S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ (ちくま学芸文庫 コ 12-2)
- 筑摩書房 (2015年5月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480096678
感想・レビュー・書評
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(01)
1990年代から2010年代までの著者の論考の一部が収録されている。この約20年間のスパンのなかで、都市はどのような情況にあったのか。
暴論まがいの筆致で、レトリカル、ポエティック、シンボリック、スキャンダラス、さまざまな言葉を巧みに用いて、都市の非人間性と猥雑性を暴き立てている。
中盤で、個別の都市への批評が挿入されている。ベルリン、ロッテルダム、アトランタ、ニューヨーク、シンガポール、そして東京、序にあたるパートに「ジェネリック・シティ」、締めに「ジャンクスペース」(*02)をもってくる構成は、日本語文庫版だけの構成なのだろうか、しびれる。
(02)
小タイトルとしても取り上げられたジェネリックやジャンク、ビッグネスなどのキーワード以外にも、インフラやサブシステムという都市機能や、特殊機能としてのランドスケープが現代で演じてる役についても多く言及されており、一筋縄ではいかないカオスな都市論となっている。
必ず失敗する都市計画に対し、このような「仮説を立てまくる」批評というプロジェクトの有効性は、今後評価されてもよいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
180603 中央図書館
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建築は何も喋らない から建築家は饒舌なの?と思ってしまうくらい溢れ出す言葉。都市と建築についてのエッセイ集ですが現代文明についての批評集であり建築家についての短編小説集にも感じる本でした。その真ん中でコルビジェとミースが重しのように存在感を出しているのも印象的でした。一方でその次の世代の著者の時代のグローバルな建築の煩悶も伝わってきて「ビッグネス」という独自の概念にたどり着いたこもなんとなくわかります。個人的には終章の空間を成立させるのは建物ではなくてエアコンである、という指摘にグッときました。
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米在住の建築家による、副題どおり「現代都市をめぐるエッセイ」。本書は1995年刊行、著者は1944年生まれ。文章を読めば歴然とするように、いわゆるフランス現代思想をも含めた知の現代に通暁しており、その文体は軽やかで、ポストモダンのポスト・ポスト・ポスト・・・というような先端的な鋭利な視点を保っている。
建築のことはよくわからないが、都市論としてはなかなか鋭くて面白い。
日本に関する記述も、けっこう妥当に日本人の一般心理や社会慣習を突いていると思われた。
「日本のスケジュール——自由を奪う、書かれた牢獄。・・・日本では何もない自由時間に仕事が組み込まれているのではなく、仕事という基本体制から掘り出された例外的な状態を自由時間と言う。」(P137)
「『われわれ』は、日本人の『私』一人ひとりの陰に控えるゴーストライターだ。」(P140)
あくまでもエッセイであって、主題を厳密に追究する書物ではない。コールハース的軽やかさを味わいながら、楽しんで読んだ。 -
何について言いたいのか、実はよくわかんなかった。
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建築に関して門外漢すぎる自分にはさっぱりわからなかった。他のレムコールハースの本も読んで、理解を深めたいとは思ったが。