集合住宅: 二〇世紀のユートピア (ちくま新書 1204)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069085

感想・レビュー・書評

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  • 面白さより違和感の方が大きかった。
    20世紀前半の欧州の集合住宅を扱っているが、労働者向けの住宅供給事業の目的は、著書の言うように格差解消なんかではなく、公衆衛生の改善による国力増強である。ピケティなんぞ引き合いに出すあたり、過去に見たいものを見出すアナクロニズムで、ヴァイゼンホフ・ジードルンクや、カール・マルクス・ホフをまた作れば格差が解消されるわけでもない。
    日本は軍艦島と同潤会ぐらいしか紹介が無いが、同潤会が一つも残っていないのをノスタルジックに嘆くより、そろそろ戦後のニュータウンの総括をして欲しい。まだ歴史家の手にはあまるのだろうか。
    まあでも、いろいろ考えが浮かぶあたり、近代建築史は現代と地続きで楽しいな。

  • 軍艦島やエイヘン・ハールトの集合住宅は写真含め大変興味深い
    一方で、これだけ色々な例を挙げながら、紹介がメインだからなのか、思想的な偏りからなのか分からないが、結局何が言いたかったのかいまいちわからかなったのがもどかしかった

    ル・コルビュジエが環境と分離した船を理想としていたというのはなるほどと思った
    個人的には
    環境から離れ宙に浮いたような工業化された建築や郊外に散在する田園邸宅という現代的な風景は、大量消費と石油エネルギー消費によって実現していると思う
    集合住宅が富国強兵、工業製品化、社会主義思想、貧民救済など様々な思惑で発展していったが、そうした力を失ってスラム化していくのか、新しい力を得るて変わっていくのか考えたいと思った

  • 第1章 軍艦島―ユートピア/ディストピア
    第2章 ノイエ・フランクフルト―銀行都市のもうひとつの顔
    第3章 赤いウィーン―政治とユートピア
    第4章 アムステルダム―表現至上の建築家たちの思い
    第5章 「お値打ち住宅協会」のパリ
    第6章 東京―帝都復興、ユートピアとスラム・クリアランス
    エピローグ 語り継がれる集合住宅

    著者:松葉一清(1953-、神戸市、建築学)

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著者プロフィール

1953年生まれ、建築評論家。武蔵野美術大学教授。

「2015年 『応答 漂うモダニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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