ニーチェ全集 10 (ちくま学芸文庫 ニ 1-10)

  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (733ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080806

作品紹介・あらすじ

いよいよ本書の第三部において、ある恐るべき深淵的な思想としての永遠回帰の思想がツァラトゥストラによって告知される。神の死という現代のニヒリズムのもとでの生の真の意味とはなにか。ニーチェは現代の人間の危機的状況をニヒリズムそのものへの徹底と、生の瞬間の肯定により主体的に超克することを説く。ニーチェの人間学の精髄が隠された、万人のための運命的な書というべき真の哲学書。下巻には全四部構成のうち、第三部から第四部までを収録。なお、文庫収録にあたっては、最近のニーチェ研究の成果に基づいて訳註を大幅に増補改訂した。

感想・レビュー・書評

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    ── ニーチェ/吉沢 伝三郎・訳⦅全集10 ツァラトゥストラ 下 19930601 ちくま学芸文庫⦆
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480080805
     
    (20231018)

  • おお、ツァラトゥストラよ、お前はいったい何者か。
    比喩に比喩を重ねて語る、まるで魔術のように人を困惑させ驚かす。
    読む者がそれを理解しようとするまいとまるで関心がないかのごとく。
    しかしその不可解と思える比喩に慣れれば慣れるほど、
    お前の云いたいことが何やら滲み出てくるのはなぜなのか。

    おお、ツァラトゥストラよ、何がお前をそれほどまでに突き動かすのか。
    既成概念にしばられ、従順な生き方しかできない羊たちを容赦なく鞭打ち、
    それを支配する神や王すらその存在を認めない。
    倒れる者はさらに突け、転がり落ちるものは放っておけといい、
    自ら生きる意思をもたないものを罵倒する。

    おお、ツァラトゥストラよ、お前の云うことは世間の逆ではないのか。
    肉欲や我欲を生きる基本として積極的に肯定し、
    一方で節約や節制や道徳をあざ笑い、
    理性とかイデアとか神とかメタフィジカルなものを否定し、肉体こそが基本だという。
    愛するものや友こそが実は敵なのだという。

    おお、ツァラトゥストラよ、お前の云うことは本当は正しいのかも知れない。
    自分で善悪を判断し、自分自身に従って生きる人間がいかに少ないことか。
    自ら辛苦のなかに飛び込む勇気のある人間がいかに少ないことか。
    この大地に立って強く生きようとする人間がいかにいないことか。
    嬉しいときにも踊らず、正しいことにも然りと云うことがない。

    おお、ツァラトゥストラよ、この現代とてお前の時代と同じかも知れない。
    科学工業技術を鵜呑みで受け入れ、原子力をも無批判で受容し、
    経済成長のみが国を救うなどと思い込み、
    支配者に踊らされるばかりの従順な人間たち。  
    だからこの世の中は矛盾だらけで堕落してしまったのかも知れない。  
    しかし、しかし・・・・。

    やっとの思いで読み終えた さる読者某はこう語った。

  • 言い回しがクールでかっこいい。

  • 善意を徹底的に極めて生きてみないとこの本の真の面白さはわからない。その先どうするか?という問いに対するニーチェの答えだから。最後の方はかなり月並みな結論になっているのが少し残念だが、彼は誠実さや優しさにメスを入れつつ、しかし最終的にはこれを読む人は誠実でないといけない、という矛盾した縛りが実はある。

  • 平田・細川選。
    どうせなら、みんな、ここまで狂えばいいのに…
    能動的ニヒリストとして、生きていくかな。

  • ルー・ザロメにふられて書きあげたといわれる上巻のほうがやはりいきおいがあると思います。

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