歌舞伎のぐるりノート (ちくま新書)

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著者 : 中野翠
  • 筑摩書房 (2013年4月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066961

歌舞伎のぐるりノート (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • こんな風に歌舞伎を語れることが羨ましい。
    私も歌舞伎に惹かれているのは、それぞれの役者さん(特に女形)の所作の美しさ、オーラ、そして着物、舞台の美しさである。
    反面、ストーリーは同調できない、時には反感を覚えるもののほうが多い(今月の文楽がまさしく)ので、その辺はどんどん読めた。

    結論としては、なんだかんだ言ってないで、どんどん観るしかないのね。
    そして自分の感性を信じられるようにならないと何も語れないのね。

  • タイミング的に、新歌舞伎座こけら落としに合わせて出版されたと思われる、『演劇界』に著者が連載していたここ数年のコラムをベースにまとめられた本。雑誌コラムなので1セクションが1~2ページの短さで読みやすい。
    著者の中野翠さん、文化芸術全般にとても造詣が深くていらっしゃるが、それでも本書のスタンスは「歌舞伎通の私が歌舞伎のことを教えてやろう」というのではなく、一歌舞伎ファンとして「例えば私はこんなふうに歌舞伎を楽しんでいるよ」という感じに一緒に観客席にいるようなものである。とは言ってもその博学さ、ご自分の趣味趣向をはっきり把握しておられるところ、その明白な立場からスパッと率直にものを言うところ…に大人の女の貫禄があり、三浦しをんの、友だちみたいに連れ立って劇場に行けそうな気安い文楽エッセイとはまた違って、常に斜め数十歩前を着物で歩いている憧れの姉さん(でも私みたいなつまらない女がそうやって付き纏っても嫌がられるかも、みたいな近寄りがたさもありつつ)的な雰囲気。
    中野翠さんという方は、私は恥ずかしながら存じ上げなかったが、ちょっとばかしぐぐってみると、文化芸術社会みたいなテーマに関して「ザ・文筆業」といったお仕事をされているんですね。和洋問わずファッションにも一家言ありそうで、また本書の挿絵もご本人が書いてそうなんだがこれがまた上手くて、文系四大卒以上の女なら少なからず憧れを持たずにはいられない存在と言えよう。趣味や主義の合う合わないは当然あるにしてもね。他の著作も読んでみたい。
    本書では歌舞伎を出発点に、関連する(あるいは著者が連想した)古今東西の映画や落語や書籍などがたくさん紹介されているので、歌舞伎自体にあまり触れたことがなくても、波長さえ合えばきっと楽しめると思います。

  • 「歌舞伎のぐるりノート」ちくま新書、2013、中野翠さん。
    読書会の課題図書。素直に楽しめました。
    中野翠さんは、(前提として文体の好き嫌いはある程度あるけれど)、話題を絞り込んで作った本の方が、良さが出ると思います。



    テレビ芸能界などの話題一般や、世相全般についても書かれる、「大御所コラムニスト」なんだと思います。そういう文章はほとんどが雑誌とかネットとか、「発売日が決まっている媒体」に書くものでしょうから、「旬」であることが求められます。「歌舞伎とか落語とかが好きな人」が楽しめれば良いのではなくて、暇つぶしを求めている大多数の人にヒットしなくちゃならない。

    なので、コラムの話題になっている対象を、中野翠さんがホントに愛しているわけぢゃないことが多いと思うんですよね。



    で、「歌舞伎のぐるりノート」。面白い!。

    この本とか、落語についての本とか、小津映画についての本とか、そういうのが中野翠さんの仕事では好きだなあ。

    「ほんとは、私みたいな雑文屋が手がけるのは恐れ多いんですが…でも、私コレ、ホンっとに好きなんですよ!コレって素晴らしいんですよ!」

    という本。

    「専門家ぢゃない、学者ぢゃない、研究者でもない。敢えて言えばファンなだけなんです」

    という謙虚さがあって。
    でも当然、プロの物書きとして

    「そういう私ならではの、素敵な本を作ってやるぞ!」

    という思いもあって。
    そんなこんなに支えられて、

    「ほんとに好き、大好き、大大好きなことについて書いている」

    という情熱みたいなものが、やっぱり匂い立つし、こっちもなんだか幸せになります。。




    とにかく中野翠さんは中村歌右衛門さんが好きだったんですね。歌右衛門さんは僕は(多分)観たことがないのですけれど、昭和を代表する女形。なんというか、同じ女形で言うと、玉三郎さんの前の世代の、巨人ですね。

    と、いうくらいしか、僕は知識がありませんでしたが。

    中野さんのこの本は、タイトル通り、「歌舞伎と、歌舞伎をぐるりとめぐるよしなしごと」についての軽い本。
    別段、役者をみんな分かってなくちゃとか、有名な芝居を知ってなくちゃとか、そういうことを読み手に求めません。歌舞伎の約束事なんて何も知らない、知っていても雰囲気だけ、というのでオッケーな本。
    そして無論、あちこちに長年、中野さんが書いてきたものをまとめたのが幹になっている本なんです。

