つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)

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著者 : 猪谷千香
  • 筑摩書房 (2014年1月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067562

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つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

  •  確か“Gunosy”経由で『走れ!移動図書館』とあわせて知り、新年早々になんとも印象深く残った一冊となりました。現在の私自身の興味がこの辺りを漂っていると言うのもあるでしょうが、あらためて“Gunosy”の便利さを実感しています。

     “図書館は私の書斎だ”、そんな風に言い切る著者・猪谷さん、その方が、ただの“無料貸本屋”ではなく、あくまで「利用者に寄り添う“情報サービス”機関」として変化をし始めている図書館たちについて取り上げた内容となっています。

     確かに“本”は古くから慣れ親しんできた情報資源(メディア)の一つですが、それが全てではなく、最近では、新興のデジタルメディアもその収集対象となりつつあります。

     “『知識は万人のものである』ということ。”

     その根底にあるのは、「図書館の社会的使命は様々な“情報資源”を収拾し、必要とする利用者に情報を提供すること」との点でしょう。

     それらを語るための題材として取り上げられているのは、「武蔵野プレイス」「千代田図書館」「小布施町まちとしょテラソ」「鳥取県立図書館」「武雄市図書館」「伊万里市民図書館」「国立国会図書館」「飯能市立図書館」、そして「島根県海士町の図書館」など、全国から多種多様に。

     “利用者目線からいえば、図書館にカフェや書店があり、
      夜まで開館していることは無条件にうれしい。”

     中でも武雄市はTSUTAYAとコラボしたことで、賛否両論入り混じりながら話題になっていたのでご存知の方も多いかと思います。もちろん、個人情報の取り扱いや公共性の担保、商業施設との棲み分けなど、懸念点も多く指摘され、実際に問題にもなっています。

     それでも、まずはやってみないと分からないだろうと言うのが、個人的は思います。

     “この十年で全国に広がりつつある
      図書館による地域の課題解決のためのビジネス支援”

     なお、武雄市図書館の集客力は飛躍的に高まり、宿泊客や車での観光客などのシャワー効果で地域経済にも影響を与えているとのこと(試算で年間3-4億)。地元だけではなく、市外・県外からも多くの方が来られていて、これは非常に興味深い現象です。

     ただ、武雄市のこの成功は指定管理者制度の“功”の部分でしょうが、同時に、表に出てこない“罪”の部分、特に雇用が不安定であるがゆえにサービスの継続提供が不安定にならざる得ないとの辺りについても、把握しておきたいところ。

     “(図書館の新しい価値は)いろいろな人が訪れ、いろいろな情報が揃っています。
      新しい情報と人がクロスし、出会える。”

     人が情報を求めるのは、やや大上段に言えば「一人一人が、自分に自信と誇りを持って生きていくため」と思います。そのための“情報のハブ(本書ではコミュニティの核と表現されています)”となる施設が、図書館に代表される“生涯学習施設”であろうと、そんな風に感じた一冊です。

  • 図書館職員なのに,今やっとこの本を読んだ。面白いのは,ソーシャル・デザインの授業で知った様々なまちづくりプロジェクトを起こしている地域と,ここで紹介されている図書館との地域がかぶること。まちづくりそのものが図書館を中心にされている事例も多く,実はあまり公共図書館を使ってこなかった私には,ある意味新鮮だった。図書館にはそんなにも力があるのだろうか・・・と。
    一つ,面白いなと思ったのが,「課題解決型図書館」がクローズアップされた背景には,貸出が自動化されるなどの状況の変化から,「司書不要」のような流れがあり,それを止めるため,司書でないとできない仕事を作る必要があった,というくだり。これ,大学図書館にラーニング・コモンズをつくろう,って言われ始めたときときわめて状況が似てるなあと思った。考え方が,やっぱり,「図書館ありき」であって,人々が豊かな社会を創るときに何が必要かって考えられたってわけじゃないんだなあ,と。今でこそ,ラーニング・コモンズの必要性はわかってきて,ハコモノさえ作ればいいんじゃないってことも浸透してきてるけど,じゃあ,どうすれば,っていうのが必ずしも利用者の視点にたってない感じはする。現場で働く司書は,その意義は十分わかってる人が多いはずだけど,上部機関がそのあたり理解してなかったり,だからハコモノになってしまったり。
    ここで紹介されてる素敵な図書館たちが,特に珍しくもなくあちこちに存在するようになったら,もっと暮らしやすい,心豊かな社会になるんだろうなあ,という気がします。

