ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫)

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著者 : 岩井克人
  • 筑摩書房 (1992年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080042

ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 北さんからの推薦。
    貨幣論を返す時に感想を伝えたところ、新たに借りることに。
    正直難しい。貨幣論の、ほうがまだ分かりやすかったか。。
    個人的には、最後の解説にたいする解説が、一番面白かった。
    たとえ「解説」という短い文章であるにせよ、付加価値をもったもののほうが同じ市場で安く売られるという事態は…。
    秀逸な言い訳だ(笑)

    以下メモ

    利潤とは、2つの価値体系のあいだにある差異を資本が媒介することによって生み出される。
    …しかし、差異は利潤によって死んでいく。…それゆえ、つねに新たな差異…を探し求めていかなければならない。

    まさに企業の命題。
    差異=ニーズ。
    そして、現代ではイノベイションこそが差異を生み出す。
    その先にあるのが顧客の創造か。

    キャベツ人形
    従来差異性を生み出すためにはそのたびごとに新たな商品を考え出していかなければならなかった…いわば極限的な、差異創造の方法…。
    …どれほど多くの人が所有してもそのひとつひとつが持つ差異性という価値は必ずしも全部は消えてしまわない。もし人がひとつのキャベツ人形にもはや差異性という価値を見いだせなくなっても、その人はそれとは異なった人形としてのもうひとつのキャベツ人形を買うことになるかもしれない…。(本書85~86ページ)

    これは、AKB 商法のことではないか。
    極限的な、差異創造の方法。これがイノベイション。すばらしい。

    知識とは、未来に起こりうる様々な状況の中での柔軟なる対応を可能とするための、現時点における備え…。
    貨幣とは…不確かな未来に備えるための時間の買収という役割…。
    われわれは、貨幣という流動性を保有するか、それとも、知識という流動性を保有するかという選択に…迫られている…。(本書223~224ページ)

    知識を選択したい。

  • (私には)小難しかった。イヤ、良くわからんかった。

    表題の「ヴェニスの商人」の論説は面白く思えたがそのあとはほぼ聞き流れた(笑)
    オーディオブックでなければたぶん表題ですら無理であったろう。
    なぜ、Amazonで好評価なのかわからんかった。まぁ、読破できないような無知なものは評価すらできないが(笑)

    とにかく、軽く読んで眠くならない人は読んでみてください

  • 経済学を知らないと難しいと思う。
    それでも、ヴェニスの商人の資本論の章は面白かった。
    シェイクスピアのヴェニスの商人にならい、商品交換や利子について述べている。
    物語形式で経済学を学ぶにはとってもいいのだろう。
    ただ、ほかの章が難しい。
    何回も理解するまで読むものだろうけど、また数年後かなー。

    以下、メモ。

    アリストテレスは、貨幣は交換の手段として作られたのに、利子は貨幣そのものを増大させるので、憎むべきは高利貸しという。

    共同体の中では、利子はとらない。
    相手を異邦人と定義することで、金を借りて利子を払うことを正当化している。

    差異性への欲望と同質化の欲望を持つ人間。新しい商品を買おうとする欲望にヒットするか、羨ましいと思わせるようにヒットするか、これが製品作り。ただ、完全に同質化なすると差異性がなくなり、価値がなくなるので、また新たな商品開発が必要となってくる。

    価値体系が異なる地域間での交換が、利潤を生む。物の交換は、等価交換ではない。

    人は広告を通じて、広告を介してしか商品を知りえない。

    両替商の預かり手形が、札の源流。

    社会の諧調の中にひとつでも間違った音調が挿入されても、崩壊してしまう脆さ。

  • 柴田元幸氏が「アメリカン・ナルシス」でどこかを引用してて、出典にあったタイトルに惹かれて。
    いわゆるジャケ買い、です^^;
    (・・・ってのは言葉のアヤで、シンプルというか
    味も素っ気もないちくま文庫なんですが。)

    過激な発想や突飛さはなく、文章も読みやすい。
    でも、That's all.

