議論入門: 負けないための5つの技術 (ちくま学芸文庫 コ 45-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480097422

作品紹介・あらすじ

議論で相手を納得させるには五つの「型」を押さえればいい。実例と修辞学的知見をもとに、論証や反論に説得力を持たせる論法を伝授

感想・レビュー・書評

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  • 【星:3.0】
    学校教育において、ディベートが行われることがあるが、ただディベートさせるだけで、その手法を教えてはいないというのが著者の意見。
    そんな現状を踏まえて、ディベートの技法を教える立場となる教育者向けにディベート技法の基礎を書いた本となっている。

    内容としては修辞学の本ということになると思う。
    ディベート・修辞学技法を「定義」「類似」「譬え」「比較」「因果関係」の5つにまとめて説明している。

    この5つのまとめ方自体はスッキリしていて「修辞技法というのはこういうことなんだ」という感じで全体観はつかみやすい。

    ただ、この5つの修辞技法を例文を用いて説明していくスタイルなのだが、この例文が古今の著名な哲学者や評論家の崇高な文章で、この例文自体の読解にパワーを要してしまい、肝心要の修辞技法が頭に入ってこなかった・・・

    私の力不足のせいも多分にあると思うが、もう少し平易な例文で説明して欲しかった・・・。

  • あー、これ、復刊したんだねえ。著者のファンとしてはほんとうれしい。絶版になってて、図書館で借りるしかなかったからね。
    中身は相変わらず素晴らしい。が、著者の本の中で最高峰とは言えないか。

  • 『レトリックと詭弁』の著者である香西秀信氏の著書。本書は絶版になっていた『議論の技を学ぶ論法集』(明治図書出版)が文庫化されたものである。主に議論指導に関心のある教師に向けて、議論指導の出発点として選んだ5つの論法について解説している。引用文は難しそうな本からが多いが、どれも聞いたことがある論法である。実際に使われている場面を探してみたり、自分で使ってみたりすると面白いと思う。

    第1章 定義
    第2章 類似
    第3章 譬え
    第4章 比較
    第5章 因果関係

  •  絶版だった『議論の技を学ぶ論法集』(明治図書出版 1996年)の文庫化。「解説」や「文庫版あとがき」等は無い。
     本書に採られた用例・内容それ自体への言及には(相変わらず)著者のイデオロギーが表れているので、本書には血の通った温かな人間味が感じられる。解説は丁寧で実例も豊富でよい。

    【目次】
    目次  [003-005]

    序――議論の技を学ぶ 009

    第1章 定義 017
    最も必要なことだけの定義 
    説得的定義――論証的定義 
    定義としての名づけ 
    反論に関する若干の注意 

    第2章 類似 077
    正義原則 
    暗示的人格攻撃 
    相手の主張を不条理に帰結させる論法 
    その他のヴァリエーション 
    反論の方法 

    第3章 譬え 123
    関係の誇張 
    論争の武器としての笑い 
    価値の転移による効果 
    譬えの脆弱さと反論の方法 

    第4章 比較 157
    a fortiori ――より強い理由によって 
    勿論解釈とその応用 
    反論の可能性――誰にとっての「より」なのか 

    第5章 因果関係 199
    これは「論法」か? 
    原因による正当化 
    結果による正当化 
    反論の方法 

    あとがきにかえて――高専柔道と学問(平成八年五月二八日 香西秀信) [252-255]

  • 香西秀信著『議論入門 : 負けないための5つの技術 (ちくま学芸文庫 ; コ45-1)』(筑摩書房)
    2016.8発行

    2023.7.6読了
     香西秀信氏は2013年に急逝しているのだが、本書は絶版だった『議論の技を学ぶ論法集』(明治図書出版 1996年)を文庫化したものである。
     香西秀信氏の本はどれも大変面白く、本書も漏れなく面白かった。
     本書は議論指導に関心のある教師向けに執筆されたものだが、たとえ教師でなくとも実生活においてすぐさま活用できそうな技の数々が取り上げられている。
     昨今ではSNS上などでも頻繁に討論(言い争い?)が行われている状況なので、こうした技術を身につける必要性はより一層増しているといえよう。そうしたときに本書は恰好の教科書となってくれるはずだ。もっとも、教科書と呼ぶほどには四角四面な内容ではなく、筆者お得意の皮肉の効いた文体で読者を楽しませながら議論の技を体得することができる。
     万人におすすめしたい。

    【目次】
    序―議論の技を学ぶ
    第1章 定義
     第1節 最も必要なことだけの定義
     第2節 説得的定義―論証的定義
     第3説 定義としての名づけ
     第4節 反論に関する若干の注意
    第2章 類似
     第1節 正義原則
     第2節 暗示的人格攻撃
     第3節 相手の主張を不条理に帰結させる論法
     第4節 その他のヴァリエーション
     第5節 反論の方法
    第3章 譬え
     第1節 関係の誇張
     第2節 論争の武器としての笑い
     第3節 価値の転移による効果
     第4節 譬えの脆弱さと反論の方法
    第4章 比較
     第1節 a fortiori―より強い理由によって
     第2節 勿論解釈とその応用
     第3節 反論の可能性―誰にとっての「より」なのか
    第5章 因果関係
     第1節 これは「論法」か?
     第2節 原因による正当化
     第3節 結果による正当化
     第4節 反論の方法
    あとがきにかえて―高専柔道と学問

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/027511400

  • こんな難しいこと考えているうちに議論が終わってしまう

  • 議論の核となる5つのテーマ:定義、類似、たとえ、比較、因果関係について、それぞれの論理構成や実例、陥りやすい誤りなどについて丁寧に説明されている。5つの観点に絞り込んで、説明を充実させることで、理解を深めることができる。日常の多くの場面で、論理のほころびを見出すことができるようになる。特に定義やたとえの用法において、真でない概念や極論が持ち込まれるケースがとても多いことに気づく。口語における議論の中で、こうした論理の組立てを整理し、反論に繋げるまでには練習が必要だが、論理のポイントを押さえられるようになることで、より充実した議論ができるようになったと思う。

  • 面白いがくどい。最後まで読むほどではない。

  • 難しかったが引用文献の多さ、作者の引き出しの多さが信頼に足る。もっと自分自身ステップアップしてからもう一度読み直したい

  •  少し難しいが、議論というか、人の文章の読み方、レトリックの見破り方の基礎は身につく。
     
     早速本書に即して論文を読んでみると、レトリックに気づき、それに基づく反論が思いついたりもした。
     
     本書の内容を頭に入れて会話での議論を戦わせることは難しいとは思うが、人の文章を読むことを生業にしている人にはお勧めだ。
     
     ちなみに、本書自体の文章はやや高圧的で突き放したところがあるが、「あとがき」を読んで人間くさい人であることがわかってホッとした。

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著者プロフィール

1958年香川県生まれ、筑波大学第一学群人文学類卒業。同大学院博士課程教育学研究科単位修了、琉球大学助手を経て、現在、宇都宮大学教育学部教授。専攻は修辞学(レトリック)と国語科教育学。著書に『反論の技術』『議論の技を学ぶ論法集』『修辞的思考』『論争と「詭弁」』『議論術速成法』『論より詭弁』『論理病をなおす! 』など。

「2010年 『レトリックと詭弁 禁断の議論術講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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