イコノロジ-研究 (上) (ちくま学芸文庫 ハ 19-2)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480087218

感想・レビュー・書評

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  • ●構成
    1 序論
    2 ピエロ・ディ・コジモの二つの絵画群における人間の初期の歴史
    3 時の翁
    4 盲目のクピド
    --
     絵画を観たときに、綺麗な風景や人物が描いてある、と感想を持つ。しかし、もう少し注意深く観ると、そこには画家の意識的な(あるいは無意識にその時代に特有の表象として選ばれた)モチーフが描かれ、絵画全体として一つのストーリーとなっていることがある。たとえば中世ヨーロッパの絵画作品は、キリスト教的な意味内容を含むテーマ、もしくは芸術としてギリシア・ローマの古典期に由来するなテーマの、意味のある作品であることが少なくない。
     本書は、図像を読み解いて研究する「イコノロジー(iconology)」に関する、研究実践を記している。
     序論では、図画解釈の3つの段階として、(1)イコノグラフィー以前の段階、すなわち自然的主題(モチーフ)、様式、形、表現的特質、 (2)狭義のイコノグラフィー、すなわち伝習的主題(テーマ、)類型、構図、寓意(アレゴリー) (3)深い意味でのイコノグラフィーすなわち内的意味、象徴、イコノロジーによる解釈 を定める。その上で、幾つかのルネサンス期における、古典的な内容を取り上げた作家や絵画について、その描かれている人物や道具、時代背景、文献資料などを用いて、絵画に込められた意味――上巻では火の神ウルカヌスの脚や取り巻く女性達の存在、時の神クロノスの鎌、愛の神クピドの盲目――と、その中世的解釈を詳らかにする。
     美術史の分野だけでなく、例えば黒田日出男が取り組んでいる絵画史料論における日本史の図画史料の読み解きなど、他分野への援用もなされているイコノロジーの、基本的文献である。

  • あの当時はよくわからんかったが、読み返してみるとたいへん面白い。
    やっぱりピエロ・ディ・コジモって好きだなぁ!

  • 年代の多様な資料が使われていて面白かったけれど、求めていたところが主眼ではなかったのでちょっとガッカリ。古典神話モティーフがキリスト教の聖人たちのモティーフに掏りかえられたり、キューピッドが盲目の性格を与えられた時期があったとか。

  • 「イコノロジー(図像学)」について、まとめられた美術史上、初めての本です変容していく過程をパノフスキーの考察を通して、時代と共に、様々な解釈が加わっていく・・・。『時の翁』『盲目のクピド』の章は何度も読み返しました。

  • 絵画の内的意味を、その社会的・歴史的・文献的な背景から解き明かす方法としての「イコノロジー」の確立をみた著作。

    ピエロ・ディ・コジモ、「時の翁」および「盲目のクピド」の3章。

  • 図像学の世界だと、かなり有名なパノフスキーの研究書です。
    実際参考文献として、この方の著書が使われている場合が多いので、読んでみてはいかがでしょうか?

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