匪賊の社会史 (ちくま学芸文庫 ホ 15-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480093448

作品紹介・あらすじ

ロビン・フッドや西部劇に描かれたアウトローなど、世界各地でいまなおヒーローと讃えられる匪賊たち。彼らはときには暴力的に振る舞い、社会的混乱を引き起こして危険因子と見なされながらも、抑圧的権力に対抗し、正義を求めて闘う、民衆の強い味方だった。母の名誉のために闘ったパンチョ・ビリャ、貧しい寡婦のため銀行強盗を犯したジェシー・ジェームズ。近代化以前のあらゆる国と時代において、民衆の生活に不可欠の要素として活躍した匪賊の系譜、その生き方や、彼らをめぐる政治・経済構造を丹念に追ったホブズボーム若き日の意欲作、待望の復刊。

感想・レビュー・書評

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  • 新書文庫

  • 「匪賊」という、文字通りの意味でも学術できな意味でも「はぐれ者」に焦点を当てた作品。ホブズボームというマルクス歴史学者が描いた作品である。
    匪賊がどのような経緯で生まれているか、を押して解説している。「ドイツの三十年戦争では、匪賊のネットワークが広汎に維持された。」「困窮した地主がごろつきになる。南米へ行ったコンキスタドールが現にそうだった。」「政府の統治が及ばない地域では、土匪が権力を握っている。」などなど。一部はゲリラ化し、毛沢東の中国共産党の例に出し、論を進める。
    ただ、内容自体が古いのか何を云っているのかわからない点も多い。もう少しかいつまんで書くこともできるように思える。ただ匪賊が社会に与えた影響もあるだろうし、「富者」と「貧者」の階級対立の一つの転化の形として顕れているのは明らかで、今後の研究はなされるのだろうか。

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著者プロフィール

イギリスの歴史家。1917年エジプトのアレキサンドリアでユダヤ人の家庭に生まれ、幼年時代をオーストリアのウィーンやドイツのベルリンで過ごした。ドイツでヒトラーが政権を掌握したことにより、1933年に渡英。ケンブリッジ大学で学び、第二次世界大戦後、ロンドン大学バークベック・コレッジで教鞭をとりつつ、社会主義知識人としてさまざまな活動を行った。2012年10月、ロンドンで死去。多数の著作があるが、特に18世紀末以降の歴史を扱った4部作、『市民革命と産業革命 ―― 二重革命の時代』(岩波書店、1968年)、『資本の時代 1848-1875』(みすず書房、1981-82年)、『帝国の時代 1875-1914』(みすず書房、1993、98年)、『20世紀の歴史 ―― 極端な時代』(三省堂、1996年)がよく知られている。これらで提唱した「長い19世紀」(フランス革命から第一次世界大戦まで)、「短い20世紀」(第一次世界大戦から冷戦終結まで)という時代区分や、編著『創られた伝統』(紀伊国屋書店、1992年)での「伝統の創造」論などは、近現代史研究に大きな影響をおよぼした。


「2015年 『破断の時代 ― 20世紀の文化と社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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