  • 2014 1/18読了。京都駅のふたば書房で購入。
    巷で話題の図書館関連新書。
    海土町のお話以外はさすがに業界内ではみんな知っている話、ではあるんだけれど、それら要点をこの分量にまとめているのは有り難い。
    学生に「最近、公共図書館業界で話題になっていることとか争点とか知りたかったらとりあえずこれ読んどけ」って紹介したいレベル。ていうかしよう。

  • 地元の図書館の裏側を知りたくなった。代官山TSUTAYAに初めて行ったときの感動は忘れられない。なぜか、図書館、本、コミュニティ、町づくり、って聞くとワクワクしちゃうんだよね。やっぱ、ひとが人をよぶんだよね。地域や土地柄も大事だけど、どんな人のために、誰を動かしたいのか、誰が集まるのか。1番はここだと思う。

  • なんでかわからないけれど読んでいて何回か涙が出た。
    やればできるという達成感よりも、未来を担う子供たちのためとか、町作りとか、図書館と人あるいは人と人のつながりが見えたからかしら。
    海士町の話はとくにそうだった。

    本書は冒頭からわくわくするような図書館がいろいろ出てくる。司書さんだけでなく図書館に関わる人はこんなにも熱いのかと思う。はたから見ているととても静かなので気づかないのだろう。

    伊万里市と武雄市の図書館の章は、とくに武雄市について賛否両論を載せ、しかし筆者はそこに踏み込まず、別の希望を載せているところがよかった。

    県立と市立それぞれの存在意義や、無料貸本屋からの脱却のところも読んでいて面白かった。

    図書館も他を真似していては没落するし、住民はどういう図書館がほしいかを考えていかないとうまくいかない、という厳しい宿題に頭を悩ませる。

  • 公平でわかりやすい。現在時点での図書館の課題と可能性がこの一冊で概観できる。良書!

  • 図書館が変わりつつあることは理解していたが、これほど多種多様な状況になっているとは。
    自分としては、図書館派ではなく、購入派なのだけれど、図書館と本屋が併設しているところまであるとは...
    わが町の図書館を振り返って見ると...やめておこう。
    でも、確かに魅力ある図書館はまちの活性化に大きく影響してくるということは確かなことのようだ。
    刺激を受けた。お勧めしたい本だと思う。

  • 公共図書館の在り方が利用者に寄り添うように着実に変化してきている。本書で取り上げられた図書館は、サービスの充実ぶりにメディアで話題になったところばかり。司書の専門性を活かしつつ、利用者にどんなサービスを提供できるのかー深く考えさせられる1冊でした。

  • 元新聞記者が、最近の図書館に起こっているトレンドを書き出したもの。凄く読みやすい仕上がりになっている。ここに書かれている図書館や人を実際に知っていれば知っているほど、違った人の立場から見た視点が面白い。

  • どんどん変化進化してゆく図書館を注目し続けたい

  • 長く図書館を利用していないので、わが町の図書館に行ってみようかと思いました。
    が、駐車場が数台用しかない!これがお寂しい地方都市の現状で、この本に出てくる図書館が羨ましい。

  • あちこちで話題 になっている図書館の取り組みをルポ。複数館がまとめて紹介されているので比較しながら読め、それぞれの特色がわかりやすい。今後、図書館界の変化の流れを伝える資料になっていくのかな。

