若者が無縁化する: 仕事・福祉・コミュニティでつなぐ (ちくま新書 947)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066503

作品紹介・あらすじ

若者が幸福なんて誰がいった!若者に関する議論が見落としている点、それは彼らが社会から見捨てられているという現実である。フリーター、ニートは、いまだ、甘えた若者と思われがちだが、それは幻想に過ぎない。高校中退し、アルバイトにさえ就くことができない。家族と離れ、路頭に迷い、ホームレスになる。どこに助けを求めてよいかわからず、孤立する。そのような若者の急増に対して、私たちはなにをなすべきか?若者の実態を明らかにし、彼らを孤立させない方法を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 367-M
    小論文・進路コーナー

  • 就労支援だけでは、根本的な解決には繋がらないというほど深刻な現状ということか。ベーシック・インカム。パーソナル・サポート・サービス。2011年施行の「子ども・若者育成支援推進法」。それを揶揄するマスコミの「ニート支援法」という命名。人生前半期の社会保障という考え方。若者基礎年金。貧困が世代を超えて連鎖しないような仕組みづくり困難さと現実。

  • 社会から見捨てられる、ということは人生を否定されていることのように感じる。

  • ここに書かれている対策が実現すりゃあ少しは変わるだろうか・・・。だが「下流中年」に書かれていた「今後社会保障などの対策が改善されてもこれから下流中年として生きてきた氷河期世代は若者じゃないからまた保障・助成の対象から外れるし・・・結局貧困と陰鬱の日々を歩むだけじゃん?」といった言葉が頭を何度もよぎり暗澹たる気持ちになるわたくしであった。

  • 「ご縁・絆」とはあまりにも手垢がつきすぎた言葉。けれど若者として生きていくこの期間には決して欠かせない支援のひとつ。単に金品を支給されたところで、それは一時しのぎにしかならない。それを受けつついかにネットワークを張ることができるのか。若者が生きやすいを地域から。

  • 読み応え抜群。若者の格差、貧困。前までの社会構造は崩壊し多様化、何事も「自己責任感」のある中、それだけでは片づけられない状況下、排除されている若者が多くいる。低所得家庭の子供は低所得者になりやすい事実からも新たな支援構造を作っていく必要がある。今の社会保障は若者に優しくない。私にとってこの本は難しく全てを噛み砕く事は出来ませんでしたが、まずは丸のみしてゆっくり消化していきたい。1つ危惧しているのは、支援が制度化された頃に今の若者が若者で無くなってるのでは?と言う事、早急な対応が必要な事柄だと思いました。l

  • 中等教育でのつまづき(いじめ、非行、不登校)→中退してからの職歴スタート→不安定雇用へ

    日本型雇用崩壊の兆し→1990年代に前兆

    労働市場から排除されかねない若者たちの実態から現代社会のリスクが見えてくる(p.77)
    1リスクの多様化
    2リスクの階層化
    3リスクの普遍化

  • 【超速読】前回の著書から10年、ということでもはや若者の社会的貧困は明確になり、大多数の知るところとなりました。ニート、フリーター、ひきこもり……といった若者を取り巻く諸問題について競争社会や教育過程の弊害から論じ、(欧州の例を引き合いに出し)政治的な解決策を見出す点は、本田由紀さんの著書と類似していると思います。最初に書いた通りパラッと読んだだけなんでそういう想像なんですけど。本書のサブタイトルが示す通り、社会コミュニティを取り巻く諸問題は、一面的な見方では解決を見い出せない、そのため難度が高く思われます。

  • ◆一部の、しかし多くの若者がおかれている悲痛な環境を、データなどの巨視的なレベルから明らかにし、問題解決に向けた道のりを探る一冊。問題解決に向けた大きな視点と具体例があるので、関心がある方にはこの本をおすすめしたいです。なお、本書は、若者の人間関係やコミュニケーションの話ではなくて、社会福祉のお話なので、タイトルに惹かれた方は要注意です。

    ◆著者の問題意識は、自己責任論のなかでとらえられがちな若者たちが「無縁化」しているということにある。それは友達と無縁になるということだけではなく、教育や労働市場といった諸制度(からなる社会)と無縁になってしまうということである。◆日本的な雇用制度や家庭の経済力といった、それまでの「若者」を支えていた部分が変化していたにもかかわらず、既存の制度は変化をしなかったためにゆがみが起こった。これは社会構造や制度の問題なのだけど、実際には「自由なフリーター」や「なまけもののNEET」といった、個人の責任にすべてを帰するような考えだけが、長年はびこってきたことがよくわかる。

    ◆経済的な貧困だけではなく、それによって人並みの生活が送れなくなる過程を社会的排除というけれど、社会の構造的な問題を指摘するこの言葉は、個人の報われない努力の悲痛さを強調する「格差」という言葉ほどには有名になっていない気がする。

    ◆本書は、社会的排除に対する日本や海外で採られた具体策が分かりやすかったので、興味深く読んだ。

  • うちのICタグ貼り作業は、中間就労支援なんですよ。
    そう聞いた時に、なるほど、と思ったのだ。学校教育が終わると、しんどい子ども(若もの)をフォローする手立てがないんだよ、という話も聞いた。

    社会がこうした若い人たちを包摂していけるように、コミュニティが動き、公的責任において社会システムを構築すべく行政が動く、そのために図書館もできることがまだまだあるはずと感じた。

    デンマーク・モデル(高い雇用流動性をもちつつ、失業給付や社会扶助により労働者の所得の安定を保障する)
    オランダ「ポルダー・モデル」(パートタイムと常勤雇用との時間あたり賃金と社会保険の差をなくす)
    静岡:NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡

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著者プロフィール

放送大学名誉教授・千葉大学名誉教授。専門は生活保障論、若者政策論、家族社会学。東京教育大学文学部卒業(経済学専攻、社会学専攻)。お茶の水女子大学家政学研究科修士課程修了。社会学博士。こども政策の推進に係る有識者会議構成員、社会保障審議会委員、中央教育審議会委員、労働政策審議会委員等を歴任。著作に『ポスト青年期の親子戦略――大人になる意味と形の変容』(勁草書房、2004年)、『若者が無縁化する』(筑摩書房、2012年)、『すべての若者が生きられる未来を』(編著、岩波書店、2015年)、『下層化する女性たち』(編著、勁草書房、2015年)、『アンダークラス化する若者たち――生活保障をどう立て直すか』(編著、明石書店、2021年)など。

「2023年 『若者の権利と若者政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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