奇妙で美しい 石の世界 (ちくま新書 1263)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069672

感想・レビュー・書評

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  • 自分は鉱物が好きでいくつか持っていたりもするのですが、持っているのはハンマーで割った欠片のようなやつで、この本にあるようなカッターで切ったら綺麗な模様が、というのは見たことなかったです。確かにカットした断面がきれいなんだけど、なんか自分の趣味ではないなぁと。とはいえ、そういう綺麗なカット断面に魅せられた人もいるわけで、この著者がまさにそれです。石を求めて地の果てまで、そのバイタリティは何処から出てくるんですか……。
    情熱は伝わるのですが、もう少し鉱物としての科学的な視点も書いてほしかった気がします。

  •  宝石とか全く詳しくないが、この本は自分のような人にでも瑪瑙を中心に、その断面の写真を掲載させることに加えて、石に関する歴史などを紹介することによって、全くこのような石の世界があるのかと思い知らされた。
     ゼリーのような媒質の中でいくつかの化学物資が混ざったときに現れることのある縞、輪のリーゼガング現象により、堆積物が、細かくズレることで独特な形を作り出していき、風景のような模様が現れたパエジナストーンや、草木が封印されたようなデンドリティックアゲートなど、実際にそれを目にしたならば、自然の偉大さ以上に、発見した人々と同様に自分も神秘的な何かを信じてしまうかもしれない。

  • 石を割った時にみられる美しい模様。

    こんなものがあるのか、と思ったのがバエジナ・ストーン。黄土色の濃淡でマックス・エルンストの「石の森」という絵に似ている。

    ・表紙右上は「めのう」メキシコ/チワワ州、オホ・ラグーナ産
    ・右中段は「プルーム・アゲート」アメリカ/オレゴン州、パウエルビュート産
    ・右下は「オパールの遊色」オーストラリア/クイーンズランド州産

    ・表紙左上は「アルノーの緑」イタリア/フィレンツェ、アルノー川上流の石灰石
    ・左中段は「孔雀石」と「アズライト(藍銅鉱)」が一体化したもの。コンゴ。
    ・左下は「セブタリア」アメリカ/ユタ州 黄色い方解石の結晶が詰まっている。

    メモ
    めのう、ジャスパー、オパールといったシリカ(二酸化ケイ素)を主成分にした石を割った時にできるものを紹介している。シリカが結晶したものは石英。石英の大きな結晶は水晶。石英の目に見えない微小な結晶が集合して塊になったものは玉髄(カルセドニー)と呼ばれ、この玉髄にいろいろな鉱物が混ざることで色や形のバラエティーが生まれる。これをめのうと呼ぶ。

    結晶は原子や分子が規則的なパターンで配列された個体で、せおれぞれの鉱物特有の形の癖である「晶癖」というものがある。水晶は先のとがった六角など。
    鉱物の結晶の多くは岩石の穴の中に入っている。

    岩石は細かい数種の鉱物の粒の集結したもの。
    ①「火成岩」地中のマグマ由来
      「深成岩」地中のマグマがゆっくり冷え固まった
       「花崗岩」「かんらん岩」
      「火山岩」流れ出した溶岩が固まった
       「玄武岩」「流紋岩」
    ②「堆積岩」泥や砂などの堆積したものが固まった
    ③「変成岩」岩石が熱や圧力の作用で変質した

    2017.6.10第1刷 図書館

  •  世の中にはいろいろなものを集めている人がある。それがフィギュアだったり、シューズだったりするが、今回の本の著者は英語でいう「アゲート」、日本語では、「瑪瑙(メノウ)」のコレクターとして世界的に有名。




     石は人を魅了して人を狂わしてきた。ダイヤモンドなどいい例だ。権力者がこぞって欲しがり、あるダイヤなんて呪いのダイヤなんて言われるものがあるくらいだからなあ。人間の欲は無限だ。地獄絵でも見て悔い改めた方がいいのではないかとふと思った。




     石をめぐる様々なエピソードが載せられていて、石にもそれぞれドラマがあるのだなあと分かる。写真付きでいろいろな石が紹介されている。




     昨日、日本テレビ系列で放送している「アナザースカイ」という番組で、俳優の北村一輝が登場していて、オパールの産地で有名だったクーパーペディを訪れていた。オパールを採掘していた穴を利用したホテルが紹介されていたが、オーストラリアは、オパールの産地で国石にも指定されているそうだ。




     著者は、オーストラリアで最も風変わりなものとして、ゼブラ・ロックを取り上げている。キンバリー地方にある堆積岩で、下のリンクに張った著者のツイッターに珍しい石が載っている。地球が生み出した芸術作品と言っていい。




     アメリカ、イタリア、南米での石と石とかかわった人の逸話が載っている。




    アナザースカイ



    http://www.ntv.co.jp/anothersky/contents/2017/07/post-1973.html




    著者のツイッター




    https://twitter.com/lithosgraphics/status/683824535691378688

  • 写真は圧巻。
    石の中にこんな世界が広がっているのかと
    衝撃を受けた。

  • 瑪瑙を中心とした、単結晶ではない鉱物が描く文様の写真が多数掲載された本。
    ヴンターカンマー(驚異の部屋)、クンストカンマー(アートのキャビネット)、廃墟大理石などのそわそわする言葉をちりばめたエッセイの中で風景の石パエジナ・ストーン、クレーの絵を思わせるアルノーの緑、魔除けの効果があるとされた瑪瑙の縞模様、目玉模様の護符ナザール、小花文様を思わせるジャスパー、虹が見えるイーリス・アゲート、樹木を描いたようなデンドリック・アゲート、シマウマのようなゼブラロック、人造と見紛う球形のコンクリーション、白亜層に描かれた原始アートのようなセプタリア、女王が愛したスコティッシュペブルス、ロシアの孔雀石、リトル・グリーン・モンスターのヴァリサイトなどが紹介されている。
    文章と写真が見開きごとに交互に配置されているので写真だけを先に追うのも楽しいが読み方がやや難しい。

  • 2017年9月10日に紹介されました!

  • 石は生き物ではないけど、有機的な模様から尋常ならざる生命力を感じて圧倒されてしまう。写真を見るたびにフラクタルという言葉が浮かんだ。奇妙というか、気持ち悪さと紙一重の目が離せない美しさ。有機的なものは美しいのか。

  • すごく不思議/神秘的な模様の石が満載。
    解説文もあるので、図鑑目的以外でも楽しめそうです。

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著者プロフィール

山田 英春(やまだ・ひではる):1962年東京生まれ。国際基督教大学卒。ブックデザイナー。古代遺跡・先史時代の壁画の撮影を続けている。石の蒐集家でもある。著書に『巨石──イギリス・アイルランドの古代を歩く』(早川書房)、『不思議で美しい石の図鑑』(創元社)、『石の卵──たくさんのふしぎ傑作集』(福音館書店)、『インサイド・ザ・ストーン』(創元社)、『奇妙で美しい石の世界』(ちくま新書)、『風景の石パエジナ』(創元社)、編書に『美しいアンティーク鉱物画の本』(創元社)、『奇岩の世界』(創元社)などがある。

「2023年 『ストーンヘンジ 巨石文化の歴史と謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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