- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480087218
感想・レビュー・書評
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美術史の基本書をふりかえる。基本書とはいえ未だに学ぶべきところが多いこちら。あるイメージがどのような思想や風習などの「象徴」として成り立っているかを、具体的なケースから論じている。やはりヴァールブルクなのだけれども、ヴァールブルクよりもスケール小さい感はある。
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絵は見るものではなく、読み解くものということを理解させてくれる好著。
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イコノロジーについて初めてまとめられた学術書の翻訳本。絵画を読む手法が歴史とともに記載されている本です。西洋画が好きな人は必読。
内容にボリュームがあるので、買って読む本かな、と。図書館で借りて読むものではなかった……。 -
高価な本だが、原注、図版、文献、索引が充実していて、損した気分には
ならない…と思う。(人によるかな?)
原著者パフノフスキーは、1933年のナチスによるユダヤ人公職追放に起因する亡命者 の一人、「ヒトラーのアメリカへの皮肉な贈物」である人々の中でも傑出した人物。 -
●構成
1 序論
2 ピエロ・ディ・コジモの二つの絵画群における人間の初期の歴史
3 時の翁
4 盲目のクピド
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絵画を観たときに、綺麗な風景や人物が描いてある、と感想を持つ。しかし、もう少し注意深く観ると、そこには画家の意識的な(あるいは無意識にその時代に特有の表象として選ばれた)モチーフが描かれ、絵画全体として一つのストーリーとなっていることがある。たとえば中世ヨーロッパの絵画作品は、キリスト教的な意味内容を含むテーマ、もしくは芸術としてギリシア・ローマの古典期に由来するなテーマの、意味のある作品であることが少なくない。
本書は、図像を読み解いて研究する「イコノロジー(iconology)」に関する、研究実践を記している。
序論では、図画解釈の3つの段階として、(1)イコノグラフィー以前の段階、すなわち自然的主題(モチーフ)、様式、形、表現的特質、 (2)狭義のイコノグラフィー、すなわち伝習的主題(テーマ、)類型、構図、寓意(アレゴリー) (3)深い意味でのイコノグラフィーすなわち内的意味、象徴、イコノロジーによる解釈 を定める。その上で、幾つかのルネサンス期における、古典的な内容を取り上げた作家や絵画について、その描かれている人物や道具、時代背景、文献資料などを用いて、絵画に込められた意味――上巻では火の神ウルカヌスの脚や取り巻く女性達の存在、時の神クロノスの鎌、愛の神クピドの盲目――と、その中世的解釈を詳らかにする。
美術史の分野だけでなく、例えば黒田日出男が取り組んでいる絵画史料論における日本史の図画史料の読み解きなど、他分野への援用もなされているイコノロジーの、基本的文献である。