明治商売往来 続 (ちくま学芸文庫)

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著者 : 仲田定之助
  • 筑摩書房 (2004年1月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480088062

明治商売往来 続 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代から商品券があった、とは知らなかった。贈答品にかさばるものを持って行くかわりに、商品切手が重宝がられる。それは今でも同じだろうが、そのようなことがデパートの出来る前からあったとは知らなかった。この本の冒頭、「鰹節のにんべん」という話に、そう書いてある。
    「まだ百貨店出現以前のことなので、祝儀にはまず鰹節、不祝儀には銘茶、そして訪問、見舞いなどの手土産がわりには菓子の切手が多く遣われた。それも鰹節は『にんべん』おちゃな『山本山』菓子は『?月堂』と、だいたい相場が決まっていて、これらの店の切手はわれわれ東京市民に親しまれていた」とある。そのうちでもにんべんの商品切手は江戸時代から既に兌換紙幣のように信頼されていた。この店では切手で買いにくる客には、代金を先払いして貰っているのだから、特にいい品を選んで差出すよう心掛けていたという、とも。

    にんべんの始祖、初代高津伊兵衛は伊勢四日市の生まれ、13歳のとき始めて江戸に出て、宝永元年(1704)26歳のとき日本橋小舟町に鰹節問屋伊勢屋を創業したのだという。江戸時代、すでに分限者として知られ、高津家にはおびただしい数の浮世絵版画が蒐集されていた、とも。あの界隈には沢山の錦絵版元があり、そのパトロンになっていたので、その見本刷りが寄せられた、と言う話にはナルホドと思う。

    仲田定之助著「続明治商売往来」だ。筆者は明治中期に東京下町に生まれ育って、かてて身近に親しんださまざまな庶民の生業の姿と町の風物を愛情込めて描いている――と解説者の「オビ」。懐かしい時代への懐旧だけでなく、つい100年前の東京のことがおじいちゃんの口から語られているような親しみがある。そろえて座右において置きたい。

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