身体の中世 (ちくま学芸文庫)

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著者 : 池上俊一
  • 筑摩書房 (2001年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480086662

身体の中世 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

  • ●構成
    はじめに
    Ⅰ 身体コミュニケーション
    Ⅱ 身体に関する知・メタファー・迷信
    Ⅲ からだの<狂い>とこころの<狂い>
    Ⅳ 感情表現の諸相
    Ⅴ 五感の歴史
    おわりに
    --
     本書は、ヨーロッパ中世における多様な「身体」の捉え方を通じて、「時代と地域の特質を考察する」(p.9)ものである。
     人々の身振りやスポーツなどの動作、また衣服や化粧などの外面的な装いを、著者は「身体コミュニケーション」と定義する。これは、キリスト教教会に従属し規定されていたヨーロッパ中世の様々な生活共同体の中で、これらが表象する物や意味を与えられる。また、身体及び身体各部位をミクロコスモスと捉え、これらをメタファーとした、教会世界などのマクロコスモスとの対比を提示する。
     心身の異常、感情、感覚の各論においても、教会と世俗(宮廷)の倫理を中心に、両者の差異や対立の中で各コードの意味を解読する。「からだ」だけでなく「こころ」もまた、イデオロギーとなり得る。
     平易な文章で、類書に比べて読みやすいが、時折「アレゴリー」や「分節」といった学術用語が登場する。ヨーロッパ中世における社会史やイコノロジーに興味がある人にどうぞ。

  • どの時代にもまして、身体を媒介として世界と関わったヨーロッパ中世。この時代、身体の各部位には多彩なメタファーが盛り込まれており、また、身体表現・感情表現には極めて重層的な社会的意味がこめられていた。アナール学派の研究をふまえつつ、多数の画像を用いて、「からだ」と「こころ」に向けられた中世ヨーロッパの視線から、色鮮やかな人間観を緻密に描き出す。(裏表紙より)

    身体各部位のシンボリズム、感情表出(expression)について、また五つの知覚の歴史など。

  • 文章が読みやすい。簡潔な文章で、妙な言い回しも、気取った文句もない。ただただ、飽きさせることなく簡潔な文章を書いていくこの人の本は好きだ。これだけ中世の身体を通した世界観を語った本は本当に珍しい。中世の人々は、身体(五感、精神、身体の各部位)を通してどうやって世界を認識していたのか。世界の認識だけの本、あるいは身体的なメタファーやフォークロアを扱った本は沢山あるけれど、この二つを混ぜ合わせた研究書を私は読んだことがなかった。

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