後藤新平: 大震災と帝都復興 (ちくま新書)

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著者 : 越沢明
  • 筑摩書房 (2011年11月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066398

後藤新平: 大震災と帝都復興 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 後藤新平に興味を持ったのは、作家・星新一が父である一(はじめ)の
    ことを書いた作品を読んでからだった。

    しかし、興味深い人物は他にも何人もおり、ついつい後回しになって
    いた。

    薩長閥が多い中央政界にあって、地方の医者から中央の政治家に
    登り詰めた後藤新平の生い立ちと、彼が関わった台湾や満州の
    都市計画を経て、関東大震災後の帝都・東京の復興計画までを
    描く。

    彼が考えた東京の復興計画は確かに「大風呂敷」なのだ。だが、
    その「大風呂敷」は時が経って検証すれば首都である東京という
    街には必要なものばかりなのがわかる。

    火災による家屋の延焼を食い止める広い緑地帯と川沿いの公園。
    幅員を広げた主要道路。下町の区画整理。

    台湾と満州での経験を生かしたグランド・デザイン。それには膨大な
    予算も必要だった。

    新しい東京が生まれる。しかし、政党に属さずに有力政治家となった
    後藤は古参政治家たちの嫉妬の対象になる。政界につきものの
    足の引っ張り合いだ。

    最低限の計画が実現したものの、後藤がやり残した東京の都市計画
    は現在も宿題となっている。

    今、東京都では環状2号線の整備が進められている。中途半端に
    作られた環状道路の延伸計画なのだが、この道路は元々、後藤が
    帝都復興の計画の中で提案していたものであることを知ってびっくり。

    街の復興はどうあるべきなのか。東日本大震災後の復興の参考に
    なるのではないか。

    それにしても、著者の後藤新平に対する「愛」は並大抵ではない。
    まるで後藤への長い長い恋文を読んでいるようだった。

  • 台湾・満州における日本的統治、都市計画の成果。大震災後の帝都復興と、その功績に対して名が残っていないのは、強引過ぎたやり方と、戊辰戦争時の反政府側、奥州連合出身者であった事が読み取れる。 筆者が後藤贔屓に偏って著している感もあるが、「マッカーサー通り」など、現在の開発にも続く、揺るぎないグランドデザイン力に、スケールの大きさを感じ得ない。 また後藤を導いた恩人、児玉源太郎の胆力にも唸った。児玉が生き延びていたならば、我が国の大正・昭和の迎え方が、違った形になったのではなかろうか。

  • 後藤新平について書かれた一冊。

    著者が都市工学者ということもあり、後藤の都市計画の側面に重きが置かれている。

    特に関東大震災後の帝都復興計画などは詳しく書かれている。

    あまり政治家としての後藤(政敵との関係)などには触れられていなかったように感じた。

  •  後藤新平の東京復興における幸運な、運命的なことは「台湾のインフラ整備」「満鉄の開発」とリアルシムシティを体験できたことだ。また、そこで培った人材を十分に駆使したことで東京を近代都市に成し得たという流れを非常に面白く読んだ。
     東京の開発復興はいろいろの政争や予算の関係で縮小せざるをえなかったのだが、それでも7億円強の予算を通せたというところは今までの蓄積の結果だというのが物悲しくもある。

  • [ 内容 ]
    東日本大震災を機に、関東大震災後の帝都復興に稀代のリーダーシップを発揮した後藤新平が再び注目され始めた。
    なぜ後藤のような卓越した政治家が出現し、多彩な人材を総動員して迅速に復旧・復興に対処できたのか。
    壮大で先見性の高い帝都復興計画は縮小されたにもかかわらず、なぜ区画整理を断行できたのか。
    都市計画の第一人者が「日本の都市計画の父」後藤新平の生涯をたどり、その功績を明らかにするとともに、後藤の帝都復興への苦闘が現代に投げかける問題を考える。

    [ 目次 ]
    序 再評価されるべき後藤新平
    第1章 生い立ち―水沢の気風と陪臣の心意気
    第2章 地方の医師から内務省衛生局長に
    第3章 台湾総督府の民政長官
    第4章 満鉄の都市経営―大連と長春
    第5章 東京の都市問題―都市計画法の制定
    第6章 関東大震災と帝都復興計画
    第7章 帝都復興事業の遺産

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 読了。

  • 先輩に紹介して頂いた一冊。
    スゴイの一言。昔の人にはかなわない。インフラ魂。

  • 天才か

  • 後藤新平は、時折名前を目にするので、少し興味があった。
    しかし、意外と彼について書かれた一般向けの本は少ないようで・・・
    初めて手に入ったのが本書だった。

    古い本だと思って手に取ったら、昨年刊行されたものだとか。
    震災復興ということで、関東大震災後の「帝都復興」を推進した後藤にスポットを当てた、というわけだ。

    東京市長という経歴から、根っからの政治家だと思っていたら、医師出身であったそうで、まずそこに驚いた。
    政治家としては、政友党とも民政党とも距離があるという微妙な立場にあったというのは、そうした異色の「出自」のためかとも思われた。

    東京市長、内務大臣となってからのことは、先日、内務官僚だった長岡隆一郎の随筆を読んでいたので、まあ、そこは何となく知っていたこと。

    本書から初めて学んだことも多かったけれど・・・
    あえて言うなら、後藤礼賛の調子が目立つのが気になる。
    たしかに都市計画において先駆的な仕事を成し遂げたことは分かる。
    けれど、社会構造が変わってきて、そろそろ「近代都市」も変わらざるをえない時期となってきつつある現代にあっては、近代都市を批判的に捉える視座があってもよいと思う。

  • 事業構想を教えるという社会人大学院大学の入試説明会で、薦められた本。
    確かに、復旧ではなく復興を唱えた後藤新平は、構想を持ちそれを計画に
    落とすという手腕は凄いものがあったのだろうと思う。
    ただ、それを支えているのは、後藤を取り巻く人であり、その人たちを
    採用する後藤の人事にたいする手腕。自分の構想を計画におとさせる
    ための陣容をそろえるための情熱。とその人たちをその気にさせるリーダー
    としての資質が素晴らしいのだろうとおもった。
    でも計画を実行させるという手腕は後藤自身にはなかったのであろう。
    ただ、後藤の構想はその周りの人たちのてによってかなえられていく。

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東日本大震災を機に、関東大震災後の帝都復興に稀代のリーダーシップを発揮した後藤新平が再び注目され始めた。なぜ後藤のような卓越した政治家が出現し、多彩な人材を総動員して迅速に復旧・復興に対処できたのか。壮大で先見性の高い帝都復興計画は縮小されたにもかかわらず、なぜ区画整理を断行できたのか。都市計画の第一人者が「日本の都市計画の父」後藤新平の生涯をたどり、その功績を明らかにするとともに、後藤の帝都復興への苦闘が現代に投げかける問題を考える。

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