日本人の心の歴史 上 (ちくま学芸文庫 カ 1-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080530

作品紹介・あらすじ

咲く花に時勢や人生の全盛を、落ち葉に凋落を、秋の夕暮れに寂莫を重ね合わせてきた日本人の繊細な感覚。それを最もよく示す季節感の変遷を、各々の時代を特色づけた文芸作品や思想の中にさぐり、日本人独特の心の歴史を究明する、創見に富んだ日本精神史。本巻では、万葉・古今・新古今から、芭蕉にいたるまでの、自然と生活が密着していた時代の日本人と季節の関わりを描く。

感想・レビュー・書評

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  • 季節への日本人の感性を文学や思想から探り、日本人独特の歴史を究明。日本人は総括的な仕事には不向きだが、局部については精緻で豊かな観察をし、些事を大きな背景で感じ取れる際立って優れた感受性をもつ民族とのこと。

  • 貌似很不错的样子。

  • 古今集の「見る」から、新古今集の「思ふ」へ、そして新古今集の、秋と冬への傾倒、王朝の「はかなし」から
    中世の無常へ、など日本文学の中に表れた日本人の精神を描き出している。特に面白いのが、新古今集では、唐からの暦の伝来によって、農耕生活に基づいた具象的な季節から、抽象的な「季節」の観念を得たというところ。他には、能楽、山水画、枯山水、茶の湯に通底する禅の哲学が興味深い。漫々の雪の中にある白梅の一枝を現すことによって、有と無を緊張の中に明瞭に捉える哲学。また、冬の美への注目は、冬によって、冬の内に準備されている春の生命力への注意でもあるという。禅というとなんだか暗く無味乾燥なものだとおもっていたが、日本の自然と歴史のなかで育まれた思想なのだとわかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    咲く花に時勢や人生の全盛を、落ち葉に凋落を、秋の夕暮れに寂莫を重ね合わせてきた日本人の繊細な感覚。それを最もよく示す季節感の変遷を、各々の時代を特色づけた文芸作品や思想の中にさぐり、日本人独特の心の歴史を究明する、創見に富んだ日本精神史。本巻では、万葉・古今・新古今から、芭蕉にいたるまでの、自然と生活が密着していた時代の日本人と季節の関わりを描く。
    目次
    序論 日本人の感受性の特色―感性の論理
    1 万葉集における「見れど飽かぬ」について
    2 古今集における「思ふ」について、及び王朝末、中世初期に現はれた「心」への懐疑と否定
    3 「思ふ」から「見る」への回帰、及び「見る」ことの深化
    4 春と秋といづれまされる
    5 季節のよびよせ
    6 四季の色どり
    7 古今集の四季の部立及び配列の仕方の問題
    8 秋への傾斜
    9 冬の美の発見
    10 冬の美
    11 否定の美学
    12 新なる季節
    13 季節の実相
    14 芭蕉の発明
    補遺 『撰集抄』の脱体制者たち―その歴史的叙述

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著者プロフィール

1904年長野県に生まれる。1927年京都大学文学部哲学科卒業。文芸評論家。筑摩書房顧問、明治大学文学部教授を務める。1980年没。著書に『中世の文学』『無常』『無用者の系譜』『中世から近世へ』『新版現代史への試み』『日本人の心の歴史』上・下など多数。このほか全集として『唐木順三全集』全19巻がある。

「2022年 『禅と自然』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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