経済と文明 (ちくま学芸文庫)

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制作 : 栗本 慎一郎  端 信行 
  • 筑摩書房 (2004年11月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480088703

経済と文明 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • カール・ポランニーの人類学者的側面が前面に出た著作。どうやら死後刊行されたものと思われる。
    取り上げられているのは18世紀に西アフリカで栄えたダホメ王国で、これはマリノフスキー、モース、レヴィ=ストロースなどが取り上げたような「未開社会」よりもずっと「発展・文明化」された複雑な国家であるようだ。
    もちろん現存しない社会であるからフィールドワークでなく、文献を渉猟して詳細に調査している。ポランニーのダホメ描写は社会構造の概略、歴史、そして経済システムを学問的に語ったものなので、ダホメ国民の生活とか具体的なイメージはあまり湧いてこない。
    ダホメはどうやらユートピアのような国ではないが、その経済システムは近代西欧がはぐくんだ「市場経済」とはまったく様相が違うものだ。ポランニーの狙いは、その差異を強調することで、西洋的「市場経済」は相対的に特殊なものであり、ある意味では異常なものであるという主張を補完することにあるのだろう。けれども本書は全く真面目な学問書であって、安易な口走りに逸脱することはない。
    西洋的「市場経済」というのは、ポランニーによると、それ自体が自律的で自己生成的であり、市場の論理(需要と供給)によって価格は決定し、貨幣の動きに伴って利潤などというものが発生してくる。19世紀から20世紀にかけての西洋型「市場」資本主義の悪夢は、社会構造が市場経済の論理に支配され尽くして、すべてが「要するにカネ」ということになってしまう非人間性にある。
    このポランニーの主張には共感する。
    けれども本書に描かれたダホメの社会は必ずしも理想的ではないし、さほど魅力も感じられない。もちろん、実際に見たこともない世界だからこれだけで判断はできないのだが。
    ポランニーは本書をあくまでアカデミックな目的で書き、それ自体は完遂されている。ポランニー思想のひとつの側面を如実に示す点で、重要な本なのかもしれない。

  • 資本主義や市場経済ではない経済を、このように実証的に解説された本を、見たことがない。
    また役があまりよくないという意見も見たが、これはポランニー自身の文章が、あまり上手ではないのかな、と思ってしまった。

    いわゆる未開社会に分類される「ダホメ王国」であるが、マルクスの云うような「奴隷制」や「原始共産制」はなかったようだ。国王が価格を決定し、子安貝が貨幣の代わりになっていた。また貨幣は商品であるとは云え、「王の権威のもとに」通用力が決定され、身分ごとに異なった貨幣が流通するなど、「唯物史観」はここではあまり当てはまっていないようだ。
    また奴隷狩りの記述があるが、自分から奴隷を差し出すようなものなどいないし、ヤムにやまれる事情で、戦争の捕虜を渡したようだ。これで貨幣を稼ぐこともしたようである。まだ完璧に読み取れたわけではないが・・・。

    ポランニーの「経済人類学」という学問も、なかなか面白そうだと考えた。ポランニーの著書も含め、様々な本を当たってみたい。

  • 一文一文をきちんと解釈しないと、理解が難しい。自分は先に海賊の経済学を読んだので、二つのモデルを比較しながら興味深く読めた。欲望の交換にはルールやしきたりが必要であり、貨幣もまた、ルールである。どんな集団でも、社会を形成する限り、自然発生的にルールが出来上がる。支配する側の支配の仕方によって、そのルールの方向性が異なる。物々交換には、限界がある。資本主義とは、一つのモデルに過ぎないし、あらゆるモデルは併存が可能だ。しかし、一緒に夢を見て、ルールを共用する必要はあるのである。

  • 奴隷貿易の話は聞いてはいたが。詳細に読むと目鱗。
    いまの<市場経済>は、なんだか息苦しい。じゃぁどうしたらいいのかを考える時、<古代的>経済活動を知ることは大切なんだろう。

  • カール・ポランニーの遺作です。彼は資本主義社会は人類史において、大変特殊な歴史構造体といっています。

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