文化立国論: 日本のソフトパワーの底力 (ちくま新書 1148)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068514

感想・レビュー・書評

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  • この人のいう文化はどちらかというとオペラなどのハイカルチャー寄りで、サブカルチャーに寄った文化立国論ではあまりなかった。現実に起こっているのはサブカルチャーによる聖地巡礼などによる文化立国であるが、それでも本書は文化の大切さを説いた良い本だと思う。

  • 文化庁長官の日本の文化政策への思い、そして文化立国実現に向けての提言が語られている。文化政策や文化の力を活用した地方創生に関心があり、興味深く読んだ。文化の力で国を地方を元気にすることは大切。芸術文化も伝統文化も生活文化もすべて人が生きていくうえで必要な「文化」であり、どのように私たちを豊かにするのか、考える必要がある。

  • 1964年の東京オリンピックを挟む1955年から1973年までを高度経済成長期といい、GDP成長率は年平均9.1パーセントであった。しかし、それを支えたのは人口増加であり、すでに人口減少時代に入った日本が、GDPの高い成長率を取り戻すことはない。
    ゆえに、これからの日本人の暮らしを豊かにするのは物質ではなく、文化である。文化による精神的満足が大事になる。
    また、近年加速するグローバル化はアメリカ化とほぼ同義であり、それは反作用としての反グローバル化の流れをもたらした。アイデンティティを自国の文化に求め、自国ファーストの考えが世界を分断しつつある。
    イギリスのEU離脱もしかり、スコットランド独立のための選挙しかりである。グローバル化の震源地であったアメリカ自身が、トランプ政権によって露骨に自国の利益を優先している。
    こういった背景の中で、各国が自国の文化を主張し、世界にアピールする戦いが繰り広げられている。
    20世紀は軍事力、経済力の時代であった。
    21世紀は文化力の競争の時代である。

  • 成熟社会に入った日本は、これから文化をベースにしていくべきと論じる。日本には自分たちが気づいていない伝統文化をもっと発信していくべきとある。そういった面もあるだろうが、日本の伝統文化を過度に評価しているようなにも思えた。

    とはいえ、地方再生の役割を担う事例は興味深いと感じた。

  • 今、わが国で文化の存在価値が大きくなっているのは、グローバル化が一つの重要な要因だという。そのような中で、わが国の文化行政の予算の多くが文化財の保護と国立文化施設の運営整備に充てられているが、文化立国実現のために必要なことは・・・少し内容が薄かったかなと感じました。

  • 文化庁長官が語る「文化」論。日本のソフトパワーの底力、それは、外来の文化を柔軟に取り入れ、寡黙でシャイな日本人ではあるが、連綿と培ってきた「和」の心で各地の小さな文化をネットワーク化し、切磋琢磨することにより世界が絶賛する日本文化を花咲かせるに違いと言っている。
    無味乾燥な大都会の発想である「日本消滅」では、出てこない思想・哲学である。
    産業革命で勃興しながらも、脱工業化社会で落ち込んでいたヨーロッパの都市の再生は「文化」であった。
    日本という国は、先進ヨーロッパの少し後を行くパターンである。
    日本の各地で、明確な構想と強いリーダーシップの首長の下、文化創造都市・村が立ち上がってきている。
    第1章 グローバル化の中の日本
    第2章 日本文化とはなにか
    第3章 日本の文化政策
    第4章 外国の文化政策
    第5章「文化立国」実現のために
    勉強になりました。 

  • 20151117読了

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著者プロフィール

1944年生まれ。東京大学副学長、国立西洋美術館館長、国立美術館理事長を経て、2013年より第21代文化庁長官。

「2014年 『アーカイブ立国宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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