維新の夢 渡辺京二コレクション[1] 史論 (ちくま学芸文庫 ワ 11-2 渡辺京二コレクション 1 史論)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480093790

作品紹介・あらすじ

『逝きし世の面影』の著者渡辺京二は、日本近代史の考察に、生活民の意識を対置し、一石を投じてきた思想家である。その眼差しは表層のジャーナリズムが消費する言説の対極にある。本巻には、西欧的な市民社会の論理では割り切ることのできない、大衆の生活意識にわだかまる「ナショナル」なものを追求した「ナショナリズムの暗底」、明治国家への最大の抵抗者としての西郷隆盛を常識的定説から救抜する「逆説としての明治十年戦争」、北一輝と日本近代の基本的逆説の関連を問う「北一輝問題」など、日本近代史を根底から捉え返すことを試みた論考を集成する。

感想・レビュー・書評

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  • 編・解説:小川哲生、解説:三浦小太郎
    ナショナリズムの暗底◆近代天皇制の神話◆戦争と基層民◆風土と反権力◆北一輝問題◆北一輝とアジア的共同主義◆岡倉天心とその「アジア」◆石光真清とその異郷◆権藤成卿における社稷と国家◆二・二六叛乱覚え書◆カオスとしての維新◆小楠の道義国家像◆逆説としての明治十年戦争◆異界の人◆死者の国からの革命家◆西南戦争とはなにか◆人民抵抗権の狂熱◆協同隊と中津隊◆『翔ぶが如く』雑感◆昭和の逆説

  • 今と戦前の同じところは、支配層の考え方。違うところはそれを受け止める民が信じてないこと。

  • 本屋で見かけて。

  • とても刺激に満ちていて知的好奇心を満足させてくれる評論集である。といいながら果たしてどれほど理解できたかは甚だあやしいかぎりだが。西南戦争における西郷隆盛の不可解な行動への渡辺氏の理解は、通俗的歴史観をばっさりと切り捨て、司馬遼太郎の『翔ぶがごとく』をも「小説として見れば、これまたスカスカである。」とこき下ろしている。私は歴史に疎いのだが、渡辺氏の説には妙に説得力を感じでしまう。それは、私に歴史の新たな面を知らしめてくれるからだろう。

  • 編集者の気概が伝わる。福澤諭吉の「丁丑公論」をまた読んでみよう。

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著者プロフィール

1930年、京都市生まれ。
日本近代史家。2022年12月25日逝去。
主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『評伝宮崎滔天』(書肆心水)、『神風連とその時代』『なぜいま人類史か』『日本近世の起源』(以上、洋泉社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、『新編・荒野に立つ虹』『近代をどう超えるか』『もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙』『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』『死民と日常―私の水俣病闘争』『万象の訪れ―わが思索』『幻のえにし―渡辺京二発言集』『肩書のない人生―渡辺京二発言集2』『〈新装版〉黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞) 『渡辺京二×武田修志・博幸往復書簡集1998~2022』(以上、弦書房)、『維新の夢』『民衆という幻像』(以上、ちくま学芸文庫)、『細部にやどる夢―私と西洋文学』(石風社)、『幻影の明治―名もなき人びとの肖像』(平凡社)、『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)、『原発とジャングル』(晶文社)、『夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺』上・下(亜紀書房)など。

「2024年 『小さきものの近代 〔第2巻〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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