台湾とは何か (ちくま新書)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068910

感想・レビュー・書評

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  • 転換期の台湾|ちくま新書|野嶋 剛|webちくま(2016年5月10日)
    https://www.webchikuma.jp/articles/-/100

    筑摩書房 台湾とは何か / 野嶋 剛 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068910/

  • 台湾とは何か。日本から見た・中国から見た・歴史的に・そして今、台湾とは何者かを日本人目線で理解することができる本。
    時事モノとしては少し古いけど、図書館で見かけて大学時代の講義を思い出して借りた。当時は初めて民進党が政権取った時代で、中国とは異なる歴史を歩む台湾は盛り上がっていたことを覚えている。
    本書は現地に詳しい新聞記者目線から見た、日本人が知らない台湾の基本について分かりやすく解説してくれる。ちょっと勢いのある主観的な書き方が気になったが、正論とか事実だけを振り回すではない、現地の事情を理解した説明は説得力がある。
    なお、本書は中国の影響増大・トランプ出現する前に書かれたものであるので、本書が取り上げている最新情報・未来については昨今の情勢で各自アップデートする必要はある。しかし、日本と台湾の歴史的な関わりと現代、そして何より中華民国ではなく「台湾」として生きようとする在り方をこの1冊で知ることができたのは収穫だった。

  • 台湾面白い!こんなに捻れていたことを全く知らなかったことを強く恥じる。ぜひ行ってみたい。

    230105再読
    やっと行けることになりそうなので再読。
    終章の「日本は台湾とどう付き合うか」の部分は改めて考えさせられることが多い。

  • 重すぎず、でも実際に体験されたことを元に綴られた台湾という実体を持つ政治体の入門書。特に馬英九の台頭と敗戦の経緯に関連するあたりが爽快な小説を読んでるようで面白い。

    2020年の統領選挙の前に読んでおくと、これからの選挙は一層興味深いものに見えるのではないかな。

  • 今年は台湾で民進党への政権交代かつ初の女性総統誕生。連日のニュースが気になり、本書と、祭英文と温又柔の著書を読みました。祭英文の著書からは、国内の産業や観光資源にもっと目を向けた政策を重視したい意向を感じ、温又柔の著書からはやはり中国人ではなく台湾人のアイデンティティを感じました。当人は、2年以内に台湾の入国がないことが原因で4年前の総統選挙で選挙権がなかったものの、中国大陸で台湾の半導体を売る台商である叔父と父親が大陸との関係を重視する国民党を支持していることなどが描かれていました。本書を読み、2つの著者を総括的に理解する手助けになりました。

  • ジャーナリストなのでやはり読みやすく面白い。冒頭から巻末まで淀みなくどんどん読んでしまう。内容的には、政治的な事柄とアイデンティティについてが殆どだ。著者は、もっと台湾のことを直視しろ、議論しろ、と言う。私も二週間後、本書の内容を思い返しながら、台湾に行ってこよう。

  • オードリー・タンさんの著書に触れ、台湾の民主化の経緯を知りたくなって読んだ。台湾の歴史、同時に日本との関係もあまり知らなかったことが恥ずかしくなった。

  • 台湾の政権についてから、対日本、対中国の関係性、台湾のアイデンティティなど台湾を深く掘り下げる。

  • 読了。
    いま香港で起こっている事を理解し、そのありうべき未来を予測するにあたって、日中の政治パワーの狭間で絶妙なバランスを保ちながら、独自のポジションを築き上げた台湾を考察するのは、それぞれの立場に於いても大いに意味のあることだろう。
    元朝日の記者にしては(笑)、非常にバランスの取れた観点で、フェアに現在の台湾を描き出そうとしているのは好感が持てる(でも、ちょっと蔡英文に肩入れしすぎかな)。

  • 「親日国(地域?)台湾」。これが多くの日本人が台湾について語る言葉である。しかし、著者が指摘するように、残念ながら多くの日本人は、台湾の歴史(特に日本との関係)を理解することなく、ただ「思考停止」しているというのが事実ではないだろうか。台湾を等身大の台湾として理解するための入門書。これが、本書の位置づけのようである。

    台湾の歴史は複雑だがその分面白い。500年前まで南島語族の先住民族の居住地だったが、16世紀以降、福建系・客家系の南方系漢民族など新たな族群が渡来。「海洋アジア」と「大陸アジア」などが混在する多様性に富んだ民族構成になっている。日本統治50年の結果、日本文化に造詣が深い日本語話者も少なくない。
    日清戦争(1894-95)、辛亥革命(1911-12。1912年1月1日南京に中華民国成立)、日中戦争(1937-45)、国共内戦、東西冷戦という、東アジア世界を大きく変えた近現代史の大事件に、台湾は深く絡んでいる。台湾はアジア世界の縮図のような国なのである。

    国連との関係も注目すべきだ。常任理事国は国連憲章で規定されており、今も中華民国(The Republic of China)が含まれているのである(第5章-第23条1)。
    The Security Council shall consist of fifteen Members of the United Nations. The Republic of China (略) shall be permanent members of the Security Council.
    1971年に中華人民共和国が加盟を果たそうという時、蒋介石総統はアルバニア決議「国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復」(10月25日)を不服とし、国連を脱退。中華民国の立場を中華人民共和国が引き継いだ形となっているのだ。

    尖閣諸島問題について、中国人の領土認識では、尖閣諸島は台湾の一部であり、台湾は中国の一部だから尖閣は中国の一部という論法らしい。そもそも、台湾には中国の権限が及ばないはずなのに。その一方、1895年に無主地である尖閣諸島を「沖縄県」に編入した事実を記載しないのは、明らかに元朝日新聞記者としての偏向の表れだ。

    台湾の独立問題で重要なのが「92年コンセンサス」。これは「中国と台湾がお互いひとつの中国を否定しないことを信頼関係の基礎とし、ひとつの中国がそれぞれ同床異夢であることはあえて問題視しない」という確認事項である(p.186)。民進党はこのコンセンサスは存在しないとする。
    台湾の独立は、「理想主義」と「現実主義」の対決とも読める。しかし、国民党の「現実主義=現状維持」という言葉によって人を感動させることはできるであろうか。一方民進党は、「いずれは独立」という「理想主義」を持っている。最近は「天然独」と呼ばれる、生まれながらの独立派が増えている。彼らには独立の「理論」はない。ただ「台湾は台湾だ」と考える。
    台湾の行く末は、日本に大きな影響があるだけに、思考停止ではいられない。問題は国民だけではない。日本の左派・革新勢力(野党)は台湾との付き合い方において定見を持てず、軸足が定まらないことも問題を大きくしているのだろう(p.254)。

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著者プロフィール

野嶋 剛(のじま・つよし):1968年生まれ。ジャーナリスト、大東文化大学教授。朝日新聞入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長、国際編集部次長、アエラ編集部などを経て、2016年4月に独立。『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『認識・TAIWAN・電影――映画で知る台湾』(明石書店)、『蒋介石を救った帝国軍人――台湾軍事顧問団・白団の真相』(ちくま文庫)、『台湾とは何か』『香港とは何か』(ちくま新書)、『新中国論――台湾・香港と習近平体制』(平凡社新書)など著書多数。著書の多くが中国、台湾で翻訳刊行されている。

「2023年 『日本の台湾人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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