密教 (ちくま学芸文庫 マ 30-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094919

作品紹介・あらすじ

謎めいたイメージが先行し、正しく捉えることが難しい密教。本書は、まずその定義にはじまり、インド・チベット・中国各々における密教の歴史・思想を概説しつつ、日本の密教をインド以来の仏教史全体の中に位置づける。そして、伝統的な密教数学をできるかぎり分かりやすく解説した上で、マンダラの理論と実践、チベット密教の性的ヨーガをふくむ代表的な儀礼・修行についても詳細に解説する。巻末には、国内密教寺院案内・ブックガイドを付すなど、密教を理解するための基本要素をすべて盛りこんだ必携の一冊。文庫化にあたり新章「修験道の世界」を書き下ろし増補する。

感想・レビュー・書評

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  • 密教初心者でこれまで2冊ほど本を読んできましたが、その甲斐あってか本書はとても勉強になりました。とにかく網羅しているトピックの範囲が広い。しかもそこまで難解ではないので、頭に入ってきます。修法についても詳しく書かれていてなかなか面白かったです。最初に本書を読むと難解かもしれませんが、密教を少しでもかじっている人は本書が次のステップに進むための良書だと思います。おすすめです。

  • これは読まな

  • 真言宗等の日本密教やチベット仏教について平易に解説しており、入門書としてなかなか良い本ではないだろうか。
    5世紀頃にインドで密教は生まれたらしいが、それは性的ヨーガのようなものも含む神秘的ないし呪術的な傾向を有する後発の宗派であり、13世紀には仏教もろとも、インドでは滅びてしまう。
    密教はその後チベットで発展するが、日本にはもちろん中国を経由して伝わったのである。
    この本で内容をざっと見てみると、やはり密教は秘儀的あるいは神秘主義的、オカルト的な面が強い。曼荼羅とか、数や分類(これはブッダの原始仏教にも見られたが)、真言といった要素、さらには超能力的なものや誰かに呪いをかけるような呪術のようなものまで飛び出す。
    修験道もふくめ、密教は、こんにちのオカルト趣味にとって格好のネタである。だから、マンガにもその片鱗が出てきたりする。
    とはいっても、私はそのような「迷信」を批判しない。科学主義敵世界観の支配のもとにあってなお、呪術は現在の文明でも息づいており、それは民俗学的な現象と呼ぶべきものだ。人間のこころにとっての必然性があるからこそ、そのような民俗が持続するのである。
    密教はもちろん「宗教」なのだが、民俗的信仰(道教の諸神とも結びついたようだ)とも合体した混成的文化というふうに見える。その意味で、なかなか興味深いものがある。
    空海などについても、いずれ読んでみたいと思っている。

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著者プロフィール

一九五三年、神奈川県に生まれる。筑波大学大学院博士課程修了。国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授などを経て、現在、慶應義塾大学非常勤講師。専門は宗教学(チベット・日本密教)で、とくに修行における心身変容や図像表現を研究。著書に『マンダラとは何か』(NHK出版)、『密教』(ちくま学芸文庫)、『はじめての宗教学』『お化けと森の宗教学』『千と千尋のスピリチュアルな世界』『カラーリング・マンダラ』『お坊さんのための仏教入門』(以上、春秋社)、『空海と密教美術』(角川選書)ほか多数。

「2019年 『密教の聖なる呪文 諸尊 真言 印 種字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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