経済の文明史 (ちくま学芸文庫 ホ 9-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480087591

作品紹介・あらすじ

労働、土地、貨幣がすべて市場メカニズムの中に組み込まれて、いわば社会の実体が市場の諸法則に従属させられるにいたった"市場経済"社会は、人類史上きわめて特殊な制度的所産である-ポランニーは古代社会・非市場社会を、現在の市場経済と社会を映す鏡にして、経済人類学に大転換をもたらした。「経済が社会に埋め込まれている」非市場社会の考察を通じて彼が見出した、市場経済社会の特殊性と病理とは。20世紀中盤、高度資本主義社会の入り口において、鬼才が発した現代社会への警告であり、壮大なスケールで展開する経済人類学の古典的名著。

感想・レビュー・書評

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  • 経済人類学という分野があるのね。レポートに必要なところをさっと読んでみたが、あとで通読してみたいと思う。

  • 玉野井先生が訳者だったので、ポランニーを読み始めました。
    文庫になったことは知りませんでした。
    大枚をはたいてかった本が、文庫で手軽に読める現在はうらやましい限りです。
    しかし、同じ値段の文庫で、その内容の価値が100倍も1000倍も違うものを、見分けられない読者には価値はないのかもしれません。
    経済学を志す人だけでなく、社会学、歴史などを志す人達にもぜひ読んで欲しいと思います。

    ps.
    企業の経営者の方が、玉野井先生の「転換する経済学」「エントロピーとエコロジー」を含めて、読まれると、利益至上主義の経営がいかに経営の基本から外れているものかが掴めるかもしれません。

  • 「BOOK」データベースより<br>
    労働、土地、貨幣がすべて市場メカニズムの中に組み込まれて、いわば社会の実体が市場の諸法則に従属させられるにいたった“市場経済”社会は、人類史上きわめて特殊な制度的所産である―ポランニーは古代社会・非市場社会を、現在の市場経済と社会を映す鏡にして、経済人類学に大転換をもたらした。「経済が社会に埋め込まれている」非市場社会の考察を通じて彼が見出した、市場経済社会の特殊性と病理とは。20世紀中盤、高度資本主義社会の入り口において、鬼才が発した現代社会への警告であり、壮大なスケールで展開する経済人類学の古典的名著。

  • 経済の文明史
    (和書)2014年02月02日 16:44
    2003 筑摩書房 カール ポランニー, Karl Polanyi, 玉野井 芳郎, 石井 溥, 長尾 史郎, 平野 健一郎, 木畑 洋一, 吉沢 英成


    ファシズムと市場について今までこれほどみごとに批判する本を読んだことがない。カール・ポランニーさんは多分当たっているのだろうと感じました。僕は20代前半に柄谷行人さんの本を読んでこの人は当たっているという直観を得ました。そしてそこから物事を考えることをしてきました。今は40代ですがそういった衝撃と同じぐらいの影響を受けました。

    企業ファシズムというものが市場とファシズムのメカニズムにある。ファシズムが個人間の関係としての社会としての社会主義の否定としてあり、市場はそういった社会の中にこそ埋め込まれるべきであるが市場に社会が埋め込まれるという逆転がそういった社会の否定としてあり、それは個人間の関係としての社会の否定であり、市場中心がファシズムと同じメカニズムになっていることをみごとに証明している。

    これは市場の自己調整機能に埋め込まれた社会としての会社である企業がファシズムと同じ原理になってしまうという企業ファシズムのメカニズムを解き明かしている。

    土地と労働と貨幣について自然と人間と国家による虚構に対応するという指摘が資本主義の世界を解明している。経済を民主主義にするという指摘はよかった。

    カール・ポランニーさんにはびっくりした。

  • wired・近代と社会・10位
    なお、図書館には「経済と文明」ってのはある。

    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    (wired)
    古代の非市場社会との比較から、近代以降の市場経済社会がいかに特異な条件を前提に発生しているかを鮮やかに解き明かした経済人類学の古典的名著。

