売春の社会史〈上〉―古代オリエントから現代まで (ちくま学芸文庫)

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制作 : Vern Bullough  Bonnie Bullough  香川 檀  岩倉 桂子  家本 清美 
  • 筑摩書房 (1996年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480082923

売春の社会史〈上〉―古代オリエントから現代まで (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は、売春の歴史にまつわる大著である。前巻では、古代オリエントに始まり、ギリシア、ローマ、キリスト教世界、イスラム教世界、インド、中国、中世ヨーロッパ世界における売春婦像の変遷が述べられる。これらのいずれにも共通していることは、家庭における女性の性行為は、男性によって厳しく監督されていたという事実である。それゆえ、姦通を働いた女性は売春婦になることを余儀なくされたし、そういった売春婦は、男性にとって他の男性の所有権を犯さずに性的快楽を味わうための受け皿となった。すなわち、売春婦は、男性優位の社会における監督されるべき性と消費されるべき性という、”性の二重規範”の落とし子であるというのが、本書の論旨といえる。
    時に「最も古い職業」とも呼ばれ歴史を動かすこともある売春だが、その実態を体系的に書き記した書籍は意外に少ない。本書の巻頭にもあるように、「売春について書かれたものの多くは、『男性』雑誌といわれるもののレベルに終始しており、興味本位で、ポルノグラフィーまがいで、あまり正確でない」というのが実情である。それは、過去の歴史家や作家といった人種の多くが男性であり、彼らの”売春婦”を見るまなざしが、多少なりともそういった傾向を帯びていることと無縁ではないだろう。ところが、フェミニズムの台頭によって、そのような状況はひっくり返された。男性と女性の社会的地位の差が、売春婦という特殊なな存在を生み出したという仮説を論証することが、フェミニストにとっての重要課題になって以来、売春に関するまともな研究が増えた。本書も、そういった系譜に位置付けられるのだろう。売春婦を男女の社会的格差から説明しようとする姿勢には、リベラル・フェミニズムの影響を感じずにはいられなかった。
    非常に網羅的で興味深い内容だが、あまりに紋切型なうえ、誤植や論理の飛躍も散見されるため、人に薦めるのは少々ためらわれる一冊である。

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売春の社会史〈上〉―古代オリエントから現代まで (ちくま学芸文庫)の作品紹介

売春の歴史とはすなわち、社会における女性の地位と性の変遷であり、男女の関係の歴史でもある。かつて体系的にとらえられることのなかったこの「売春」というテーマに光をあて、さまざまなジャンルの資料を豊富に駆使して浮き彫りにする、初の本格的な世界通史。図版多数掲載。本書では、第一章「売春の起源」から第八章「宗教改革と梅毒」までを収録。

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