熱学思想の史的展開: 熱とエントロピ- (1) (ちくま学芸文庫 ヤ 18-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480091819

作品紹介・あらすじ

ニュートン力学のあとを受けた18〜19世紀は、熱をめぐる世紀となった。なぜ熱だったのか?本書は、科学者・技術者の実験や論理を丹念に原典から読みとり、思考の核心をえぐり、現代からは見えにくくなった当時の共通認識にまで肉薄する壮大な熱学思想史。迫力ある科学ドキュメントでもある。後世が断ずる「愚かな誤り」が実はいかに精緻であったかがじっくりと語られる。新版ともいえる全面改稿の全3巻。第1巻は、熱の正体をさぐった熱力学前史。化学者ラヴォアジェが熱素説の下で化学の体系化をなしとげ、より解析的に熱を取り扱う道が拓かれるまで。

感想・レビュー・書評

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  • 山本義隆の熱科学史。単なる単行本化ではなく、かなり書き直しているらしい。
    どうやって熱力学が形成されていったのかを知ることで、とかく分かりにくい熱力学の思想や用語が理解できるようになるかも。

  • <第1部 物質理論と力学的還元主義>
    ◇第1章 機械論的自然観と熱
      ――ガリレオをめぐって
    ◇第2章 「粒子哲学」と熱運動論の提唱
      ――ボイルをめぐって
    ◇第3章 「ボイルの法則」をめぐって
      ――ボイル、フック、ニュートン
    ◇第4章 引力・斥力パラダイムの形成
      ――ニュートンとヘールズ
    ◇第5章 一元的物質間の終焉
      ――デザギュリエ
    ◇第6章 能動的作用因としての〈エーテル〉
      ――もう一人のニュートン

    <第2部 熱素説の形成>
    ◇第7章 不可秤流体
      ――ブールハーヴェとフランクリン
    ◇第8章 スコットランド学派の形成
      ――マクローリン、ヒューム、カレン
    ◇第9章 熱容量と熱量概念の成立
      ――カレンとブラック(その1)
    ◇第10章 潜熱概念と熱量保存則
      ――カレンとブラック(その2)
    ◇第11章 熱物質論の形成と分岐
      ――ブラック、クレグホン、アーヴィン
    ◇第12章 熱素理論と燃焼理論
      ――初期ラヴォアジエ

  • 「熱学思想の史的展開1」山本義隆著、ちくま学芸文庫、2008.12.10
    387p ¥1,540 C0142 (2023.03.13読了)(2022.02.26入手)(2021.11.20/9刷)
    同じ著者の「磁力と重力の発見」を読んで面白かったので「一六世紀文化革命」を読みました。こちらも面白く読めました。調子に乗ってこの本に手を出したのですが、こちらはちょっと手ごわい感じです。空気の成分や化学変化についてまだわかっていない状態で熱による物質の変化を考えるのですから実に大変だったんですね。まだ2巻残っています。

    【目次】
    まえがき
    再刊にあたって
    第1部 物質理論と力学的還元主義
    第1章 機械論的自然観と熱―ガリレオをめぐって
    第2章 「粒子哲学」と熱運動論の提唱―ボイルをめぐって
    第3章 「ボイルの法則」をめぐって―ボイル、フック、ニュートン
    第4章 引力・斥力パラダイムの形成―ニュートンとヘールズ
    第5章 一元的物質観の終焉―デザギュリエ
    第6章 能動的作用因としての〈エーテル〉
    第2部 熱素説の形成
    第7章 不可秤流体と保存則―ブールハーヴェとフランクリン
    第8章 スコットランド学派の形成―マクローリン、ヒューム、カレン
    第9章 熱容量と熱量概念の成立―カレンとブラック(その1)
    第10章 潜熱概念と熱量保存則―カレンとブラック(その2)
    第11章 熱物質論の形成と分岐―ブラック、クレグホン、アーヴィン
    第12章 熱素理論と燃焼理論―初期ラヴォアジェ


    ☆関連図書(既読)
    「磁力と重力の発見1 古代・中世」山本義隆著、みすず書房、2003.05.22
    「磁力と重力の発見2 ルネサンス」山本義隆著、みすず書房、2003.05.22
    「磁力と重力の発見3 近代の始まり」山本義隆著、みすず書房、2003.05.22
    「一六世紀文化革命 1」山本義隆著、みすず書房、2007.04.16
    「一六世紀文化革命 2」山本義隆著、みすず書房、2007.04.16
    「福島の原発事故をめぐって」山本義隆著、みすず書房、2011.08.25
    「プリンキピアを読む」和田純夫著、ブルーバックス、2009.05.20
    (「BOOK」データベースより)amazon
    ニュートン力学のあとを受けた18~19世紀は、熱をめぐる世紀となった。なぜ熱だったのか?本書は、科学者・技術者の実験や論理を丹念に原典から読みとり、思考の核心をえぐり、現代からは見えにくくなった当時の共通認識にまで肉薄する壮大な熱学思想史。迫力ある科学ドキュメントでもある。後世が断ずる「愚かな誤り」が実はいかに精緻であったかがじっくりと語られる。新版ともいえる全面改稿の全3巻。第1巻は、熱の正体をさぐった熱力学前史。化学者ラヴォアジェが熱素説の下で化学の体系化をなしとげ、より解析的に熱を取り扱う道が拓かれるまで。

  • 系推薦図書 総合教育院
    【配架場所】 図・3F文庫新書 ちくま学芸文庫
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=189010

  • 1323円購入2011-02-28

  • 新書文庫

  • スゴいの一言。熱という概念の確立にこれほど多くの科学者の取り組みがあったとは。しかし限定された観測データから本質を見つけていく作業というのは、現代の素粒子科学にも通じるものがあるのでは。熱素を探す姿勢というのは重力子を追い求める姿と重なるような気も。

  • 1-3 物理学

  • 熱力学概念の形成を追った科学史の労作。この巻ではプラトンやアリストテレスの哲学からラボアジエの熱素理論までを取り上げている。熱力学形成史としての価値は言うに及ばず、誤謬とされた理論にも相応の蓄積と理があったことを理解することも出来ます。物理、科学史が好きな方のみならず、視野を広げたい人にもお勧め。

  • 「重力と力学の世界」につぐ書籍で、熱力学を学ぶ、物理学、電気工学、機械工学、化学などの学生にはぜひ読んでおいてほしい背景知識である。
    本書では、自然科学の発想のきっかけがつかめるかもしれない。
    高校、大学の理科系の授業は、結果しか教えないので、おもしろくないと感じる人もいるだろう。どういうきっかけ、ヒントで、自然科学の理論を考えついたかがわからないことが多い。自然科学を理解できない原因にもなっていないだろうか。
    ボイル、ジュール、カルノーといった基本的な理論もでてくる。

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著者プロフィール

山本義隆(やまもと・よしたか)
1941年、大阪府生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。科学史家、駿台予備学校物理科講師。元東大闘争全学共闘会議代表。

「2022年 『演習詳解 力学 [第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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