生きるための論語 (ちくま新書 953)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 280
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066589

作品紹介・あらすじ

東アジア最重要の古典『論語』。この書物には、人間が真に自由に、生き生きと存在するために必要なことが、最高の叡智と具体的な言葉で書かれている。『論語』自身に『論語』を語らせ、そのダイナミックでみずみずしい世界に読者を案内すると同時に、その思想が儒教の伝統の中に生き続け、さらにはガンディー、ドラッカー、ウィーナーたちの思想と共鳴しあう姿も描き出す。「最上至極宇宙第一の書」に対する魂の読解書。

感想・レビュー・書評

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  • ありきたりな言い方ですが、目から鱗が落ちました。
    こんな読み方があったとは!と驚きました。

    『論語』は、アジアで最も読み継がれている書籍です。
    そして、その影響力は、絶大です。
    『論語』は、孔子の弟子たちが編纂したもの(孔子自体は筆記していない、
    ただし、その編纂も時の権力者が一枚も二枚も絡んでいる)ですが、
    その価値は、歴史状況によってコロコロ変わります。
    文革時代なんかは、唾を吐いても、全然平気でした。
    孔子自体を否定した時代ですから。
    今は、中華文明の神髄として、尊敬されています。

    日本は、伝統的に論語を称賛してきました。
    個人的には、論語は、もう価値が定まったもので、
    何人かの専門家の解釈を「知る」こと、
    そして本文を「暗記する」ことが、論語を読むことだと思っていました。
    ありがたいモノだと思って、ちょっとずつ読み解く感じです。
    読み解くといっても、素人が意味をとれるほど、甘くありませんが。

    しかし、著者は違います。
    『論語』の新解釈を再度試み(もちろん、先人の解釈も参考にする)、
    その解釈が、現代の人間が如何にして幸福になりえるか、そのヒントを、
    論語に求めています。そして、『論語』を、生き生きとした、
    生命力ある書物として、蘇らせています。
    まさに、復活の魔法です。著者の学問のベースと、また想像力、
    そして、何としても知恵を引き出したいという切迫感が、
    孔子を現代に蘇らすことに成功した要因でしょう(もちろんこういうやり方は、
    批判されます)。
    古典への付き合い方が、根本的に変わるようなインパクトを感じました。
    また、具体的な生活への応用の仕方は、著者の『生きる技法』が非常に参考になります。

  • 私には難しかったよ〜。解釈の部分は理解できず、読み飛ばしてしまいましたが、新訳の部分はスッと胸に入ってきました。

  • 聞き飽きて使い古されて黴が生えた人生訓の、理解できていない「仁」。バチーンとわかります。凄いです。仁は状態・性質のような静止したものではなく、ダイナミズムなのです。あああ、初めて「仁」が見えた。感動した。古典の『論語』がこんなに瑞々しく読めるんだという安冨先生の知性に感嘆するのです。『超訳』も読もう…(2019-08-12)

  • 論語の基本思想は「学」と「習」である。「学」とは何かを勉強することであり、「習」とは練習して、あるときハタと理解でき、身につくことではないか。「論語」とは「学習に基づいた社会秩序」という思想である。論語のもう一つの思想の根幹は「知識論」にある。知るとは知っていることは知っているとし、知らないことは正直に知らないとすること。それが真の知るということ。

  • 同著者による「超訳論語」を読んで、ショックをうけ、この「論語」の解説本に進んでみた。

    「超訳」を先に読んだので、驚きはあまりないが、改めての著者の読みの深さと論理性を感じた。

    基本的には、好きなように、著者にとって役にたつように、読んでいるのだが、キーになる言葉というか、漢字1文字も、「論語」の他の場所で使われている事例を踏まえながら、できるだけ全体として整合的に読もうとしている。つまり、テキストの外からではなく、内側から読むことで、従来の解釈とは違う意味が立ち上がってくるところが、質感はかなり違うが、デリダみたいなスリルがある。

    そして、その結果、立ち上がってくるのは、全く新しい「論語」である。

    あたらしい「論語」は、ノーバート・ウィーナーのサイバネティクス理論、つまりフィードバックをもつダブルループ学習である。つまり、「学習する組織」である。そして、ドラッカーの思想も、基本的には「論語」であることが示される。

    つまらん、経営学の本を読むのはやめて、これを読め!といいたい。

  • 他の論語本と異なり、解釈の仕方が独特で、納得させられる。何度も読みたい一冊。

  • 非常におもしろかった。

  • 「論語ってこんなに面白いこと書いてあったのか❗️」と叫びたくなるくらい目から鱗の一冊。これを読んでから他の論語の解説本がつまらなく見えてしまう。

  • びっくりするくらいスッと入ってきた。論語に対して思っていたモヤモヤがスッキリした。また時々読みたい。

  • ・人は人、自分は自分である。
    ・「名」を正しく呼ぶことが、人間がまともに生きるための第一歩。
    ・親の慈悲がなければ、子の孝はない。
    ・「選択」という概念は論語にはない。
    ・メッセージの流れが一方向ならば、オルゴール人形扱いしているのと変わりはない。
    ・ウィーナーのフィードバックと学習という概念を、人間社会の運営に全面的に生かしたのが、ドラッカーである。

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授。1963年、大阪府生まれ。
著書『「満洲国」の金融』『貨幣の複雑性』(以上、創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『ハラスメントは連鎖する』(共著、光文社新書)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『経済学の船出』(NTT出版)、『原発危機と「東大話法」』(明石書店)、『生きる技法』『合理的な神秘主義』(以上、青灯社)、『生きるための論語』(ちくま新書)、『満洲暴走 隠された構造』(角川新書)ほか

「2021年 『生きるための日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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