錯乱のニュ-ヨ-ク (ちくま学芸文庫 コ 12-1)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 977
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (556ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480085269

作品紹介・あらすじ

人間の欲望と一致するある神話的な到達点を自らの手で目ざし、現代文化の基礎として複合的な超過密文化を生み出した都市マンハッタン。理論のユートピア=摩天楼、理想主義の断片=ロックフェラー・センター、予想外の突然変異=ラジオシティ・ミュージックホール…。地表上をグリッドに仕切り数々の建築物を打ち立てたこの都市の誕生・成立・発展の過程、さらにその可能性と限界を、多くの貴重図版とともにエキサイティングに描き出す。現代建築の巨人による伝説の書、待望の文庫化。この書を読まずして、現代建築を語るなかれ。

感想・レビュー・書評

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  • 摩天楼、といえばニューヨーク。
    ハリウッド映画の影響かしら(*^〜^*)
    その程度の興味で手に取ってみたら
    結構まじめな建築の本だった。

    というわけで、ダーッと流し見。
    写真や設計図もたくさん載ってました。

    ※実際は単行本のほうを読みました

  • 2023.11.17 社内読書部で紹介を受ける。マンハッタンを擬人化した場合、著者はゴーストライターという立場。1811年にアベニューとストリートを定義。1916年にゾーニング法(容積率)。エンパイア・ステート・ビルディングは1929年。物理的なものを壊すことでコンセプトを維持する。
    Penn Stationはマジソン・スクウェア・ガーデン。

    ブロードウェイは先住民の獣道。

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000951699

  • とにかく表現が難解で読み進めるのが大変だった。
    カオス的に思えるマンハッタン建築も、商業的な立場から成り立ちを考えると(高効率なプランニングや多種多様な娯楽の内包、など)どれも一貫しているという話かと理解した。そういった文脈に目を向けずに、地表部分を人間活動に取り戻すべしというコルビジェへの痛烈な批判がこの本のハイライトと感じた。

  • 錯乱のニューヨーク
    (和書)2010年04月09日 14:22
    1995 筑摩書房 レム・コールハース, 鈴木 圭介


    磯崎新がこの本は古典として残っていく作品であると書いていました。

    読んでみて吃驚、まさの錯乱のニューヨーク。

    圧倒される。

  • レムコールハースによる「錯乱のニューヨーク」
    建築家磯崎新は、建築を学ぶものにとっての必読書としてあげる。
    ニューヨークを偏執狂的批判主義の手法で読み解こうとする。レムは、マンハッタンのゴーストライターとも言っている。錯乱しているのは、メトロポリス ニューヨークだけでなく、レムも錯乱の境地に入っているようだ。メトロポリスを妄想のように描き出す。「理論上、論理的推論、そして妥協して不完全」なニューヨーク都市論。
    コロンブスは、地球はまるく、西に行けばインドに到達すると考えた。コロンブスの錯覚によって、原住民はインディアンと呼んだ。そこには、インドがなかったが、インドに捏造されて、事実を隠蔽した。インディアンに対し、オランダ人は、1626年 マンハッタン島を 24ドルで買い、ニューアムステルダムを建設した。のちのニューヨークとなる。そこを2028個のブロックに分けた。
    レムは、マンハッタンを「過密の文化」という。地面が限られた中で、空へ切り開いて行く開拓精神とエレベーターによって垂直の処女地が幾十層に切り開かれ繋がれていく。そして、都市の中に都市が作られていき、過密の文化は垂直に広がって行く。その錯乱は、摩天楼(スカイスクレーパー)によって成立する。
    摩天楼は、「最大限の過密・最大限の利益・最大限の美」を求める。
    都市はボッキする。そのボッキを維持する過密の文化が必要となる。
    ルコルビュジェは、摩天楼は小さすぎると言って、コンクリートにガラスを纏わせる。
    デカルト的な建築により、モダン建築でニューヨークを作り変えて行く。
    誇大妄想的主張をして、「真実と化した嘘」と「覚醒なき夢」が重なっていく。
    混沌と矛盾と創造を生み出す。ニューヨークを過密の文化で、さらに過密化させていく。
    そうでしか、ニューヨークは メガポリスとして生き延びれない。
    それが、ブエノスアイレス、北京に 広がって行く。
    北京のCCTV 中央電視台の奇妙なビルは、摩天楼が空中で屈折してつながる。
    それを、レムコールハースが設計したと言われて、納得した。

  • 錯乱のニューヨーク。レムコールハース先生の著書。世界中の人が憧れるニューヨークの歴史やニューヨークが抱える問題点を建築家の先生の視点から指摘した一冊。ニューヨークに行ったことがある人でもそうでない人でもきっと楽しめる良書です。

  • (01)
    マンハッタンは,都市でもありえたが,それより以前に村(ヴィレッジ)であり,それ以上に山(マウンテン)であったことも本書は明示している.
    高層化という様相のなかにも,日影制限により,のっぽなビルの先端はピラミッドのように階段状に処理される,あるいは山の斜面のように斜線がスカイラインを画する.しかし,その足元には19世紀に割り付けられたグリッドが走っており,グリッド間やグリッド内に走る緊張が山の外形を彫琢する.群島や庭園にも擬えられ,運河のように道路が流れるこの都市は,人間(*02)にも満たされている.山の中身は岩でも土でもなく,人間であり,人間が動くための架構が設えられる.

    (02)
    人間にもいろいろあって,マンハッタンの開発者たちの夢や欲望も余すところなく示される.コニーアイランドの各主体が構築したアトラクション(*03)に人間また人間は魅せられてしまう.住むというだけでなく,ビジネスに働くだけでなく,マンハッタンには,劇場や会場や宿泊が装われる.ヒュー・フェリスなど絵師により悪夢的に立ち現れたマスに人々は戯画的に収容されていく.
    ロックフェラー・センターの怪物的な現われにおいて,開発者たちが共同作業やチームワークを発揮し,それも官僚的に事務的にこの巨大事業を完遂させていく様に読者は呆れつつも,笑けてしまうような戯れを読んでしまうかもしれない.

    (03)
    著者がマシンガンのように放つ隠喩の連弾に,読者はあてられてしまうだろう.このテキストに撃たれる快感は,物語に還元され,薄っぺらな風景と典型な人物像に充たされた歴史小説を読む体感とは真逆といっていいものだろう.本書は,詩篇であり,黙示録でもあるが,神話的な世界に,わたしたちは,まだまだ晒されることを望んでいる.

  • 訳:鈴木圭介、解説:磯崎新、原書名:DELIRIOUS NEW YORK 1994(Koolhaas,Rem)

  • NYの都市建築。文体に慣れなくて放置してたけどなんとか概要的に読了。表紙に戻ったときに、点と点が一気につながるパターン。" 底抜けした底の下には何も残っていなかった "

    #錯乱のニューヨーク #deliriousnewyork #remkoolhaas

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