医療者が語る答えなき世界: 「いのちの守り人」の人類学 (ちくま新書1261)

著者 :
  • 筑摩書房
3.47
  • (5)
  • (12)
  • (12)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 233
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069665

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ぶんかのミカタ:人類学の扉を開けて/中 属性による排除防ぐ羅針盤=医療人類学者・磯野真穂 - 毎日新聞
    https://mainichi.jp/articles/20200822/ddf/012/040/007000c

    筑摩書房 医療者が語る答えなき世界 ─「いのちの守り人」の人類学 / 磯野 真穂 著
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480069665/

  • 血圧を下げる薬を飲むことへ抵抗がある患者さん自身が、納得することが大事であるから、最適解である薬を無理に渡すのではなく、遠回りでも別の治療法からアプローチしていく話は、どの分野でも同じ状況にあると思う。
    近道に見える遠回りも、遠回りに見える近道もあるのだと感じる。

  • 医学部分館2階書架 : W 062/ISO : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410169805

  • 「話を聞くだけで看護」という言葉が、何もできない時の逃げ道のようで、好きではなかった。けど、この本でその重要性が説得力をもって書かれていた。

    「標準化が不可能なそれぞれの患者の文脈に、医学という知を混ぜ合わせていく」「医療者の専門知と患者の人生の間に、再現性のない知を立ち上げる」「人間の営みが本来そのような再現性のないものである以上、医療という知もまた再現性のなさをはらむ」。
    話を聞くというのはその過程で必要なことであり、医学の知と(治療しないことも含めて)融合させるところに目的がある。つまり看護においては、車の片方のタイヤだ。積年のモヤモヤがすっきりした。

    あと、手術(科学)と呪術の話、漢方の歴史など、これまでボヤッと存在だけわかっていたものが解説されていて面白かった。

  • 医療人類学者・磯野真穂さんの著書。インタビューを通して、医療者の苦悩や葛藤が描かれていて、人類学的視点から考察されている。

    特に気になったのは、医学と医療の違い、そして「患者中心の医療」のこと。

    ・・・

    p163 「医療者の仕事の根幹は、モノとしての人間を徹底的に標準化することで体系づけられた医学という知を、それぞれの患者の人生にもっとも望ましい形でつなぎ合わせ、オーダーメイドの新しい知を患者と共に作り出していくことにある。」

    p164 「医療者の仕事は医学を医療に変換すること。」

    まさにこれは患者中心の医療のことじゃないかと思って読み進めると、やはりエピローグにもまとめられていた。

    p221 「近年いわれる「患者中心の医療」は本人たち自身が主役にならなければ成立しえず、それは私たち自身が自分のカタチをよく見る作業抜きには語れない。」

    患者が医療者に「命のアウトソーシング(p55)」をするのではなく、患者は自分自身のことと引き受けつつ、医療者は患者とともに考え、患者の生き方を支えていくことなのだろう。

  • 実際に現場にいても答えのないことばかりだし、evidence全盛とはいえ結局はnarrativeに一例ずつ向き合うしかないのが現状。

    手術室でここからは清潔だとそこにいる皆が信じて動くのは呪術なのだという考えは面白い。

  • 医療人類学の視点から、医療従事者を見る。

  • ほんとに、応える。何にどう力点を置くのか。とても共有しづらい。

  • エピソードによって得るものがいろいろ変わる、玉石混交

  • 治療を無視して勝手に買い食いする末期の肝癌患者と新米担当看護師。自由のない療養型病院から逃げ出したいおばあちゃんと新米ケアワーカー。患者に対する身体拘束や胃ろう。医療者は日々進まねばならないが、安全のためと言ってお年寄りを拘束しても良いのか?

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

いその・まほ:人類学者。専門は文化人類学、医療人類学。2010年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より独立。
著書に『なぜふつうに食べられないのか-―拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマ―新書)、『他者と生きる』(集英社新書)、共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社)がある。本作では、著者の執筆に伴走し、言葉を寄せる。

「2022年 『「能力」の生きづらさをほぐす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

磯野真穂の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
リンダ グラット...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×