ノーベル賞の舞台裏 (ちくま新書)

制作 : 共同通信ロンドン支局取材班 
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480071033

感想・レビュー・書評

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  •  1901年にノーベルの遺言により開始され毎年12月10日にスウェーデンのストックホルムと平和賞はノルウェーのオスロで開催されるノーベル賞授賞式は文学・物理・化学・医学・経済・平和貢献の6分野で、遺言は経済以外の5分野で経済賞は後付けです。費用は、ノーベルの遺した莫大な遺産の運用益で運営されている。

    <文学賞>
     主観的で文化や言語の影響を受け易く、選考委員はスウェーデンの文学者18人で構成され物理的に候補者の著書を網羅出来ない、翻訳物にはハンディが有る等その決定には曖昧な点が有る。
     日本人としては、川端康成・大江健三郎・カズオイシグロ(英国籍)が受賞しているが三島由紀夫や賀川豊彦(死線をこえて等貧民文学のキリシタン)は選考に入った事があり、安倍公房も話題となった。なかなか秀逸なチョイスだったと感心します。

    <物理・化学・医学生理学>自然科学三賞
     かつては、関係者の日本への招待等、国を挙げてロビー活動をしていたが2000年以降多くの日本人受賞者が排出され現在は大学が争奪戦を繰り広げているという。東大、京大、名古屋大、北海道大、東北大、東工大等だ。また財団側でも費用(賞金だけで年間1億円)の捻出は資産の運用益では賄いきれない為にスウェーデンの有力企業をスポンサーとしている。
     また、受賞者からは優れた科学者になる為には、''粘り強さ" ''洞察力'' ''運の強さ''に加えて''楽観主義''が大切だと、どんなに困難な目にあってもいつかは克服出来ると、楽天的に信じる事が大事らしいです。

    <平和賞>
     2013年に受賞したマララ・ユスフザイはパキスタン人で17歳の高校生だ。パキスタンの父親の学校がタリバンによって閉鎖された事をきっかけにネット上で女性教育の問題を説きはじめ、ついにはタリバン兵士に頭部を銃撃され瀕死となるも英国で手術療養し受賞当時は英国の高校生だった。ノーベル賞初のパキスタン人であり低年齢者の受賞だったが、一方で演出されたかの様なスピーチや奇をてらった様な行動に一部の人達やマスコミから背後関係を疑われた。最近のスウェーデンのグレタさんも似た様な感じに思えるのですが勘違いでしょうか、、ともあれ行動は立派です。今後もこの様な人達に与えて欲しいです。オバマも受賞してますがこれはおかしいでしょ。

    <経済学賞>
     これは正確にはノーベル賞では無く世界最古のスウェーデンの中央銀行が設立300年を記念して1964年に創設した賞で賞金や掛かる費用は銀行負担である。他の自然科学三賞に比べて社会科学である経済学は評価が非常に困難でノーベル賞に経済学賞は不要とまで囁かれている。

     ノーベルの遺志によって崇高な''人類に貢献した''賞は、政治・大学閥・国・イデオロギー、更には限られた人間が審査するので恣意的な判断や結果も発生している。確かに毎年毎年膨大な論文や実績を少人数で検討するのは無理なので学会や授賞者、著名な学者・政治家等の推薦も必要だろう。
     結局は、人が決める事なので失敗も好嫌いも出て来るだろう。

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