民衆という幻像: 渡辺京二コレクション2 民衆論 (渡辺京二コレクション(全2巻))

著者 :
制作 : 小川 哲生 
  • 筑摩書房
4.78
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本棚登録 : 52
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480093851

作品紹介・あらすじ

冬の夜、結核療養所で聞こえた奇妙な泣き声。日中衰弱しきって運び込まれた母娘は、朝を待たずに逝った。それを知った著者は、娘の体をさする瀕死の母親のやせた腕を幻視する-「小さきものの実存と歴史のあいだに開いた深淵」、それは著者の原点にして終生のテーマとなった。近代市民社会と前近代が最深部で激突した水俣病闘争と患者を描く「現実と幻のはざま」、石牟礼道子を日本文学に初めて現れた性質の作家と位置付けた三つの論考、大連体験・結核体験に触れた自伝的文章など39編からは、歴史に埋もれた理不尽な死をめぐる著者の道程が一望できる。

感想・レビュー・書評

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  • 解説:高山文彦・小川哲生
    小さきものの死◆六〇年安保と吉本隆明・谷川雁◆民衆論の回路◆義理人情という界域◆現実と幻のはざまで◆死民と日常◆石牟礼道子の世界◆石牟礼道子の時空◆石牟礼道子の自己形成◆山河にかたどられた人間◆ポストモダンの行方◆戦後思想の行方◆社会主義は何に敗れたか◆棲み分けの崩壊◆アジアの子から見たマルクス◆非行としての政治◆大衆の起源◆イリイチの眼で江戸を視る◆最後のイリイチ◆『サンクチュアリ』の構造◆始原と遺制◆ソルジェニーツィンの孤独◆パステルナークの圏域◆わが谷川雁◆わたしの戦後◆挫折について◆大連への帰還◆本との別れ◆歴史と文学のあいだ◆日本近代思想史と私◆物語好きのみる夢◆命のリズムを読む◆焼きもの音痴◆犬猫のおしえ◆いとし子の夭折◆死生観を問われて◆まなざしと時◆悲哀と放棄◆掙扎の人

  • 小さき者の死、たしかにこういう原体験があると芯がしっかりする。

  • 江戸という幻影、もいいらしい。弦書房2007年

  • 『小さきものの死』の編における「願わくは、われわれがいかなる理不尽な抹殺の運命に襲われても、それの徹底的な否認、それとの休みのない戦いによってその理不尽さを超えたいものだ。」という決意や『現実と幻のはざまで』『石牟礼道子の世界』『石牟礼道子の時空』『石牟礼道子の自己形成』の編で示された氏の女史への想い、また『「サンクチュアリ」の構造』での解説にわたしは完全に魅了されてしまった。渡辺氏が強く薦める、石牟礼女史の『苦海浄土』はぜひ読んでみようと思う。

  • 本屋で見かけて。

  • 解説「職人の手」を高山文彦さんが書いています。解題はこの編集をした小川哲生さんです。
    高山さんの語りで渡辺京二と石牟礼道子が登場し、渡辺京二の生い立ちが明らかになりました。
    読むべきは
    「小さきものの死」
    「石牟礼道子の世界」
    「石牟礼道子の時空」
    「石牟礼道子の自己形成」
    「挫折について」

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著者プロフィール

1930年、京都市生まれ。
日本近代史家。2022年12月25日逝去。
主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『評伝宮崎滔天』(書肆心水)、『神風連とその時代』『なぜいま人類史か』『日本近世の起源』(以上、洋泉社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、『新編・荒野に立つ虹』『近代をどう超えるか』『もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙』『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』『死民と日常―私の水俣病闘争』『万象の訪れ―わが思索』『幻のえにし―渡辺京二発言集』『肩書のない人生―渡辺京二発言集2』『〈新装版〉黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞) 『渡辺京二×武田修志・博幸往復書簡集1998~2022』(以上、弦書房)、『維新の夢』『民衆という幻像』(以上、ちくま学芸文庫)、『細部にやどる夢―私と西洋文学』(石風社)、『幻影の明治―名もなき人びとの肖像』(平凡社)、『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)、『原発とジャングル』(晶文社)、『夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺』上・下(亜紀書房)など。

「2024年 『小さきものの近代 〔第2巻〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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