チームの力: 構造構成主義による”新”組織論 (ちくま新書)

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著者 : 西條剛央
  • 筑摩書房 (2015年5月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068309

チームの力: 構造構成主義による”新”組織論 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は「ふんばろう東日本震災支援プロジェクト」で中心的役割を果たされた、西條氏のチームマネジメント手法を中心に展開していく。新しい組織マネジメトの方法論として提起される構造構成主義の概念は、本書で初めて聞く考え方であった。

    構造構成主義は次の三つの基本原理に基づく。
    1)価値の原理:すべての価値は、目的、関心、欲望に応じてたちあらわれる
    2)方法の原理:方法の有効性は、目的、状況によって決まる(変化する)
    3)人間の原理:人は関心に応じてたちあらわれた価値を欲して生きている

    我々が実施してきた過去の多くの組織運営においては、経験に基づく知恵の体系化により、多くのマニュアル、ガイドライン、ルールを制定し、行動の規範とする場合が多かったと考える。 また、組織内の情報伝達も各階層を通過して、収集、判断、実行が行われてきた。予測できる範囲の変化とスピードに対しては、これら経験の蓄積も有効であった。

    しかしながら、予想を超えた大災害時にはマニュアル、ガイドラインのみでは不十分であり組織内の情報伝達ルートが途切れても、自主的に判断し自立的にフレキシブルに動くことのできる組織論が求められる。
    この方法論そのものは新しいものでもなく、民間レベルでの企業活動でも多く用いられてきた”現場力”の一つであろう。

    フレキシブルな組織を運営していくために、組織に参加するメンバー間に、共通の価値を達成する目的、ビジョンが必要である。
    状況の変化に応じ目的が達成されたら、新たな価値を求めるために、組織も自ら変化し消滅していくことを是とするなど、ああそうかと気づかされるところも多い。

    組織内での人を生かすという意味での”適材適所”も人は関心に突き動かされ動いていくという原理の視点に立つと、チームの有効性につながる運営も可能と気づかされる。

    ふむふむ、とうなずくところも多く、平常時ではあるが、多様な人材と日々変化する状況に対応せねばならない組織運営を新たな視点で見ていこうと思う。

  • 組織論を扱った本としては、非常に内容が洗練されていて濃い。
    常に原理を優先させていれば、誤った方向には行かないのだ。
    全ての行為は目的を達成するための手段である、など至言の数々。
    前著「すんごい仕組み」が実践編かつ、レポート的位置付けだったので、それらのエッセンスを完結にまとめてくれた本書の方が構造構成主義的アプローチについての理解はしやすいであろう。

  • 構造構成主義による「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の運営を丁寧に説明していて、なるほど構造構成主義とはこういうものかとある程度分かりました。
    しかし、構造構成主義というツールを使ったからといって、著者のような家電プロジェクトや重機プロジェクトを思い付くわけがないと感じました。つまり、構造構成主義を勉強しても素晴らしアイデアが出てくるわけではない、著者の発想力や閃きが日本最大級のボランティア団体を作ったのだと感じます。

    信念対立の解消には、お互いの立場に基づく関心から出発すれば良いと言いますが、この件がどうも引っ掛かります。本書や前書を読むと、『○○という前提(関心)があるなら××になる』というような定式化・アルゴリズム化している感じを受けます。
    信念対立については幕末の動乱期を思い浮かべます。幕末志士達は、己の信念によって、攘夷/開国、尊皇/佐幕/公武合体だったりと、様々に分けられます。それらについて、著者は『前提となる関心が異なるから対立が起こる』と言っているので、『じゃあ関心が同じだったら信念も同じになるのか?』と疑問を持ちます。それはさすがに言い過ぎでしょうが、なんかそんなニュアンスを受けます。ただ、相手の背後にある関心に注目するのは瞠目です。
    あと、『信念の対立は和解できないことがある。それは相手を認め合い尊重する姿勢が大事である』という終盤の開き直りにはちょっとガッカリでした。それを言ったらファイヤアーベントの『何でもアリ』で良いじゃん!って思いました。
    僕の評価はA-にします。

  • 構造構成主義、興味深いです。
    価値の原理、方法の原理、人間の原理からの考察。

    ここまでシンプルに絞れるのか、と思いました。
    そしてこれを自分たちで実践するのは、簡単ではないな、とも。

    信念対立についての考察も、日常的に出会うところなので、確認の意味でも参考になりました。

    私たちが価値判断を行う時、それは自らの関心に影響を受けている。そしてその関心には根拠となる物語がある。

    お互いを認め合うことができれば、それでいい、という落とし所もいいな、と思いました。

    自分の現場でも、構造構成主義を活用していこうと思います。

  • 「きっかけ(契機)によって、何らかの関心を持つようになり、その関心に応じて物事の価値判断をするようになる。」

    自分のチームメンバに、どのような価値観を持っていて、何に関心があり、それはなぜか?をヒアリングしてみようと思う。
    それから、「できるだけその人の関心と能力にみあった仕事や役職を与えること」でチームをより良くしていきたい。