  • 日本独自編集によるカール・ポランニー論文集である。訳本としての初出は1975年で、「はしがき」によれば、当時日本ではほとんど知られていなかったポランニーの思想を紹介するとの意図があったようだ。本書はその文庫版である(2003年刊行)。

    所収論文の内容について。大半の論文はいわゆる「経済人類学」という領域に包含されるものとみてよさそうだが、なかには「世界経済恐慌のメカニズム」(第四章)だとか「ファシズムの本質」(第六章)だとかいうのがあって、少々面食らう。特定領域にとどまらないポランニーの仕事に触れられることは有益だが、それぞれの仕事の相互連関あるいはポランニー思想の全体像ということになると、本書一冊でそれを把握するのは難しいだろう(なお、その点については佐藤光氏による「解説」でいくらかのフォローがある)。

    文体について。難解である、読みづらい、との評を散見するが、僕としてはそれほど気にならなかった。この種の訳本としては十分整っていると思った(何箇所か引用しておいたので、よかったら参照してほしい)。

  • 新書文庫

  • この本は10年くらい前に途中まで読んで、文章のあまりのわかりにくさ(悪文)にイヤになって挫折してしまったのである。しかし最近、他のカール・ポランニーの著作を幾つか読んで文体に免疫もでき、思想内容に魅了されてきたので、再度読んでみた。
    これは日本人編集者による、日本独自のアンソロジーである。前半に資本主義やファシズムをめぐるいつもの調子の論文、後半に『経済と文明』につながるような人類学的な論文が収められている。
    買ったとき、この本は経済の歴史をしるした通史ものだろうと勘違いしたのだったが、日本人がつけたこのタイトルが悪い。確かにポランニーは「歴史」を鋭く認識し直すことをも追究しているが、通史的なもの・網羅的なものとは関係がない。
    さて資本主義経済の、近代以降は中心となった「市場(しじょう)」システムをポランニーは批判しているのだが、彼はこれを他の交易システムにおける「市場(いちば)」とは完全に区別している。
    たとえば日本の中世において既に市場経済があった、とする網野善彦さんの歴史学のそれは、「いちば」の方であって、西洋的な市場システムとは異なる、ということになろう。
    内容が多岐にわたり、豊かな思想のきらめきを見せてくれる本書は、文体さえ克服すれば、ポランニー入門にふさわしい1冊と言えるのかもしれない。

  • [ 内容 ]
    労働、土地、貨幣がすべて市場メカニズムの中に組み込まれて、いわば社会の実体が市場の諸法則に従属させられるにいたった“市場経済”社会は、人類史上きわめて特殊な制度的所産である―ポランニーは古代社会・非市場社会を、現在の市場経済と社会を映す鏡にして、経済人類学に大転換をもたらした。
    「経済が社会に埋め込まれている」非市場社会の考察を通じて彼が見出した、市場経済社会の特殊性と病理とは。
    20世紀中盤、高度資本主義社会の入り口において、鬼才が発した現代社会への警告であり、壮大なスケールで展開する経済人類学の古典的名著。

    [ 目次 ]
    第1部 市場社会とは何か(自己調整的市場と擬制商品―労働、土地、貨幣;時代遅れの市場志向;貨幣使用の意味論)
    第2部 現代社会の病理(世界経済恐慌のメカニズム;機能的社会理論と社会主義の計算問題;ファシズムの本質)
    第3部 非市場社会をふりかえる(ハムラビ時代の非市場交易;アリストテレスによる経済の発見;西アフリカの奴隷貿易における取り合わせと「貿易オンス」;制度化された過程としての経済)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • カール・ポランニーの代表的論文を玉野井氏がまとめたということで読んでみた。それまで自給自足的で余った農産物を処分(物々交換など)して必要なものを手に入れてきた社会から、あらゆるものが市場で売られるために生産され、労働という生活そのもの(あるいは人生そのもの)まで売られるようになった現在の資本主義社会の特殊性をあぶりだしてくれる。

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