ロ-マ帝国衰亡史 (1) (ちくま学芸文庫 キ 2-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480082619

感想・レビュー・書評

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  • 全集を購入しやっと第1巻を読む時間ができました。ローマ帝国史に興味がある人はいつか手にとらないといけない本の1つだと思うのですが、読後感としては大変満足しています。日本語訳の中には難解な単語が使われている時もそれなりにありますが、全体的に言えば、18世紀に書かれた本とは思えないほど読みやすかったです(注釈も非常に役に立ちました)。18世紀に生きたギボンも、基本的には千数百年前の古代ローマ時代やその後の歴史家の記述を参考にしながらローマ史を書き進めているわけで、その意味では現代の我々がタキトゥスなどを参照しているのと時間軸的にあまり変わらないという意味でも、200年以上前に書かれた本という古臭さは全然ありませんでした。

    何より共感したのは、ギボン自身の皮肉とも言える表現を多数織り交ぜたローマ帝国評。無味乾燥な歴史書ではなくギボンのレンズを通してみたローマ帝国評は非常に人間臭くて面白かったです。また本の構成も見事だと思います。良いタイミングでペルシアやゲルマン人などいわゆるローマ帝国の敵に関する記述も織り交ぜていて、しかもその説明内容がきわめて的確。長すぎでもなく短すぎでもなく、またややこしいゲルマン民族の種類なども、ギボン自身、民族の中身は切った貼ったでぐちゃぐちゃになっているのであまり真面目に覚えなくてもいい、というように割り切っていて、いち(素人)読者としては助かります。

    ローマ史といえば、日本では塩野七生さんの本が有名です(専門家以外の普通の社会人も読めるという意味で)。私はまだギボンの本を1冊しか読んでいませんが、個人的な印象としては、塩野七生氏はミクロな人間像の分析(カエサルやアウグストゥスなど個々人の人間像を想像も含めて深く記述する)が得意な一方で、ギボンはマクロ的かつ俯瞰的な歴史記述を流れるように書くことが非常にうまい印象を持ちました。

  • 読み応えのある本である。

  • ローマが最も繁栄した五賢帝時代、すでに衰退の原因が現れはじめていた。
    上り坂を登りきってしまうと後は下り坂になってしまうように、繁栄の頂点に達し、最大の版図を誇った帝国も制度が疲弊し、外敵も力を蓄えたために帝国の基盤そのものが緩んできてしまった。
    慣れてしまうとギボンの語りのテンポが心地良く読み進められる。
    注釈も巻末になく、ページ左にあるため参照しやすい。
    あとがきにあるように一度目の読書では注釈は気にせず、流れをつかむように本文だけ読んでもいいかもしれない。
    惜しむらくは難読字があるため辞書をひかなければならないこと。
    ローマだけでなく、外患であるアケメネス朝ペルシアやゲルマン緒族についても詳しく述べられており興味深く読めた。

  • 『死の棘』のリハビリで、読んでて楽しい本を。というわけで5年ぶりくらいの再読です。
    この間、ギリシア・ローマの本をいくつか読んだので、演出的に使われるそれらへの言及も楽しめます。
    歴史ものというと、一時代や個人にフォーカスしたものが多いですが、本書の対象はあの偉大なるローマ。絶頂期から滅亡までを記述していきます。
    時代を画した賢帝も暴帝も、舞台から降りれば何事も無かったかのように歴史は続いていく。何も変わらない繰り返しのようでいて、振り返れば確実に帝国は衰微している。人智を超えた時間というものへの畏れを抱かせますね。

  • とはいえ、塩野本が面白いのは結局はローマの歴史が面白いからなわけで。こちらは20年にわたるある貴族の思いが書かせた大作。それにふさわしく、翻訳も20年近い年月をかけ、3人の訳者の人生をかけたリレーによって完成されている。

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