ザ・ヌード (ちくま学芸文庫)

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制作 : 高階 秀爾  佐々木 英也 
  • 筑摩書房 (2004年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (693ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480088581

ザ・ヌード (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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    例え、二次元の絵画とはいえ、また、三次元であっても静止し静物化した彫像とはいえ、ヌードに対面した私たちは、どこかいたたまれなさに襲われる。本書には、これがどこからくるいたたまれなさなのかも記されている。
    鑑賞する側にあるいたたまれなさは、制作する側にある、それが性的な対象であることのうしろめたさ以上に、そのうしろめたさを含めて惜しげもなく露出する/させる作者への気おくれであるのかもしれない。
    この居たたまれなさと気おくれは、私たちをとあるどこかへ導くものであるし、それこそが芸術体験であるとも言える。
    本書におさめられた図版や写真はモノクロで小さなものではあるが、にもかかわらずヌードの美しさと迫真を伝えている。
    美しさと迫真が、シンプルなリアリズムによるものでないことを本書では随所で強調している。市井の裸の実際は醜くあるし、ヌードモデルそのままの形態でもまだ醜い。理想への志向あって始めてヌード作品が成立する。そして、理想の形態を求道するにあたってヌードという方法が優れていることにも著者はたびたび言及する。
    建物とのアナロジーにもヌードは置かれる。建築における構造は、人物における裸体であり、さながら、建築における意匠は、人物における衣装であるといったところであろうか。もちろんそこには、人体の数理的理解、力学的理解、解剖学的理解の成果として、建物と並んでヌードがある。また、興味深いのは、幾何学的形態へのフェティッシュがヌードの受容と性的な喚起に平行していることの指摘である。つまり、人体の中に形を見出すことは同時に、人体の分析や描写が形を生んでいるという認識でもある。
    アポロンやヴィーナスといったギリシャ主題、エデンやキリスト受難の主題にヌードは絡まりやすく、陶酔や悲劇といった宗教的感情との結びつき、性や自然への憧憬もヌードの範疇であった。ルノアールやドガ、マティスやピカソ、そしてムーアといった現代がこの伝統的な範疇にどう向かったかについての検討も痺れる。古典においてはミケランジェロのなした総合についての洞察が圧巻である。
    古代の彫刻や装飾からの変遷という経糸だけでなく、北欧やオリエンタル、インドのヌードといった緯糸の影響にも触れられている。
    本書を読んだ後であれば、ヌードに面したいたたまれなさがいくらかでも軽くなるのかもしれない。ヌードに対したいと思わせる重要な研究である。

  • アポロン、ヴィーナス、そしてアダムとエバ、彫刻と絵画に出てくるテーマ。ギリシャ時代からルネッサンスを経て、現在まで、どのように変遷していったか。興味深いところ。
    後半は力、悲劇性、陶酔などが裸でどのように表現されているのかの説明が説得力があった。女性のヌード画・像だけではなく、男性のヌードがなぜ魅力的なのか!納得。ミケランジェロが女性のヌードが男性のヌードに劣る!と考えていたとは面白い。確かに彼の作品はダビデ像、ピエタ像など、男性の肉体を描いている。

  • 基礎文献

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