ナマコの眼 (ちくま学芸文庫 ツ 2-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 96
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (662ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080660

作品紹介・あらすじ

ナマコ-、この奇妙に魅力的な生物の視座から、アジアと日本の歴史を眺めてみると何が見えてくるのか。東北アジア・中国・東南アジアを覆う広大な歴史の舞台で、ナマコがヒト族と関わっていくさまを悠然たる文章で描き出しながら、大文明の下で抑えられ続ける辺境-、とりわけ海の民の重要性を問いかけ、植民地主義万能の思い込みに修正を迫る歴史ルポタージュ大作。90年度新潮学芸賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • オーストラリアから東南アジアそして日本までナマコ漁と干しナマコの歴史

  • ミクロネシア、オセアニア、東南アジアを経て北東アジアへと太平洋をめぐりながら、ナマコ漁とナマコ食にまつわる歴史と文化を解説している本です。

    著者は、国境を越えて広がるナマコと人間のかかわりに焦点を据えることで、いまなおのこっている植民地主義的なフレームワークと、そこからの脱却をめざす内発的発展主義の立場の双方がともに陥っている歴史観の盲点を突いています。

    海洋のルートに着目することで一国中心主義的な発想を乗り越えようとする試みとしては、たとえば川勝平太の「海洋史観」があり、大塚久雄の国民経済論に対するアンチ・テーゼという意味では本書の企図とかさなるところがあります。ただし著者は、川勝のように文明史という大きな枠組みを構築するのではなく、ナマコというミクロな視点を通じて、いまもなおわれわれの思考に影響をおよぼしている世界の見方を解体することをめざしているといってよいでしょう。その意味では、河川や海路を活動の舞台とした海民に焦点をあてることで、日本が伝統的に農業社会であったという見かたをくつがえすことを試みた歴史学者の網野善彦の仕事と、内外で共鳴しあうような著作であるということもできるように思います。

  • 中島らもさんオススメ本。

  • 本文で500頁以上、ぜんぶなまこに関する話。
    とはいってもなまこそのものではなく、オーストラリアから樺太までに亘る広範な文化人類学的な内容なので、なまこ自体に興味なくても面白い。

    スラウェシやニューギニアは、旅行者視点で道もまともになくてさぞかし不便だろうな、とか思っていたらとんでもなくて、海が道なのである。我々がつい陸から考えてしまうのは根っから百姓根性なんだろう。
    オーストラリア北の木曜島は、むかし真珠フィーバーがあって、日本の潜水夫も紀州あたりから多数行ってたそうである。ずいぶん有名な話らしいが、そんなようなことも知らなかった。

  • 読書Hack原尻淳一氏オススメ。

    ナマコを通して世界を見る的本。
    ナマコに対して何の興味もないが、お勧めだものと頑張って読み進める。その後、ナマコを通してアジアの歴史、文化が語られるが、ちょっとマニアックでついていけなかった。ちゃんと通常の歴史認識があってさらに、アジア文化や歴史を深堀したい人には良いかもしれない。
    私にはまだ早かった感。

  • つまんない。

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