢いづいているようだが,それとは較べものにならないくらい。安保改定前夜,岸と佐藤は暴徒に殺されることも覚悟していた,というのはまんざら誇張でもないんだな。
     北朝鮮がこの世の天国だとか,毛沢東の文化大革命を絶賛だとか,そういう言説が信憑性をもって受け止められてた時代だった。ところがそのうち十年・二十年が経ち,左翼運動は退潮していった。その大きな原因として,日中・日ソの国交正常化があるというのは盲点。
     それまでは,共産党とか左翼がソ連や中国との情報のパイプを握っていた。そのパイプが国交回復によって,自民党に奪われることになった。沖縄の返還も「沖縄返せ」という運動のテーマを失うことであり,左翼の影響力は失墜していった。
     その後,角栄,リクルート事件等と記述は進み,90年代くらいからは著者自身政局に深く関係するようになっていく。なんだか,首相にひょいと会いに行ったり,側近から相談をうけたり,一介の民間人のはずなのになんだこれは…と言う感じ。やはり第四の権力なんだろうか。
     国家への不信,反体制が原点にあったふうな書き出しの本書だったが,いつの間にやら,テレビジャーナリズムの政治に対する大きな影響力という全能感あふれる文章になっていったのはなんだか不思議な感覚。
     最後,あとがきで現在のジャーナリズムに苦言を呈す。コンプライアンスという観念が普及してきて,批判を避ける事なかれ主義の番組作りに陥っている。これでは,ジャーナリズムの存在理由がなくなる。特に原発問題については,事実の追及がないがしろにされている。

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著者プロフィール

ジャーナリスト/1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社、64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年からフリー。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、放送批評懇談会35周年記念城戸又一賞を受賞。現在も「激論!クロスファイア」(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ、ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『創価学会』(毎日文庫)、『さらば総理』(朝日新聞出版)など多数。

「2023年 『会社が変わる!日本が変わる!! 日本再生「最終提言」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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