ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫)

制作 : Paul E. Willis 
  • 筑摩書房
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480082961

感想・レビュー・書評

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  • 読書は楽しいけど読解が難しいことも多い。
    しかも図書館から借りてると何ヶ月もかけて読めない。
    なので各所皆様の感想で補完させていただいてます。
    ありがとうございます。
    5章以降は目が泳いで…読めないまま返却になりそ。

    不良はインフォーマルな文化。文化を構築するには、集団、徒党が必要。不良が学校という規律を否定しつつ、自らグループを構成することは、何ら矛盾しない。

    不良や労働者がある意味で真面目に働かないのは、学校=職場=権威の欺瞞を見抜いているから。学校は勉強すればみんなが自己実現できるように語るけれど、実際は競争社会で落ちぶれた者への保証なんて何もない。あるいは、教師の権力は確保しつつ、生徒を抑圧する全体主義的な機構を備えている。だからこそ、フォーマル側の要求を鵜呑みにしない。

    こんな「能力が高ければ精神・頭脳労働に従事でき、社会的地位も高まる」という「ものさし」を否認する労働者がいるからこそ、ものさしが強固になる。もしも全員が同じものさしで考えれば、肉体労働に進んで従事する人がいなくなり、社会が崩壊する。→再生産

    若年人口が多いと反体制が増えるとかいう本があったような…それと絡められるところもあるかなと。
    いつだってインフォーマルな文化はなくならないと思う。

  • 面白かった!理論的・抽象的な言葉遣いすぎて難しいところもあったけど、そして後半のマルクス主義のところが面白くて前半の知的興奮がほぼ持ってかれてしまったけど、とても勉強になった。

    野郎どもたちが自ら誇りを持って非熟練労働者を選び取る(に甘んじる)メカニズムが腑に落ちた。そのせいで洞察が惜しいとこで止まってしまうという筆者の言いたいこともよくわかった。

    私的には、資本主義がそれ自体として利益を生む原理(=労働者の労働力商品の性質ゆえに)がやっと分かって嬉しい。まさかのマルクスを並行して読んでる時に出会ってすごい偶然を感じた。

  •  70年代のイギリスの不良少年達への取材から、なぜ学校で不良として過ごした若者達が卒業後の労働では適応するのかを考察する。

     かなり有名な本で、難解な考察に半分くらい分からなかったが、重要なことが書かれていることは分かる。
     イギリスの不良達は学校の文化には反抗的で勉強するというだけでなく資格を取ることすら否定的だ。仕事は現場で覚えられるからいい。現場でやっていくコミュ力などがあるからいいというスタンス。学校で反抗的なことと肉体労働の世界で(ある程度)従順であることは彼らの中では矛盾しないのだ。
     彼らは世間一般的な向上心がなく心配なのだが、ただこの思考はマイナスなだけでなく、彼らが社会に適応する為に身に着けた処世術のようでもある。

     これは世界中にあることのように感じた。日本での関連書籍を読んでいきたい。

  • 「落ちこぼれの少年たちはなぜ、社会的底辺と言われる労働者階級に自ら入り込んでいくのか」

    努力すれば報われる社会なんだから努力しろとは言われるけど、みんながみんな勉強するようになったら誰でもできる単純労働は誰がするんだろうと疑問に思ったことがあります。

    この本を読んで、勉強すればいい仕事(身体的な負担が少なく、高い給料のもらえる仕事)につけるのは分かっているが、権威に屈服して生きるなんてごめんだと考えて自ら労働者階級に入り込む人がいるんだと知りました。

    読後感:文章は難しくないけど、時々論拠や具体例が乏しく理解しづらい主張があり、若干消化不良。

  • 学校への反抗
    労働への順応
    1977年という昔に発行されたもので
    農業従事者から工場労働者への過渡期に起る
    格差差別問題にはじまり現在に至る
    民主主義とは程遠い人権に関する根深い問題を
    浮き彫りにしている

  • [ 内容 ]
    イギリスの中等学校を卒業し、すぐに就職する労働階級の生徒のなかで、「荒れている」「落ちこぼれ」の少年たち=『野郎ども』。
    彼らのいだく学校・職業観はいかなるものか?
    学校はどのような進路指導をしているのか?
    彼らの形づくる反学校の文化―自律性と創造性の点で、たてまえの文化とはっきり一線を画している独自の文化―を生活誌的な記述によって詳細にたどり、現実を鋭く見抜く洞察力をもちながらも、労働階級の文化が既存の社会体制を再生産してしまう逆説的な仕組みに光をあてる。
    学校教育と労働が複雑に絡み合う結び目を解きほぐす、先駆的な文化批評の試み。

    [ 目次 ]
    序章 「落ちこぼれ」の文化
    第1章 対抗文化の諸相
    第2章 対抗文化の重層構造
    第3章 教室から工場へ
    第4章 洞察の光
    第5章 制約の影
    第6章 イデオロギーの役割
    第7章 文化と再生産の理論のために
    第8章 月曜の朝の憂鬱と希望

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「借」(大学の図書館)。

    教育学・社会学の名著。
    改めて読むと、やっぱり名著だなと。
    今でも読むと結構衝撃を受けると思う。
    教育という営みに何かしら思いを抱いている人は一度読むことをオススメする。

  • 階層構造、対抗文化について非常に示唆に富んだ本。

  • 必修のレポート課題で読んだ本。なぜコレを選んだかと言えば、リストの中でタイトルがやけに浮いていたから。

    原題は"LEANING TO LABOUR"

    イギリス労働階級の中でも反学校文化の担い手である男子生徒たち<野郎ども>が、自ら労働階級の職業を選び取り、既存の社会体制を再生産する一因となってゆくメカニズムをフィールドワークを通して解明した本。
    イギリスの特定の学校を事例にしているので一般論にはならないだろうし、もちろん日本とは全く状況は違うけれども、守備範囲の中では、その調査と分析は素直に「すごい」のひと言。興味深かった。

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