世界史のなかの戦国日本 (ちくま学芸文庫 ム 5-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 215
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094445

作品紹介・あらすじ

世界史の流れの中から日本列島を眺めると、意外な景色が浮かび上がってくる。群雄割拠の中から織田・豊臣を経て徳川安定政権を生んだ戦国時代。しかし15、16世紀の日本では、商業圏の拡大という別の覇権争いが始まっていた。サハリン・沿海州貿易を手中に収めようと画策する蛎崎氏、東南アジアにまで及ぶ西南海貿易で富を築いた琉球王国とその座を狙う島津氏、南蛮貿易のためにおたずね者まで取り込む松浦氏、当時の世界基軸通貨=銀貨をめぐり暗躍する倭人ネットワーク…。地域史をより広い視点で理解する「グローバル・ヒストリー」の先鞭をつけた歴史学の名著。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。
    タイトル通り、戦国時代の日本を世界史からみつめた本。日本史という枠組みだと、「火縄銃が種子島に伝来しました」「キリスト教が日本に広がりました」と、あたかも降って湧いたように習ってしまうが、その辺りを周辺から探る。
    となると、南西方面からの外交史が主になるが、本書は北方方面も言及している。戦国時代から江戸時代にかけての蝦夷地と沿海州の交わりだ。これは個人的に興味があった。文献が少ないだけに貴重と感じた。十三湊がここまで主役になるのが楽しい。
    もちろん南の世界からの歴史も深い。古琉球を中国・明朝が大事にした経緯だったり、東南アジアと倭寇の枠組み、フランシスコ・ザビエルが日本に来た経緯から日本をみつめた記録などなど、非常に面白い。

    日本史を別視点で見るには面白い1冊だった。

  • 16世紀にアジアとヨーロッパが繋がり、世界史の中に日本が大きく登場する事となったきっかけ、明との関係、銀山の発見採掘を述べ、如何に16世紀が流動的な社会だったのかが分かる。

  • 世界史から戦国をみるのならば、秀吉のバテレン追放令の事も書いて欲しかった。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    この本を読むと学校で日本史、世界史と別々に学んだことが馬鹿らしくなってくる。
    極東の島国で周辺国家が少ない日本でも様々な勢力との交流が存在し、日本が世界史の中に確実に存在していたということをよく理解できる内容だった。
    また、最近は江戸時代においても周辺国家や地域との交流が盛んに行われていたことが知られるようになったが、その交流は戦国時代、室町時代とさかのぼり、古くからの交流が存在していたこともよく理解できたよ。

  • 第1章は総論。教科書を読んでいるようで、なかなかスピードに乗れなかったが、2章以降の各論は楽しめた。日本の辺縁部と世界との繋がりは興味深い。しかも、中央集権が完成前夜の地方の大名・豪族の動きや、海を越えて密貿易するしたたかな人々。古琉球の章では『テンペスト』を思い出した。鉄砲伝来も教科書では説明されない密貿易者との関連が面白い。日本銀(石見銀山産)が朝鮮や明国に与えた影響に思いをはせると、世界が繋がっていることが改めて実感される。

  • 新書文庫

  • きちんとした歴史学者の著作なのでやや堅苦しいが、面白い。日本中世から近世への移行期を、東アジアをはじめ、世界史の中の広い視野で位置付けて考えるために、大いに参考となる本である。
    こういう本を読むと、まだまだ知らないことは多いし、分からないことも多い、と痛感させられる。統一的な整合性ある理論で歴史を語るには、余りにもこの社会は複雑、多様で、多くの人々の動きで成り立っているのだと考えさせられる。

  • 歴史も、解釈ってのは個人や流派の問題で、資料があっても解釈が違えば、これって決まるわけでもないんだなあという感想。
    鉄砲伝来が1543(以後、予算増える)か1542の新説でもめる人もいるのか。っていうのが、自分にはあまり関心がない分野なだけに、新鮮だった。

    灰吹法を韓国から得たらしい石見銀山が16世紀の世界での産出量の1/3を占めていたくらいだとか。
    それだけとれたから、韓国に売りに行ったら、韓国が買いきれないくらいで持ってくるなって言ったとか。(銀が産出出来ないから中国に銀は貢ぎませんって勘弁してもらってた経緯もあったけど、当時は綿布が金銭で、その綿布を使い果たしても買いきれないくらいだった)
    ポルトガルがアジアの交易で設けられたのは、既存のアジアの海賊や密貿易のルートを乗っ取っただけだとか。
    足利将軍の時代から16世紀まで、結構国内も国外も貿易盛んだったんだなあ。

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著者プロフィール

1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。
同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。
専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。
おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。

「2021年 『東アジアのなかの日本文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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