  • 東日本大震災に際して、著者が立ち上げたヴォランティア組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」での具体的な経験を紹介しながら、組織論やリーダーシップ論についての議論を展開しています。

    取り上げられている具体例は、やはり目を瞠らされることが多いように感じました。他方で、本書のサブタイトルになっている「構造構成主義による“新”組織論」の内容が十分に論じられているかという点については、やや不満が残りました。著者の構造構成主義や、その発想の源の一つである竹田青嗣の欲望論は、確かに実践的な領域への応用について豊かな可能性を持っているとは思うのですが、本書の議論はそうした原理的なレヴェルの考察と著者自身の具体的なエピソードの間にかなり隔たりがあり、構造構成主義が組織の管理にどのように役立つのかということが明瞭に見えてこなかったように思います。

  • 2017.9.13
    構造構成主義を考えた著者のチーム論。新書故の限界だが、言われていることは正しい。しかし実用に関しては理論として大味すぎる。方法は目的と状況に相関する、これは個々の方法論を相対化した上で個別具体的な状況における最適な方法を導くためには重要な指摘である。が、目的と状況の認識も個々人でズレるだろう。このレベルでは、1言われて10わかる人には使えても、なかなかこの理論を実現化するためには具体的にどういう場面でどうすればいいのかがイメージしにくい。
    価値の原理にしても、欲望に相関するが、より言えばそれは個人的欲望ではなく普遍的欲望(ただしこの普遍はその当人の頭の中だけの普遍である)に相関する。そして普遍的欲望の成立根拠は承認欲求である。よって自らの普遍的欲望=みんなこれを望むだろう、の実現の困難は、1、私はみんなのことを考えてしているのにそれができないという「正義の挫折」の感覚か、2、みんなが望むことをすることで私の価値が担保されているのにそれが否定されるという「非承認の感覚」を呼び起こす。自分の思う価値は自分の欲望に相関する、という自己認識だけでは自分の価値観を相対化することはできない。それだけではこの、引き剥がされるような感覚に襲われる。必要なのはそれにプラスして、その欲望が普遍的欲望であり、それは承認を根拠にしているが、その普遍性は当人の意識においてのみの普遍性であり(個人の限られた人生で完璧な普遍性に到達できるわけがない)、より普遍的なあり方は自らの普遍性を相対化しながら他者に開かれることでより新しい普遍性を構築していく姿勢にある、ということを理解することである。強い確信ほど間主観性をもつ。ただ欲望に相関するとだけ言えば、「それはあなたの欲望でしょ?」としか言えないし、当人もそれが欲望だけではなく間主観性に根ざしたものに気づかないから、「でも私はこう思う!!」とムキになるだけである。一切の価値は欲望に相関する。さらに強い価値観ほど間主観的欲望に基づく。過去の親との関係で人格が強く固着してしまうのもそういうことなのだろうなー。異なる意見を持つ他者を理解する、特に仕事などの公共性を持つ活動において相互理解に伴ったアイデアを出し合う場合、こういう間主観性の破壊と再構築にも目を向けなければならない、と私は思う。

  • 物事の本質からなる原理を解き明かす「構造構成主義」に基づいて、組織や活動を作り上げるにはどうしたらいいかを解説した本。
    東日本大震災への支援組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げ、運営し、目標達成の末解散した際の具体的経験を例に説明が進むのでわかりやすい。

    理念が大事で、きちんと明文化すべき。
    目的と状況に応じて、最適解は変わってくる。
    話し合いのルールは、何でも言い合うのではなく、状況と目的に合った代案を出すこと。
    同じ問題関心を持った人が集まってチームを作ること。

    どれもなるほど、と思う。
    実行には難しいものもあるけれど。

  • 構造構成主義による、チーム作りは、なるほどと思うところがたくさんありました。
    自らが作ったチームの実例に基づいた文章は、説得力があります。
    このようなチームが成果を上げていくのでしょうね。
    ビジョンを下書きと定義するのは、面白いですね。

  • 作者が体系化したと言われる構造構成主義がどういったものかはいまいち僕はわからなかった。
    が、方法の有効性は、状況と目的によって変わるという方法の原理を共有し、機能的に方法を変えていく姿勢や、人間の原理を加味してボランティアとしてチームメンバーに接する姿勢は、自分の会社でのチーム運営において忘れていたことなので、大いに参考になった。

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