- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480081612
作品紹介・あらすじ
ソシュールの言語学から始まり、レヴィ=ストロースの人類学によって現代思想として定着をみた「構造主義」。一方、ディルタイに源を発し、ハイデッガーとガダマーによって20世紀の中心的な哲学思想となった「解釈学」。さて、「構造主義」はいかなる「解釈学」的前提にもとづいて成り立つ思想であるのか。また、逆に「解釈学」はどのような「構造」を内に秘めて成り立つ哲学なのか。加えて、この二つの哲学思想のどちらがより優れた認識なのか。従来、個別に論じられがちだった、この20世紀の二大潮流の連関を見極め、近代科学的な構造認識の意義と限界を検討する。
感想・レビュー・書評
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久しぶりに思惟を形にしたく、著作集ではなく文庫の方を手に取って寸暇を惜しんで読み込んでみた。もともとアリストテレスの自然学、四元論を第一哲学(形而上学)から積み上げる試みの糸口として、若いころ(1996年)に読んだものを再読したのだ。ラジオ講義と併せて聞きいた当時と比べて、かなり難解に思えた。課題に向けた検討もあったし、知っていることの幅が広がったのもあるだろう。いい問題設定ができたとは思ったけれど、残念ながら問題そのものが難しすぎて、この一冊の周辺を巡り巡るだけでは試みに着手すらできそうにない。
ただ、構造主義批判、科学の限界から解釈学へと転回していく動機、ギャップが自明ではなく、盲従していた気がするのだが、本書ではラッセル批判とディルタイに手がかりを示してくれていたので、この再読には価値があったと思う。
最後2章のガダマーのところは概説にとどまってしまいもっと突っ込んでほしかった。(自分で読み消化しなければならないことには当時も気づいていたから、ガダマーの原著を入手し後生大事に保管しているのだけど…。)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書レベルの入門書よりはずっと専門的ですが、専門書や原典よりは易しく凡そのことが書かれているので、哲学や思想の方面に興味がある人にはとてもためになる1冊だと思います。充実した内容ばかりでなく、文体にもとても品があり、読んでいても飽きませんでした。
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抽象的で難解な趣旨のことを原典から詳細に引用しつつ著者の理路整然とした説明でスラスラと読むことが出来た。
ただ、内容が内容なのでやはりすべての理解は難しいが興味深い題材であったため関連する大著に目を通すきっかけにはなったと思う。