日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)

  • 86人登録
  • 3.87評価
    • (6)
    • (8)
    • (9)
    • (0)
    • (0)
  • 14レビュー
著者 : 大村はま
  • 筑摩書房 (2006年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480090096

日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 国語教師大村はまさんが、1990年代に講演した内容をまとめた1冊。大学時代に教育の授業で読んだ本を久しぶりに手に取り、今の自身と比較しながら読めた。時代は変わっても、教育の土台の部分・本質は変わらないと再認識した。

    ☆心に止めたい箇所
    ・みんなが、それぞれの成長を願い、一生懸命生きている教室が本当にいきいきしている教室。

    ・押し付けはしないけれど、少しずつリードしていく。これが教師の力。

    ・教育の効果というのは、何十年と先に花開くものですから、すぐ見えなくても焦らないことです。すぐ見えても有頂天にならないことです。自分だけで育てているのではありませんし、何かの加減でそういうふうになるのですから、よくても有頂天になってはだめですし、効果が見えないからと行って、それが失敗とは決まってはいません。ですから、よく考えて自信を持ったことは、まっすぐに祈るような気持ちでやっていくのです。

     目先のことに捉われすぎず、長い目で子供達の成長を見守り、子供達と成長していきたいものです。

  • 苅谷剛彦さん(教育社会学者)がかかわった「教えることの復権」(ちくま新書)という本を先に読みました。いま本棚に見当たらないので、たぶん、図書館で見つけて読んだのだと思います。そこに、大村はま先生が登場します。私の予備知識は、テレビで一度そのお姿を拝見した程度でした。その本の中で初めてふれる先生の指導法には強烈な印象を持ちました。大村先生ご自身は、もう10年ほど前に、100歳を目前に亡くなられています。そこで紹介されている教育実践例がとにかくすごいのです。100人いれば100通り違う文章を与え、それについて考えさせる。それぞれに手引きを与える。ひとりひとりの生徒をしっかり見ているからこそできる技なのです。同じ教材は別の生徒に対してでも使わないというからまたすごい話です。使い回しはされないのです。それは、いつも新鮮な気持ちで教室に入るためだとおっしゃっています。これはもう大村先生の本を読まなければと思って「教えるということ」と本書(いずれもちくま学芸文庫)を読みました。「教えるということ」は誰かに貸して返ってきていない本の1冊。そういう本が5冊ほどあります。どれも大切な本ばかりです。貸したと思っている相手には「返しました」と言われたから仕方ないですね。
     さて、本書の内容に移します。大村先生はふつうの中学校の国語の先生でした。現役の教師を引退された後も、後進を育てるために各地で講演会などもされていたようです。本書はその講演会での話をもとに編まれています。そのため、何度も同じような話は出てきますが、大切だからこそ何度も登場するのです。
    もう、最初のページから反省させられることばかりです。「何事かを加えて教室に向かい、何事かを加えられて教室を出たいと思っています。」もう、1回1回が真剣勝負なのです。「あり合わせ、持ち合わせの力で、授業をしないように。」この言葉を胸に、日々の授業に向かいます。(一方で、ありあわせのもので、必要なものを創る=ブリコラージュという「野生の思考」がいま見直されています。)
    「まず、『なになにしなさい』ということばをやめることです。・・・教師がこうなったらいいと願っていることを、『なさい』ということばをつけて子どもに言う、これは専門職の教師としては、たいへん、みっともない気がします。・・・『なさい』と言いたいことを、そう安易に言わないで、自然に子どもにさせてしまう人、そういう人が教育の専門家らしい人だと思います。」その通りだと思います。が、なかなかその通りにできないのが現実です。 
    受験が近づいてくると、算数・数学などの質問が多くなります。そんなとき、すっと解き方を子どもたちが分かるように教えるというのはそれほど難しいことではありません。すんなり教えたほうが時間も短縮できます。けれど、それをこらえて、子どもたち自身に考えさせないといけません。そうしないと、自分でできるようにならないからです。私たちが安易に教えるというのは子どもたちの考えるチャンスを奪っているということになります。けれど、それは放っておくというのとは違います。大村先生はこんなふうに言います。「子どもに自由に考えさせると言って、何もしないのは、自由のはき違い、教えるということを忘れていることだと思います。・・・子どもに任せきりでなく、どこまで、どのように手引するのか、深く考えておきたいと思います。教師はいつの場合でも教えることが仕事なのですから。」子どもたちには少しずつヒントを与えます。そしてそれをもとに考えを進めていく。そして、自分の力で「解けた・できた」という思いを持ってもらいたいのです。解けたとき・できたときの快感を奪う権利は私たちにはないのです。私たちも粘り強く、我慢することが大切です。子どもたちに自分自身の力で出来たのだという自信を持ってもらうこと、それがその子の後の学習習慣に大きく生きてくるはずです。
    発問の仕方について。「教師自身が答を持っていることを、授業の進行上、子どもに聞いたりする。それは相手を一人前に扱わない失礼なことだと思います。自分の知っていることを知らないような顔をして聞くのは、普通の人にはやらないことです。子どもだからいいというものではない。子どもを尊重するとはそういうことだと思います。」これは、特に、学校の国語科の授業だからこそ言えることなのかもしれませんが、理系を担当している私にとっても、意識しておきたいことばです。
    私たちは「ひとりひとりを大切に」と40年以上もうたい続けています。それが、単なるかけ声だけで終わっていないだろうか、日々振り返らなければいけません。「ひとりひとりを育てるには、まず、ひとりひとりを知ることです。ひとりひとりを捉えていなくては、それに応ずる指導ができるわけがないと思います。」今日来てくれた生徒全員に声がかけられただろうか。ひとりひとりを見つめることができただろうか。毎日毎日、問い続けないといけません。それだけ、大変な仕事をしているのだという思いを持ち続けないといけません。
    「教育の効果というのは、何十年と先に花開くものですから、すぐ見えなくても焦らないことです。(逆に)すぐ見えても有頂天にならないことです。自分だけで育てているわけではありませんし・・・」私たちの仕事というのは子供たちの成長に関わる本当に大切な仕事だと思っています。合格をして、喜んで報告をしに来てくれる姿を見るのは本当にうれしいものです。けれど、それだけではなく、大学に合格したとき、就職したとき、結婚したとき、子どもができて初めて親の気持ちがわかったとき、そんなときどきに、声を聴かせてもらえるのが本当にうれしいのです。卒業してからもぜひ、機会があれば顔を見せてくださいね。(そういう意味で、FBは、いろいろ問題もあるかもしれませんが、すこぶる活躍してくれるツールなのです。)