  • 公共図書館も進化してますね。単なる外部委託化は進化だとは思いませんし、相当前から日本だけでなく全世界の図書館がその潮流に飲み込まれています。クローズアップされている武雄市図書館や伊万里市民図書館はそれぞれに素晴らしいと思いますが、個人的には伊万里市民図書館の方が好感が持てます。

  • 無料で本が借りることができる地域サービス。いわば私たちが納税した税金から成り立ってるのね。

    作家は全国に図書館があればその数は本が売れ印税は入るけど、無料で沢山の人が本を読むってことはなんか違和感がある

    本を読むのが好きだけど作家にお金は払わない
    それって本当に本が好き?作家を愛している?
    本を読んでいる自分に溺愛してるだけじゃない?
    図書館で借りた本にありがたみを感じなくなりました。
    自治体が営利目的ではなく著者に利益を配分する目的で10円、20円でも借り手が支払って二次使用料を徴収して著者に還元してほしい。
    この仕組みがあれば書いた方も読んだ方もお互いが相互利益になると思うんだけど

    税金払ってるから、自治体のサービスだから
    という前に著者の権利は…
    これは図書館法という物が立ちふさがるので、私の言ってる図書館で二次使用料徴収は法的に権利として認められない

    著者に本を読まさせてくださいっていう意味で
    私は新刊や文庫本を買います。

    といっても公務員や政治家は徴収された税金をお給料としてもらって生活してるわけだから心に響かないわね

    中堅の貧乏作家さん達、立ち上がらないかしら?
    図書館二次使用料徴収計画

  • 本を仲立ちにしたコミュニティの核になっている事例、民間企業のノウハウを導入してこれまでに提供されていなかったサービスを提供して利用者数を伸ばしているところ、中小企業のビジネス支援を通じて地域経済の発展に貢献しているところなど、さまざまな図書館の取り組み事例がまんべんなく、分かりやすく紹介されていた。

    それぞれの取り組みは、これまでの図書館の概念から一歩踏み出しているが、その方向性はさまざまだと感じた。

    このように多様な取り組みが生まれてきているのは、図書館のあり方自体が大きく問われているからなのだろう。その図書館が立地する地域、利用者の属性などによって、いろいろな図書館のあり方があり得るということを示しているように感じた。

    ただ、図書館が図書館である所以は、書籍や史料といった「情報」を集め、整理し、それを利用者に提供するという基本的な役割であると思う。そのための基本的な能力(専門的な職員の配置や整理・分類・保存といった活動に必要な施設等)をしっかり確保することは忘れてはいけないと思う。

    指定管理者制度や地域のコミュニティとの連携を深める取り組みを進めていく一方で、そのような図書館の基礎体力をどう維持していくか、行政の側も考えていかなければいけないと感じた。

  • "利用者の年齢を選ばず、職業や収入も選ばず、無料で使える稀有な公的施設公共図書館。私たちの人生にチャンスを与え、私たちの暮らす町をより豊かにする可能性を秘めた「図書館」が、いま変わろうとしている。そのさまざまな試み、最前線をゆく図書館を取材・報告する。"

    公共図書館の役割とは何か?
    以前、私の暮らす自治体の事業仕分けである仕分け人が「ツタヤが有るんだから公共図書館なんか、専門書だけ置いておけばええねん」といった趣旨の言葉を聞いた時に「それはちゃうやろ?」と思ったことがあります。

    実際、その後、佐賀県武雄市でツタヤの運営母体であるCCCが指定管理者となって、カフェや蔦谷書店を併設した図書館がオープンしましたが、従来の公共図書館をイメージする人には賛否があるようです。

    この本では昨年大きな話題となったその武雄市図書館を始め、様々な図書館の試みが紹介されています。
    単なる「無料貸本屋」ではない地域を豊かにする情報集積地、コミュニティの核としての役割を目指す図書館の試みは読んでいるだけでもワクワクします。

