- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480093448
作品紹介・あらすじ
ロビン・フッドや西部劇に描かれたアウトローなど、世界各地でいまなおヒーローと讃えられる匪賊たち。彼らはときには暴力的に振る舞い、社会的混乱を引き起こして危険因子と見なされながらも、抑圧的権力に対抗し、正義を求めて闘う、民衆の強い味方だった。母の名誉のために闘ったパンチョ・ビリャ、貧しい寡婦のため銀行強盗を犯したジェシー・ジェームズ。近代化以前のあらゆる国と時代において、民衆の生活に不可欠の要素として活躍した匪賊の系譜、その生き方や、彼らをめぐる政治・経済構造を丹念に追ったホブズボーム若き日の意欲作、待望の復刊。
感想・レビュー・書評
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新書文庫
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「匪賊」という、文字通りの意味でも学術できな意味でも「はぐれ者」に焦点を当てた作品。ホブズボームというマルクス歴史学者が描いた作品である。
匪賊がどのような経緯で生まれているか、を押して解説している。「ドイツの三十年戦争では、匪賊のネットワークが広汎に維持された。」「困窮した地主がごろつきになる。南米へ行ったコンキスタドールが現にそうだった。」「政府の統治が及ばない地域では、土匪が権力を握っている。」などなど。一部はゲリラ化し、毛沢東の中国共産党の例に出し、論を進める。
ただ、内容自体が古いのか何を云っているのかわからない点も多い。もう少しかいつまんで書くこともできるように思える。ただ匪賊が社会に与えた影響もあるだろうし、「富者」と「貧者」の階級対立の一つの転化の形として顕れているのは明らかで、今後の研究はなされるのだろうか。