存在と時間〈上〉 (ちくま学芸文庫)

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制作 : Martin Heidegger  細谷 貞雄 
  • 筑摩書房 (1994年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480081377

存在と時間〈上〉 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 近代の哲学・思想シーンを刷新したM.ハイデッガー前期の代表的著作です。存在するとはどういうことか、という深遠な問いを巡る長い思考の記録。邦訳は複数あるようますが、哲学者・佐々木中氏によると、本書(訳者:細谷貞雄氏)が最良とのことです。

    哲学とはそもそも、どういうものなのか。哲学者の頭脳に備え付けられているレーダーが、この世界にあるどのような問題を「解くべき問題」として感知してきたのか。本書はそういう「哲学」の根本的なことを教えてくれる本でもあります。

    本書を購入したのはずいぶん前。しかし最初の数ページを眺めたところで専門用語のとてつもない氾濫に圧倒され、著者の仕事に一応の敬意を抱きつつ「そっとじ」。そして積読することかれこれ数年・・最近ようやく読みました。

    いわゆる「ハイデッガー語」が矢継ぎ早に登場するため、読み始めてしばらくは意味をとるのに苦労しましたが、著者は意外に親切な人であり、用語の定義や議論そのものは自己完結しています。普通の日本語が読解可能な方であれば理解できる範囲だと考えます。

    上巻は、議論の前提となる概念の説明と理解に多くが費やされて終わります。本題である「存在」と「時間」のつながりについては下巻へと持ち越されていきます。

    ずいぶん生意気な言い方になってしまいますが、これを読まずに現代思想は語れない、と改めて認識させてくれた本です。本書を積読しておきながら「哲学ってのは・・」と平気でのたまっていた自分が恥ずかしい(まあ本書云々は別として、こういう発言自体が常にイタさを伴うものですが)。

    現代哲学の世界に本気で飛び込むならば、著者の存在論を無視して済ますことはどうしてもできません。ヒップホップの世界でJBがレジェンドであり続けるように、これからもハイデガーの作品は読み継がれていくと思います。

  • 今更言うまでもないけれど、いろいろと発見させられるだけじゃなくて、何よりも読んでいて面白い。書き方は難解だと思う。でも、出発点は、子供が抱きそうな素朴な疑問。「ある」というのはどういうことか。この本が感動的なのは、そのシンプルな疑問(問題)に挑む真摯さ。既成の哲学史を組み合わせただけではない、ナマの思考の足跡がそのまま本になっている。そんな印象。途中できっと投げ出すだろうと思っていたが、まったくその逆。これぞ野生の思考。

  • [ 内容 ]
    <上>
    1927年に刊行されるや、ドイツの哲学界に深刻な衝撃をもたらした、ハイデッガーの最初の主著。
    《存在》の諸相をその統一的意味へさかのぼって解明すること、そして、存在者の《存在》を人間存在(=「現存在」)の根本的意味としての《時間》性から解釈することを主旨として、「現存在の準備的な基礎分析」と「現存在と時間性」の二編から構成する。
    上巻ではこの前者を収録した。
    「現存在」の根本的な構成が「世界=内=存在」として提示され、「現存在」のうちに見いだされる「存在了解」を探求すべく、基礎的な問いが差し出される。

    <下>
    不安や死への自覚を介して未来へと先駆しながら、今において覚悟的に生きる本来的実存が示されるとともに、存在論の基礎となるべき時間性が解明される。

    [ 目次 ]
    <上>
    序論 存在の意味への問いの提示(存在の問いの必然性、構造および優位;存在問題の開発における二重の課題 考究の方法および構図)
    第1編 現存在の準備的な基礎分析(現存在の準備的分析の課題の提示;現存在の根本的構成としての世界=内=存在一般;世界の世界性;共同存在と自己存在としての世界=内=存在、「世間」;内=存在そのもの;現存在の存在としての関心)

    <下>
    第2編 現存在と時間性(現存在の可能的な全体存在と、死へ臨む存在;本来的な存在可能の現存在的な臨証と、覚悟性;現存在の本来的な全体存在可能と、関心の存在論的意味としての時間性;時間性と日常性;時間性と歴史性;時間性と、通俗的時間概念の根源としての内時性)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 日本語だけで読むのであれば、中公バックスの原・渡邊訳よりもわかりやすいかもしれません。ただ、岩波文庫の熊野訳が出てきてしまうと、ひょっとしたら存在意義が薄れるかもしれません。原書を読む際には、あまり見なくなりました。

  • 1927年に発表されて以来いまだに思想・哲学に大きな影響を与え続けている問題の書の邦訳。存在問題を問うために、さしあたり現存在=人間を現象学的に分析することによって、現存在と世界との関係、存在はいかなる連関のもとに成り立っているかが次々に明るみに出されていく。ハイデガー特有の言葉遣いに慣れないとなかなか読みづらいが、むしろ従来の哲学用語によってのみ書かれていれば更に難解な著作になっていたかもしれないとも思われる。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(佐藤優選)13
    宗教・哲学についての知識で、人間の本質を探究する
    岩波文庫の桑木務訳と細谷貞雄訳の両者をあわせて読むことでハイデッガーの思想が立体的に見えてくる。

    『人に強くなる極意』佐藤優著でも推薦(岩波文庫版)

  • 激しく難解で挫折してしまった。
    そのうち知り合いの哲学者の援助を得つつ再挑戦しようと思っている。

  • これレビュー書いたら恐ろしい分量になりそう・・・。
    なので感想を書くって事で。
    上巻はこの論文での主題や解釈方法、用語の説明が多い。
    そんな中ですごいなぁと素直に感心した一文。

    『何かの方を見やり、なにかを理解し概念的に表明し、なにかをえらび、それに近づくということは、問うということを構成する働きであるから、それら自体、ある特定の存在者―すなわち、問う者としてわれわれひとりびとりがみずからそれであるところの存在者―の存在様式である。』

    現存在のもつ可能性の説明の一文だが、従来は存在論では「存在」を問う事から始めるが、ハイデガーは「問う」事に存在の可能性を見出そうとする。
    このパラダイムシフトは刺激的だった。

    この箇所以外にも刺激に富んだ言説が多い、一読者が言うまでもなく名著。

    因みに「死」についての存在論的考察や時間意識については下巻に載ってます。

  • 916夜

  • 普通に読み物として面白く読めた。自分の解釈に誤謬はあると思うが

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1927年に刊行されるや、ドイツの哲学界に深刻な衝撃をもたらした、ハイデッガーの最初の主著。《存在》の諸相をその統一的意味へさかのぼって解明すること、そして、存在者の《存在》を人間存在(=「現存在」)の根本的意味としての《時間》性から解釈することを主旨として、「現存在の準備的な基礎分析」と「現存在と時間性」の二編から構成する。上巻ではこの前者を収録した。「現存在」の根本的な構成が「世界=内=存在」として提示され、「現存在」のうちに見いだされる「存在了解」を探求すべく、基礎的な問いが差し出される。

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