    今度はここで紹介されている図書館に行ってみたいなぁ。

  • 手元において読み返して、図書館よりに凝り固まった考えをやわらかくしたい。

    指定管理者制度を毛嫌いするわけでも、
    welcomeするわけでもどちらの立場でもないけど、学ぶべき、見習うべきところはあるし、
    日本の全体的な流れとして、民間の手法を使って発展していくだろうから、
    ダメ、あり!の2択理論でなく、
    そもそも利用する市民にとって、ってとこを視点に、利潤?的なことだけじゃなく、
    公という、施設の持つ意味も含めて、
    優れた図書館活動をするにはどうすればいいのかっていうのを考えるときなんだろうな。

  • これからの図書館の可能性を考えられる本。
    最近話題の「武雄市図書館」についてのレポートも興味深かった。
    あと、今気になっている指定管理者制度についても書かれていた。

    図書館関係者(自分を含む)は、指定管理者制度については否定的な人が多いのだけど、一般の人は歓迎する人が多いようだ(夫を含め)。
    それだけ、司書の専門性を発揮できてこなかったのかなぁ・・・と反省(自分を含め)。
    これからの司書と図書館の可能性を考えるのに、とてもよい本だと思った。

  • 今、少しずつ図書館が変わっている。スマホや、電子図書が普及し、紙媒体の未来が危ぶまれているが、図書館を見直し、「無料貸し出し本」の概念をうちやぶり、地域に密着した、利用者のこうあってほしいという声を取り入れた、話題の図書館。こんな図書館が近くにあったら通うだろうな、というものもあったので、ぜひ全国に増えてほしいなと思う。

  • 渋い本読むねーと言われたんですが、これ、タイトル以上に世界が広がる本ですよ。閉じた世界に見えるパブリックな空間が、社会と繋がった時、ワクワクするような化学変化を見せてくれるという話。
    ネットワークの世界の人が、公共機関に関心を持つのは変化を起こしやすくてやりがいがあるからだろうね。
    筆者が元新聞記者だけあって、ルポ感覚でとっても読みやすかったです。

  • 図書館を取り巻く厳しい現状の中で、全国各地の素晴らしい活動をしている図書館を取材し、そこに光明を見出そうと試みているように読んで感じられた。

    紹介されているのは千代田図書館、小布施町まちとしょテラソ、鳥取県立図書館、武雄市図書館、伊万里市民図書館、島根県海士町など。指定管理の図書館や市民・町民が一体となって創り上げた図書館、首長の主導で作られた図書館など様々。それらの図書館がどのように作られたのか・どのような活動をしているのかを丹念に取材し紹介することで、図書館というものがどのようなもので成り立っているのか、どんな問題を抱えているのかが見えてくる。

    しかし、ここに書かれていることが全てではないし、読み手が関わっている・使っている図書館に当てはまるとは限らない。当たり前だけど、図書館というものは一面的に捉えられるものではない。ただ、ここに書かれている図書館を知ることで、自身が関わる図書館の何かが浮き彫りになる、それまで見えなかったものが見えてくる可能性はある。図書館に深く関わる人間であれば、読んでおきたい本。

  • 利益が出ないから、か。
    図書館は未来への投資だと、想うのだけどね。

  • 「建物の外へ概念を広げる」って良いですね!

    筑摩書房のPR
    「津田大介氏推薦!
    地域を支える情報拠点として変わる図書館を取材・報告
    公共図書館の様々な取組み。ビジネス支援から町民の手作り図書館、建物の外へ概念を広げる試み……数々の現場を取材すると同時に、今後のありかたを探る。」

  • 各地に「本を借りる」だけではない魅力的な図書館が登場!
    個性的な図書館を紹介しながら、
    図書館を取り巻く状況を分析しています。

    インタビューや資料などで客観的に分析されていて、
    図書館界の中から見えない部分も見れて、
    参考になりそうです。

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