  • 今の教育にもつながる。主体的対話的で深い学びに通じる。グループ学習、表現活動において教師がすべきことは問答ではなく対話。そして、生徒の見本になり、生徒に寄り添うこと。

  • 重い言葉でした。一か所に留まってはいけない。それが、働くということなんだなと。常に真摯に、よりよくする方法を求め、人にはないオリジナリティーを求め続ける。失敗の中の学びを逃すことなく、向上し続ける人でありたい。

  • 教師としての含蓄ある言葉の数々に、教えるということの奥深さを感じます。特に「・・・しなさい」「もっと大きな声で」などということがいかにクラスを暗くするのか、はなるほどと思います。また話し合いをさせればよいというものではなく、彼らの成長に応じて話し合わさなければ、話し合いが楽しいものでなくなってしまう!これらは縦令相手が大学生であったも同じように思います。読書感想文は大人がほとんど書いていない、それを子供に要求するのは・・・とありました。その意味では私が書いていることは、大人としては珍しいことなのでしょうね。

  • 学習者に誠実に向き合い、うわべだけの指導に陥らないためにどのようにしたら良いかを考えさせられた。

  • 教師を目指す私にとって大きな指針となりました。
    最も印象にのこったのは
    「なさい」が最も教師らしくない言葉であるということ。
    「なさい」を使わずに、指導できる教師を目指したい。

    はまさんの言葉を受けて、
    これから、どんどんどんどん本を読みたいと思った。
    (というか、思わせられた・・さすがです。)

  •  この本の中で最も考えさせられたことは,教師が自然と用いている発問や教授方法の影響の大きさです。漢字の書き取りや「〜なさい」といった何気ない言葉かけまで,教師が何の疑いもなくいいと信じていることや効果があると信じていることの中には,実は子どもの考えに立って行っていないことが多く,反対に子どもがいきいきと学習する意欲を奪いかねない行動もあると示唆しています。確かに,教師という職業は時間に追われ毎日の授業をこなすだけで精一杯であると思います。しかし,このような本を読んで自分の言動の一つ一つを振り返ることや,たった一つの教材を吟味していく努力を続けていけば,いずれ自分の姿と子どもの変化を客観的に見ることができるようになると感じました。(幾代)

  • 専門職としての教師の力とは?常に新しいことにチャレンジする気持ちを忘れないことは大事だと思いました。

  • すでにわかっていることを誰かに尋ねるのは失礼。それはこどもに対しても同じで、そんなことを繰り返していれば、真実のことばを話すことができなくなってしまう。隣で話している人たちのことばがすごくおもしろくないということが最近増えたように思う。それはきっと自分の中から出てくることばを大切にしていないからなんじゃないでしょうか。もっと真剣に向き合いたいです。

全14件中 1 - 10件を表示

大村はまの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
フランツ・カフカ
ヘルマン ヘッセ
J・モーティマー...
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)はこんな本です

日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)の単行本

ツイートする