美少女美術史: 人々を惑わせる究極の美 (ちくま学芸文庫 イ 55-4)

  • 筑摩書房
3.58
  • (5)
  • (9)
  • (9)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 220
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480098009

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 約240ページの中に現れる絵画の数はなんと200点。それら絵画の中で何かに対して微笑んでいたり、何かを思って虚ろな目をしていたり、これから殉教するにも関わらず毅然な態度をとっていたりと多種多様な表情を見せてくれるのは文字通り全て"少女"であります。

    本書は主に18世紀~19世紀"大人のミニチュア"から"子ども"という概念が生まれた時代に描かれた数々の絵画や彫刻とそれら時代背景の紹介となっており、宗教的テーマも教訓もないただの子ども風俗画であるファンシーピクチャーというジャンルにはじまり、「不思議の国のアリス」「聖母マリア」「聖アグネス」「ジャンヌ・ダルク」「ダフネ」「プシュケー」「パンドラ」といった有名どころから、神に仕える職業的な処女である巫女たち(ウェスタの巫女・デルフォイの巫女)や勝利を告げるギリシャの女神ニケ、キリスト教徒として育てられ結婚はしたが性交渉はなしという条件を相手に認めさせ最後には夫婦そろって首を斬り落とされた殉教聖女チェチリア、父殺しのベアトリーチェ・チェンチ、シェイクスピアのハムレットに登場する悲劇のヒロインであるオフィーリア等々挙げればキリがないほどの"少女"が登場します。

    作品を手掛けている芸術家や画家のファンはもちろんのこと、上記の少女が登場する物語に興味ある方、とにかく少女を嗜好する方には大変満足度の高い一冊であるかと思います。

  • マイブーム中なので読みました。
    そもそも神話や宗教チックな話が多くて、
    難しいジャンルです。
    読み飛ばした箇所も多い。
    でも、参考なる絵も内容もありました。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737600

  • 西洋美術史の池上先生が、美少女の描かれた絵画の歴史的変遷と分類を解説していく本、のはずなんですが、半分以上のページに図版があるのでページをめくるたびに、あらかわいい、この子もかわいいと、ちっとも読書が進みません。どうしてくれるw。とにもかくにも、かわいいは正義ですよ(結局内容が頭に入ってない)

  • ■『美少女美術史――人々を惑わせる究極の美』。
    ……筆者は思わせぶりなタイトルだけ先に考えて、あとでなんとか中身を埋めていったのだろう。後述する一部の画家以外の画家は”美少女”といわれても全然ピンとこないのばかりなのだ(たとえばベラスケス? ピカソ? モディリアーニ? フェルメール? ルーカス・クラナハ?……)。
    ■で、いかにも”美少女”といった画家はこれだけ。
    ジョシュア・レイノルズ(ロココ)/ソフィア・アンダーソン(ロココ)/エヴァレット・ミレイ(ラファエル前派)/ブグロー(新古典)/ムリーリョ(バロック)/レイバーン(ロココ)/グルーズ(ロココ)

  • 美少女は昔から存在していた。それがお金と手間のかかる「西洋画」に写しとられるとき、彼女たちはどのように表現されるのか。
    昔から愛でられていた美少年と違って、「小さな大人」「未熟な大人」から、富豪の肖像画、神話・キリスト教の「純潔」「貞淑」の象徴、そして女の子の「可愛らしさ」そのものの描写へ…
    という流れがあるらしいのだけど、時代や様式の区分ではなく、細々としたジャンルに分かれて説明されていたため、時代の流れを大まかに把握するのは難しかった。でも、美術史を一ミリも知らない自分でも分かりやすい説明と、沢山のカラーページで紹介された絵画、今後展覧会に行って女の子の絵が描いてあったら、どのジャンルなのか当てはめられるくらいにはなったと思う。キューピッドやオフィーリアの神話もわかるようになったし。
    ミレイ、ブグロー、ソフィーアンダーソン、可愛い。
    「P.245無垢なる美少女の礼賛と、そのセクシュアリティーへの拒絶とが生み出す浮沈の繰り返しとも言えるだろう。」

  • 美術史でありながら、その背景にある大局的な歴史の流れに沿った説明がなされており、歴史の変遷を美術の観点から見直すことができそうです。具体的に言えば、多神教時代のギリシャ・ローマ時代からキリスト教への転換、キリスト教下のルネサンスの到来が意味するところ(多神教の受入れ)、宗教改革の影響など、計らずも新しい視点を得ることができました。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/William_Bouguereau.html【書評】『美少女美術史: 人々を惑わせる究極の美』その1〜美少女の基準〜 : なおきのブログ

    <目次>
    第1章 美少女美術の黄金時代
    第2章 神話世界の美少女
    第3章 キリスト教と美少女
    第4章 美少女の復活
    第5章 「美少女」の誕生
    第6章 印象派と世紀末の美少女

    2017.06.18 どこで見つけたか忘れたが・・・
    2018.10.22 読書開始
    2018.10.26 読了
    2018.11.12 朝活読書サロンで紹介する。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/reading_salon_120.html

  • 西洋美術における美少女の歴史を書いた本。西洋の美少女は純潔がその根底にある。また、現代の日本における美少女のイメージは西洋美術からもたらされたようだ。オタクが処女にこだわるのも納得がいく。

    個人的に一番面白かったのは幼く描かれるマリアの話。ミケランジェロはマリアの純潔・処女性を重視したため、マリアを若く描いた。その流れはルネサンスに続くマニエリスムとバロックの時代で顕著になり、マリアの美少女化が進む。アニメの母親は若く美しいのが多いが、その原点はここにあるのかもしれない。

  • 日経新聞書評 2017年6月24日 新書新刊

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480098009

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

池上 英洋(いけがみ・ひでひろ):1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリアンルネサンスを中心とする西洋美術史、文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞、2007年に開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」では日本側の監修者となった。『錬金術の歴史』(創元社)、『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、『西洋美術史入門』、『西洋美術史入門〈実践編〉』、『死と復活――「狂気の母」の図像から読むキリスト教』(筑摩書房)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)など著書多数。


「2024年 『パリ 華の都の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上英洋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×