医療者が語る答えなき世界: 「いのちの守り人」の人類学 (ちくま新書1261)

著者 :
  • 筑摩書房
3.47
  • (5)
  • (12)
  • (12)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 232
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069665

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「話を聞くだけで看護」という言葉が、何もできない時の逃げ道のようで、好きではなかった。けど、この本でその重要性が説得力をもって書かれていた。

    「標準化が不可能なそれぞれの患者の文脈に、医学という知を混ぜ合わせていく」「医療者の専門知と患者の人生の間に、再現性のない知を立ち上げる」「人間の営みが本来そのような再現性のないものである以上、医療という知もまた再現性のなさをはらむ」。
    話を聞くというのはその過程で必要なことであり、医学の知と(治療しないことも含めて)融合させるところに目的がある。つまり看護においては、車の片方のタイヤだ。積年のモヤモヤがすっきりした。

    あと、手術(科学)と呪術の話、漢方の歴史など、これまでボヤッと存在だけわかっていたものが解説されていて面白かった。

  • 実際に現場にいても答えのないことばかりだし、evidence全盛とはいえ結局はnarrativeに一例ずつ向き合うしかないのが現状。

    手術室でここからは清潔だとそこにいる皆が信じて動くのは呪術なのだという考えは面白い。

  • 医療人類学の視点から、医療従事者を見る。

  • 文化人類学者の観点から、現代の日本医療について分析する一冊。

    内容は多岐にわたるので統一感はないものの、現場の意見が知れて勉強になった。

著者プロフィール

いその・まほ:人類学者。専門は文化人類学、医療人類学。2010年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より独立。
著書に『なぜふつうに食べられないのか-―拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマ―新書)、『他者と生きる』(集英社新書)、共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社)がある。本作では、著者の執筆に伴走し、言葉を寄せる。

「2022年 『「能力」の生きづらさをほぐす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

磯野真穂の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×