孫ピン兵法: もうひとつの「孫子」 (ちくま学芸文庫 ソ 3-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.78
  • (4)
  • (0)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 53
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480091789

作品紹介・あらすじ

『史記』や『漢書』にその名が記載されながら、二千年にわたって姿を隠していた幻の兵書『孫〓(ぴん)』。1972年、山東省臨沂県銀雀山の紀元前二世紀ごろの漢墓から出土した竹簡によって、『孫子』には在来の『孫子』(孫武)と『孫〓(ぴん)』の二種類あることが判明。『史記』『漢書』の記述の正しさが立証された。本書はその竹簡の全訳。在来の『孫子』は深い思想性を特色とするが、本書『孫〓(ぴん)』は戦国時代という社会状況を反映して、騎兵戦・攻城戦・陣法など、より具体的・実際的な戦術が展開される。二つの『孫子』を合わせ読むことにより、生死を賭けた人間の知恵と行動の原理が把握できよう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本の帯にあるように「2000年の時を隔てて現れ出たもうひとりの孫子」。1972年に山東省臨沂県銀雀山の漢墓から出土した竹簡『孫?兵法』の全訳。
    竹簡に欠落している字も多いので、読了するのに骨が折れる。訳者にただ感謝。

  • 孫子には風林火山の出典として知られる『孫子』と
    子孫の孫ピンが記した『孫子』があります。

    前者は春秋時代の孫武が記した呉孫子、
    後者は戦国時代の孫ピンが記した斉孫子です。

    後者の孫ピンのものは後漢末期には既に散逸していたようで
    現代に伝わっていなかったのですが
    1972年に発掘された木簡を解読した結果
    孫ピンの兵法書が姿を表し
    再び読むことができつようになりました。

    欠損箇所も多いので完全な姿はわかりませんが
    読むことができるようになりました。


    詳しい経緯は岩波書店から出ている
    『孫子兵法発掘物語』に記されています。
    これを読むと発掘スタッフに憤りを感じ、
    整理した学者達には敬意を抱くことができます。


    孫子の兵法は13編構成ですが、
    このテキストが孫武によるものなのか、
    孫ピンによるものなのか詳しい研究が必要なようです。


    そこまで、専門的なことは分かりませんが、
    ざっと読んだ感じだと
    『孫子』は抽象的であり、
    『孫ピン兵法』は具体的な記述が多いように思えます。

    『孫子』は抽象的なるが故に
    軍事以外への応用が利くのてあって、
    具体的であっても応用できる人はできるのでしょうが、
    軍事以外への応用は難しいのではないかと思います。


    孫ピンの兵法書を漢文で読むことができ
    文庫で安価に容易に手に入れることができる
    よい本です。

  • 文句なしに面白い

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1920年、三重県生まれ。東北帝国大学法文学部支那哲学科卒業。文学博士。東北大学名誉教授、追手門学院大学名誉教授、日本学士院会員。2003年、勲二等瑞宝章受章。著書に、『秦漢思想史研究』(平楽寺書店)、『管子の研究』(岩波書店)、『淮南子の思想』(講談社学術文庫)などがあるほか、訳書に、『論語』『荀子』『荘子』『韓非子』『孫子』『大学・中庸』(いずれも岩波文庫)など多数。2006年、逝去。

「2022年 『死と運命 中国古代の思索』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金谷治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×