チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える (ちくま新書)

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著者 : 丸川知雄
  • 筑摩書房 (2013年5月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067166

チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 中国には、成功を目指してわずかな資本で会社を創業する人が大勢いる。著者は、なにも資本を持たない普通の大衆でも才覚と努力と運によって資本家にのし上がっていくという状況を「大衆資本主義」と定義した。著者は、ゲリラ携帯電話産業、太陽電池産業に従事する企業とレアアース鉱山などの大衆資本主義が発展した事例を取り上げて観察してきた。中国の経済を成長させる大きな原動力は事業で成功して資本家になるドリームを持つ中国人だと伝えようとしている。

    中国の大衆資本主義は中国経済に何をもたらしたのか。まず、資本家が次々と現れ、企業の数が多い。本書では、深圳のゲリラ携帯電話産業、太陽電池産業に従事する企業とレアアース鉱山などの事例がある。また、展開の速さも際立っている。ゲリラ携帯電話、太陽電池、電動自転車の各産業は、産業が一定の成熟にいたるまで5年から10年という短期間に進展した。さらに、大衆資本家たちの間で急速に役割分化が生じた。既存の企業の事業活動をより円滑に遂行させ、かつ新しい企業も参入しやすくなるような生態系を形成されるようになった。

    他方、産業が急速に成長したなか、大衆資本家たちには経験と技術が不足しており、中国の民間企業は中小企業ばかりだという論点もある。著者も中国の経済成長が停滞すると民間企業が次々と倒産する可能性について否定せず、『企業の多産多死』と指摘した。

    著者は大衆資本主義が最も原初的な資本主義の姿、資本主義の活力だと論じた。日本の草の根資本家の奮起を期待している。著者の意見に共感している。民間企業の経営は難しくなったが、「混合所有制経済を積極的に発展させる」という政策がある。だから、大衆資本家たちが国有企業改革に参加する、あるいは、混合所有制企業を発展させることは企業を継続させることができる。また、国の経済にも活性化を与えることができると筆者は考えている。

  • 興味深い本である。
    中国経済の本といえば、ほとんどがマクロな視点からのものばかりなのだが、本書は「鳥の眼」ではなく「蟻の眼」の本である。中国の足下で起きているダイナミックな動きがよくわかる。
    おそらく経済が勃興する国家の一時代にはどこでもある風景なのかもしれないが、すでに高度成長時代を遠い昔に過ぎ去った日本に生きる私たちにとってはなんとも眩しい光景である。
    ただし、これらの現象が本書で主張するように普遍的なものなのか、それとも中国で起きている様々な現象のごく一部なのかはもう少し検証が必要かとも思えた。

  • 中国における特にこの10年ちょっとの経済発展における特徴をとらえて、中国の経済体制が西側(欧米側)が考えるよりもずっと民間主導でダイナミックに展開しているということを論じている。

    中国に住んでいれば(あるいは中国ビジネスを気をつけてみていれば)必ず見知っているであろう、「携帯電話、電気自転車、太陽電池」といった製品を題材に、ある地域において爆発的に同製品でベンチャーが発生していることを調査し、そこから中国においては若者による起業が非常に多く、官が「意図しないところで」経済が発展していくことを論じるのが本書の骨子である。そういう意味で、本書は経済全体を語ると言うよりは、著者が考えるある理論をさせるためのいくつかケース集という位置づけであると考えるのがよいと思う(経済的というよりは経営的といってもよいかもしれない)。

    新書と言うこともあり、本書の内容を知ったからと言ってビジネスが次につながるような話があるわけではないと言う意味において、ビジネスパーソンである自分から見ると、★3つ。

  • 大きな国営企業ではなく、ゲリラ的な小さなメーカーがたくさんできて、中国の製造業がどう発展してきたか、携帯や自転車の様から説明。わかり良い。

  • 事業で成功して資本家になる夢を持ち中国人が大勢存在することが中国の経済を成長させる大きな原動力となっている。
    ゲリラ携帯電話産業。脱法行為を行い、企業名もわからないような神出鬼没なメーカー。リサイクル機とは大手メーカーの中古携帯を回収し、壊れた部品を入れ替えて新品のような状態にしている端末。
    中国はかつては自転車が名物だったがバイクやら自動車に代わった。公害になるのも当然だ。

  • 中国へ行ったのはかれこれ10年近く前になりますが、その頃でも中国人のパワーというか国として活力には圧倒されました。もちろん北京や上海などの沿岸都市部での話ですが。そういう体験からすれば著者が本書で取り上げた大衆による起業は納得できるのではありますが、最近読んだいわゆるチャイナ・ウォッチャーの本ではしきりに「国進民退」、つまり国有企業が伸びていて、民間企業は苦しい立場に立たされているということを強調していました。いったいどちらが中国の実相をとらえているのでしょうか? 確かに著者が分析しているように、数字を経済学的(?)にとらえればその通り名のでしょうが、本書を読んでいると実際の中国人の顔が見えてこないきらいがあります。確かに個人名は出てきますが、なんとなく本書全体を通じて机の上で公式統計だけを眺めて書いているような印象を受けてしまいました。もちろん著者は何度も現地に赴いて取材を重ねていることはわかるのですが。

  • 332.22||Ma

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