写真 日露戦争 (ちくま学芸文庫)

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制作 : 小沢 健志 
  • 筑摩書房 (2010年11月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480093295

写真 日露戦争 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 日露戦争時の帝国陸海軍の戦闘や戦地の様子、そして、戦後の捕虜収容所や凱旋の様子など、当時の主だった写真をコンパクト版で紹介したものです。
    1839年の写真発明後、当時の撮影技術では非常な労力を要する代物だったにもかかわらず、その65年後の1904年からの日露戦争ではその記録を残すべく、陸軍では組織的に、そして海軍では軍艦乗り組みの士官ら有志によって困難の中で撮影され、現代に受け継がれてきた貴重な写真集となっています。
    陸軍では実は「写真測量」という見地から陸地測量部が創設され、地図を作製することを主任務としたということで、遠景が多いのもそうした理由とのことですが、様々な戦地の様子を記録として撮っているものも多々あり、部隊写真や戦闘写真のみならず、中には戦死者の写真などもあって、戦争の実際を克明に写しているといえます。戦死者の写真などは戦争の悲壮さがよく窺える1枚になっていますが、掲載されている写真をみますと穏やかなお顔にみえるものもあり、あるいは爆風による即死だったのかもしれません。合掌。

    こうした多数に撮られた「戦争」の写真は、メディアとしての可能性もどんどんと広がっていったと思われますが、解説にもあるように、大きい木をバックにした芸術写真と思えるようなものや、砲撃シーンをやらせのように撮影した写真(戦意高揚用の写真か)もあって、なかなか興味深いところです。
    人物写真で言えば、大多数の被写体の人物は慣れないせいもあってか、しかめっ面の人が多いのですが、中には厳粛と思われる集合写真であっても笑っている人物もいて、写真撮影時は笑うものだという意識が感じられ、なかなか微笑ましい限りです。(笑)
    また、乃木希典なんかは他の軍人とは違う服装をしていてこだわりが感じられたりするのですが、ちょうど軍服自体の移行期だったようで、一般兵卒も軍隊なのに軍服がみな一律でないところがあったりして、ちょっとした自由な雰囲気すら感じられます。
    有名どころの日本のお歴々の写真もなかなか興味深いところがあって、二元帥六大将の集合写真でいえば、乃木希典は相変わらず気真面目そうだし、児玉源太郎は相変わらず知性的な顔立ちで、川村景明はこういう顔かもしれませんが一人笑っているのが面白いですね。(笑)また、写真好きという割には大山厳はここでもぼんやりと撮られていまして(表紙写真もぼんやり大山厳です)、それから猪突猛進肌という野津道貫は武将のような顔立ちで、常に先陣を担っていたという黒木為楨はこの写真も含めてとても怖いです。(笑)旅順攻略途上の第三軍を訪問した東郷平八郎を交えた幕僚らとの集合写真では、戦況が悪かった時期でもあり、みんなブスッとした表情なのが印象的ですが、ここでの乃木希典は一人ほのぼのとした感じなのは面白かったです。(笑)
    海軍の写真は軍艦の乗組士官が主として撮ったということで、戦闘後の軍艦の破壊状況とか炎上シーンなどはとても生々しい写真として記録されています。しかし、一方で、本当かどうかはわかりませんが、黄海海戦時に連合艦隊に放たれた一発目ということで海しぶきをあげている写真があるのですが、当時の写真技術でこうしたシーンをモノにするとは、最大戦速の戦闘配置中にもかかわらず呑気なものだなあと思いました。(笑)日本海海戦後の降伏艦の様子や捕虜の集合写真は、いまならまさに新聞のトップ記事物の緊迫したリアル感あふれるものですね。
    姫路にあった捕虜収容所では敗戦国となったロシアの兵卒を慰問すべく、演劇『太閤記』を上演した際の写真も掲載されていますが、ロシアの農民や労働者らが徴兵され、なんの因果か極東の捕虜収容所でわけのわからない演劇を観させられているかと思うと、なんだかとてもシュールな1枚のように思います。(笑)

    巻頭の日露戦争についての解説は半藤一利ですが、その文章でも触れられているように司馬遼の『坂の上の雲』のダイジェスト版のような趣があり、次第に高揚感に満ちていくような文章はどうも好きになれない。

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