日本文学史序説 (下) (ちくま学芸文庫 カ 13-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (581ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480084880

感想・レビュー・書評

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  • 下巻も500ページ以上で読み応えがあった。読み終えるまで日にちがかかったが、著者も書き終えるまで7年余りをかけているので、じっくり時間をかけて読まないと著者に失礼だろう。下巻は江戸時代の町人社会から生まれた文人から始まる。富永仲基、安藤昌益への考察から始まり、江戸時代から明治時代への流れを経る。戦後の記述は少ない。著者が同時代人であり、客観性が保てないのと、先が見えないからである。著書に一貫して流れているのは、長い歴史の中で基本は変わらず、主に周囲との関係、昔は中国、今は欧米との関係で、積み重なってきた部分はあるが、それを取り込むわが国の雑種文化を文学史として述べられているものと理解した。

  • 江戸町人文化から戦時中の文学まで。上巻に比べて「日本文化は全体ではなく細部にこだわる」というような明確な主張が少なかった気がする。

  • 下巻は江戸の町人文学(開国直前の)、蘭学や朱子学から戦後の小説や批評(大江健三郎まで)。
    歴史の流れの中で人々の心がどのような本(大衆小説:吉川英治、中里介山、大仏次郎、菊池寛、司馬遼太郎など)に寄り添っていたか、文学の中では何が起こっていたかなどが記されている。

    浩瀚な作品なので概要をまとめたり感想を書いたりするのがなかなかしんどいんですが、マルクス主義がある種日本文学の文体の重要な一部を作った(中野重治)というあたりの箇所と太宰治の「人間失格」は実は共産党員失格という意味であるという読み方はとても興味深い。三島に関してはまぁ今まで私が描いていた三島像と変わらなかった。

    横光はめたくそに言われてたw

    あと、斉藤茂吉は別に戦争賛美というわけではなく、接点がなかったために反対する要素を持ち得なかったという解釈。関連書物を読んでみようと思います。しかしだらだら読んでしまった。

    索引が便利です。

  • 漱石や芥川が個人主義だの自由主義だのとレッテルを貼るのも本人たちにとっては迷惑ではないのか。その前提でそれでも、そういうカテゴリー化の中でこの本のように歴史を語るのも面白い。それでちゃんと過去の作家たちのそれぞれの立場役割と時代背景が結びつき、わかってきて、水が流れるように一筋の流れが見えてくる。

  • 下巻は近代が主。とにかく豊富な知識量だ。

著者プロフィール

評論家。「9条の会」呼びかけ人。

「2008年 『憲法9条 新鮮感覚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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