平和憲法の深層 (ちくま新書 1122)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068279

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  •  本書の著者はこれまで『新憲法の誕生』(後に増補改題して『日本国憲法の誕生』)、『「平和国家」日本の再検討』などの著作を通じて、日本国憲法制定過程を実証的に明らかにし、特に「9条」が天皇制の存続、昭和天皇の訴追回避、沖縄の分離をセットとするマッカーサーの(アメリカ本国ではない)戦略の帰結であったこと、「押し付け」論によって必ず引き合いに出されるGHQ草案が在野の「憲法研究会」の憲法草案の強い影響下に作成されたことなどを論証したが、本書ではGHQ草案にも政府案にも存在しなかった「平和を誠実に希求」の文言がいつどのようにして「9条」に盛り込まれたか?という問題を、従来の研究では全く顧みられなかった東京帝国大学憲法研究委員会の動向の分析等を通して、一定の回答を与えている。著者の旧説をかなり修正している部分もあり、ある程度の史実と研究史を知らないと理解しにくい箇所も多いが、これまで憲法学や歴史学において見逃されていた論点・課題をいくつも提起しており、憲法制定過程に関心のある者ならば必読の書であろう。

  • 323.14||Ko

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著者プロフィール

1943年東京生まれ、早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。獨協大学名誉教授。和光学園理事長。専攻 憲政史。著書『新憲法の誕生』(中央公論社 1989、吉野作造賞受賞、中公文庫 1995、英語版The Birth of Japan’s Postwar Constitution, Westview Press, 1997)、『「平和国家」日本の再検討』(岩波書店 2002、岩波現代文庫 2013)、『憲法9条はなぜ制定されたか』(岩波ブックレット 2006)、『日本国憲法の誕生』(岩波現代文庫 2009、韓国語版 2010)、『安全保障とは何か――国家から人間へ』(岩波書店 2013)、『平和憲法の深層』(ちくま新書 2015)、『日本国憲法の誕生 増補改訂版』(岩波現代文庫 2017)、編著書『GHQ民政局資料「占領改革」 第1巻 憲法・司法改革』丸善 2001)、豊下楢彦氏との共著に『集団的自衛権と安全保障』(岩波新書 2014)、『沖縄 憲法なき戦後』(みすず書房 2018)などがある。

「2020年 『対米従属の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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