- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480067395
感想・レビュー・書評
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副題はバッハのゴールドベルク変奏曲から。この本そのものがゴールドベルクを意識した本。まずグレン・グールドに始まり、最後もグールド。その30曲の変奏に30名のピアニストを準え、全体が一つの変奏曲!アシュケナージ、ポリーニ、アルゲリッチ、リグットなど60年代にデビューしたピアニストの紹介から始まる。文章が美しく、表現力が多彩なことに驚く!それぞれのピアニストたちが生き生きと魅力的!いくつか紹介すると。
ポリーニ「過去への追憶ではなく、未来への夢がある。それはかつては希望という名でかたられた進歩の思想だ。・・・冷静な知性のコントロールが徹底されているからこそ、強い感情がより鍛えられたかたちで籠められる。そして細部まで均整をもって覚醒し、研ぎ澄まされたなかに演奏者や聴衆の自我を超えた結晶を高らかに歌い」清水和音「音楽を生きる中では永遠の青春はきっと可能な夢だ。再現可能な形式観と獰猛に溢れ出す情熱や情念、自由な想像力との輝かしい連帯である。そこには永遠も一瞬もあり、全ては過ぎていく。音楽が記憶の芸術であるのは生来の必然である。」この著者とピアニストとの語らいの中で出てきた珠玉のような言葉である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても参考になります。
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ピアニストの音楽に向かう姿勢を紹介する1冊。
30人のピアニストを演奏や、CDのレパートリー、インタビューなどから紹介している。30人を同じパターンで紹介するのも芸が無いと判断したのかなぁ。インタビューは全員の分が収録されているわけではない。そこはちょっと残念。
ペライア(モーツァルトのコンチェルトが好きだな)の「楽器を演奏するのは難しい。膨大な時間を費やし、練習して練習して練習して、そして音楽は失われる。だからこそ音楽への愛が必要なのです」は忘れられない。