    なんだけど、とにかくもう。

    「私は歌右衛門さんが好きだったんですっ!ほんとにっ!。素敵だったんです!」

    という溢れる思いがよくわかります。というより、その愛情と敬意、その情熱だけが、読み手の側にも最後には残ります。そして、やっぱりそういう情熱っていうのは、素敵なんですねえ。そういう、「商売抜き」の情熱がある文章と、ない文章っていうのは、やっぱりわかりますよねえ…。



    歌右衛門を見つけた若い頃の思い出。歌右衛門をおっかけたわくわくの日々。歌右衛門さんに会っちゃったどきどき。老いた歌右衛門さんを観る、尽きせぬ味わい。そして、黒子の話題、歌舞伎の求める情熱や狂気と言った楽しさ…。

    思わず、「うんうん、やっぱり、たまーには歌舞伎も良いなあ」と思わせてくれる一冊。こういうのって、良いですね。

    (人口過密でどこに行っても混んでいて高価である、という東京圏に住んでいる数少ない強みが「一年中、どこかに行けば日帰りで歌舞伎を鑑賞できる」ことですね。そんな街は世界中で東京圏だけなんですよね)

    (と言いながら、僕としては京都の南座と、大阪の松竹座のふたつが、観心地が良くて良かったなあ、と思ったりしますが…)

    (って言いながら、ぶっちゃけお金がかかるンで困っちゃうんですけれどね。そういう意味では断然のオススメは「シネマ歌舞伎」。安いもの。そして、ある程度以上の魅力があった舞台だからシネマ化されるわけで、娯楽度保証レベル高し。やっぱり、気合入れて高額はたいて見に行って、かすりもせずにツマラナイ、ということもあり得るわけですから。できれば虎穴に入らずに虎児を得られればそれに越したことないですものね)

    (シネマ歌舞伎の中でも、「おお、歌舞伎というものの楽しさがこういうことならば、ナマで観るために大金払うのも悪くないかも」と思わせて貰えるオススメは、僕としては中村勘三郎さん主演の「法界坊」「野田版 研ぎ辰の討たれ」。それから片岡仁左衛門さんの「女殺油地獄」。あるいはある種振り切れている、市川猿之助さんの「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」。どれも泣けて笑えて怖くてわくわくです。歌舞伎のルールなんて関係なく。演劇です。ドラマです。でも、どれも確実に、歌舞伎だからこそ魅力の幅も深さもドーンと大きくなっています)



    肩の凝らない、スルスル読める一冊でした。
    巻末に対談が入っていて、中野翠さん、丸谷才一さん、中村勘三郎(当時まだ勘九郎)さん、というため息のでる豪華面子。楽しそうにかるーくゆるーく、「歌舞伎って実はヤバいんだよね、面白いよね」みたいな。
    結論ありきではないとりとめのなさの魅力が、中野翠さんの持ち味を表している気がしました。

  • 歌舞伎は血沸き、肉踊るもの。

  •  歌舞伎座の七月大歌舞伎が大人気でどうしても夜の部のチケットしか取れず、昼の部を諦めきれなくて一幕見席を狙って早朝に行っても秒殺で売り切れ(涙)……夜の部までの長ーい時間つぶしのために冷やかしのつもりで入った土産物屋でこの本を発見して購入。おかげで首尾よく時間をつぶせて帰りの電車の中で読了。
     中野翠女史のイラスト入り映画評が大好きで、一時期かなり耽溺していたものだが、洋画をあまり観なくなってから自然と中野女史の文章からも遠ざかってしまっていたことに今さら気づいた。女史が歌舞伎や落語にも造詣が深いことは知っていたが、1冊にまとまるほど歌舞伎評を書いていたとは。
     久しぶりに読んでみると、やっぱり面白い。そしてあまりにも共感ポイントが同じことにも驚嘆した。洋画(というか、西洋人)に対するスタンスは女史と私とではかなり違う点も多いのだが、歌舞伎に対するスタンスはむしろ気味が悪いほど共通している。菊之助が主演した映画『怪談』や今日観た演目の『熊谷陣屋』については私の感想とほとんど全く同じ感想が書いてあってびっくり。昨今の若い女の子の浴衣に対する感想なんかも(笑)。中野さんも八犬伝が大好きなんだって~~?! 私も私も私も!! だから昼の部の第一幕だけでも観たかったんだ~~~!!
     最も共感した一文を引用しておいた。私が歌舞伎や源氏物語やシェイクスピアを愛する気持ちが、まさにそれなのだ。

  • 「歌舞伎的なもの」は実に適切な

  • 読了。

  • 歌舞伎に関するエッセイ。面白く読んだ。

  • 歌舞伎とその周辺に関するコラム集。10年以上歌舞伎を見ているが、中級者にもなれない読者として、何十年見てきても通になれないという著者に共感した。巻末の十年以上前の中村勘九郎(当時)、丸谷才一と著者の座談も面白い。

  • 血が騒ぐんだって。

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