- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480420459
感想・レビュー・書評
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H29.5.5 読了。
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びんぼう自慢というタイトルに惹かれて読みました。貧乏であっても楽しく前向きに生きること、貧乏を楽しむことの大切さがぎっしり詰まった楽しい一冊。貧乏であることを自慢して面白おかしく話せる人、お金持ちであることを上から目線で自慢する人よりもずっと魅力的で素敵。他人の自慢話を聞くのは大嫌いだけれど、こんな楽しい自慢だったら大歓迎。
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古今亭志ん生の自伝。編集者による書き起こしで、落語を聞くように読める。
若い日の破天荒な生き方。十代で女郎買いにはまり、父親のキセルを盗んで質に入れたところ、怒り狂った父親がやりを磨き始めたため、母親にしばらく身を隠すように言われて、そのまま家に帰らず両親の死に目にあえなかったと、格の違いを感じる。
しかし、最後のところで編集者は志ん生がポツリと漏らした話けれど掲載していない話があることを明かす。それは志ん生が表現したい姿ではないから、とのこと。表現とは何かと考えさせられた。 -
暖かい気持ちになったし、肩の力抜いて適当に生きていけばいいんだと思わされるし、そして同時に切ない気持ちにもなるといういろんな色を持ったとてつもない本でした
どんなに辛そうな時でも、志ん生の語り口は終始明るいけれど、読み進めるうちに語られていない部分が垣間見えるようになる。
編者の小島貞二さんの貢献も本当に大きいと思う。
語らない美学っていうのはこういうことかと。みんなが求める志ん生のイメージを壊さないように、けれどそれとなく悲しみや不安をちらつかせる書き方は素晴らしいです。 -
明治23年生れ。落語好きでなくても名前くれぇは知っている志ん生。タイトル通り最初から最後まで貧乏話。昔の東京下町の人情深さがひしひしと。その時代に生きてたみてぇ…おっといけねぇ。口調もそっくりだ。
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落語の擬人化
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変名の一つ「金原亭武生」の参考名「全亭武生(ぜんてえぶしょう)」は初代が師匠から「お前は全体無精でいけない」と小言を言われ、そこから取った洒落名。(小岩武生は、「こいはぶしょう」か)106
志ん生は笹塚で近所の犬を殺した144
馬生を名乗っていてころ、次男の強次(志ん朝)が生まれた。強次の名付け親であり、志ん生の近所でもあった柳屋三語楼は病の床。強次と見舞いに行くと「おう、バナナ。立派な人間になるんだよ」と言われた。バナナは芭蕉(馬生)の子供だから205
志ん生自身が『替わり目』を自分と妻のことのようだと言っている284 -
戦後の落語界の第一人者となった著者が、自らの人生を語りつくしている本。落語を読む感覚は最初はなれないが、読むペースが上がるにつれて、引き込まれてしまう。旅芸人の時代、笹塚の時代、業平の時代とここが最悪かと思えばどんどん悪くなる様に呆れてしまう。よくもこんな滅茶苦茶な行動がまかり通ったと思うが、懐の深い寛容な時代だったのか、人物の魅力なのかはわからない。現代ではありえないような話ばかりで、いつになったらまともになるのかと思いながら楽しく読んだ。