文学テクスト入門 (ちくま学芸文庫 マ 1-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 406
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080950

作品紹介・あらすじ

文学研究につねに新領野を切り開き、新たな方法を提示しつづけた著者による、オリジナルにして周到な文学入門。漱石『草枕』、鴎外『雁』、芥川『羅生門』、古井由吉『円陣を組む女たち』などの作品から新鮮な読みの可能性をひきだし、文学テクストが約束するへと読者を誘なう。

感想・レビュー・書評

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  • まず漱石の『草枕』で語られる小説の読み方の話を題材にして、
    小説の読み方を考える導入としています。
    『草枕』の登場人物である那美が、
    画工の男があべこべにページをひらいて小説を読むというのをきいて、
    「筋を読まなけりゃ何を読むんです。」
    と、それはそれでまっとうに聴こえるようなことを言います。

    しかし、小説には、筋以外に味わうべきところや、
    影響を受けるところが山ほどあります。
    たとえば、人物の心理を追体験してみたり、
    小説のひとコマを自分の文脈のなかに移して考えてみたりすることもあります。
    技術的な部分、時代などの背景、著者の人間性などなど、
    小説を方向づけたり、飾り立てたりといった要素がたくさん含まれていて、
    それらを吟味する楽しみ方だってあります。
    ちょっと一面的で大雑把な言い方ですが、
    本書はそういったところを見ていく文学論だと言えます。

  • 帯文(裏表紙):”文学研究につねに新領野を切り開き、新たな方法を提示しつづけた著者による、オリジナルにして周到な文学入門。”

    目次:第1章 読書のユートピア、第2章 書くことと語ること、第3章 言葉と身体、第4章 コードとコンテクスト、第5章 物語の構造、註、編集後記(多木浩二)、増補 1970年の文学状況、文庫版解説(小森陽一)

  • 「コード」と「コンテクスト」はこれからも読み直すことになりそう。物語のコード分析はなるほど、と思った。『都市空間のなかの文学』も読んでみたい。

  • 文学の読み解き方を知りたくて、読みましたが、なるほど!勉強になります。
    コードという概念を導入すると、文学にアプローチすることが、さまざまな面から出来る。筋を追うだけでない読み方の多様性に驚きました。

  • 作品とかその他それに関わる人達の見方が変わる。特にコードやストーリイとプロットの関係など知ってる作品にあてはめて考えてみると面白い。確かになぁと思うことが多々ある。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480080950

  • 『虞美人草』や『雁』が出てくるし、『風の歌を聴け』も出てくるが、おっ、となるような話は見つけられなかった。

  • 面白そう。認知言語学的な部分も入っているっぽい!

  • 本書を読んでいると、これまで平面的行為と思っていた読書がまるで立体的に立ち昇ってくるかの様に感じてしまう。遺構というのもあって散漫としている感は否めず、後半の議論は参照される作品の内容理解ありきのものという困難さはあるのだが、それを補って余りある発見のある内容だった。身体から立ち昇る言葉というものに、身体を経由して出会おうとすること。読むことの可能性に自覚的になることで、意味が持つ生真面目さから軽やかに離れ、戯れることを肯定すること。それは堅苦しいものではなく、とても優しいことだと心から思うのです。

  • 著者の遺作である1988年03月筑摩書房刊の増補版。
    プロット・ストーリィを中心とした考察の書であろうと思うが、学ぶところはそれ以上に大きかった。
    また読み返すであろう一冊。

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著者プロフィール

1932年神奈川県に生まれる。1957年東京大学文学部国文学科卒業。現在、立教大学文学部教授。主な著書に『近代読者の成立』(有精堂)、『成島柳北』(朝日新聞社)、『明治開化期文学集』(共著、角川書店「日本近代文学大系」)、『洒落本・滑稽本・人情本』(共著、小学館「日本古典文学全集」)がある。

「2011年 『幕末・維新期の文学 〈オンデマンド版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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