    まあー、たまにはフィクションでフワフワしてばかりいないでワルラスやらマルクスやらに挨拶しておくか、みたいな。

  • 著者のエッセイや書評、『不均衡動学』の解説や補足をおこなった論考などが収録されています。

    冒頭のエッセイ「ヴェニスの商人の資本論」は、著者の妻である水村美苗からアイディアを示された執筆に至ったとのこと。シェイクスピアの『ヴェニスの商人』におけるアントーニオとシャイロックを、共同体の論理と資本の論理の体現者として読み解き、さらにこのストーリーを展開させる「トリックスター」としてのポーシャを、「貨幣の謎」を体現する人物として解釈しています。

    「遅れてきたマルクス」という論考は、シュンペーターがワルラスの一般均衡体系からどのように離脱を図ったのかを明らかにするとともに、マルクス主義経済学の観点からその意義について考察をおこなっています。シュンペーターの仕事は、新古典派の文脈の中で、マルクスの「特別剰余価値」に関する議論に相当する思索を展開したものと考えることができます。そして著者は、シュンペーターの企業家たちが技術革新競争を通じて「未来」を作り続けているという解釈を示し、マルクス経済学的な時間論へのつながりを示唆しています。

    才気煥発な著者の思考が軽やかなスタイルで展開されており、やや難しいところもありましたが、おもしろく読みました。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:330.4//I93

  • 表題作読了(2013・2・11)。

    登場人物のもつ役割の枠組みに対する切り口が斬新。

    兄弟盟友的つながりのあり方から、貨幣を媒介にした個人と個人のつながる世界へと変貌していく様が作品の解説を通して理解できる。

    貨幣の役割とか、資本主義とか、そういった話ぬきにして、大学生のころに親しんだ本"ヴェニスの商人"について、より多面的な読み方を知ることができ、単に読み物としてもおもしろかったです。

  • 評判もよく、センター試験にも出ていたので期待して読んだが、結果は期待はずれだった。学者が好みそうな純・学術的であり、実用性を期待していた僕にとってほとんど感慨を起こさせるものではなかった。
    ただ、純粋な学問的好奇心を求める人にとってはいい本かもしれない。

  • 記号化や”貨幣”という得体の知れないモノを、当たり前の領域から引きずり下ろしてもう一度考えるきっかけになる本。とてもわかりやすく、記号媒介的な私たちの世界の孕む不気味な雰囲気を描いていると思う。
    世界は記号で表象されている。そして計量されている。しかし、貨幣という数字が表象する”資本”はその現実の量とは関係なく際限なく増殖し続けるものだ。

  • 注意!本書は『ヴェニスの商人の資本論』というタイトルながら、シェイクスピアのヴェニスの商人に関する話は最初の70ページほどで、あとは全く関係ないエッセイです。タイトルがミスリーディンクどころか、限りなく詐欺に近いと思います。

    私はヴェニスの商人を読んだ後、著者がどんな読み方をしたのか興味があったので購入したのですが、完全に裏切られました。私がもっと気をつければよかったのかもしれませんが、そんな企業の論理は少なくとも私は納得できません。

    なんか他のレビューを読むと、東大教授という肩書きにビビっているのか賞賛が多いですが、こんなウソをつく本なんて読む必要ないですよ。経済学にはもっと誠実な学者が、読者のことを考えて書いた良書が沢山ありますから。

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ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫)の作品紹介

のシステムやその根底にあるの逆説とはなにか。その怪物めいた謎をめぐって、シェイクスピアの喜劇を舞台に、登場人物の演ずる役廻りを読み解く表題作「ヴェニスの商人の資本論」。そのほか、「パンダの親指と経済人類学」など明晰な論理と軽妙な洒脱さで展開する気鋭の経済学者による貨幣や言葉の逆説についての諸考察。

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